カカオ豆からのチョコレート作り、なんて説明もいらないほど定着した“ビーン・トゥ・バー”。その楽しみ方といえばタブレットで産地ごとの食べ比べがセオリーだったけど、今はそれだけでない。「ボンボンショコラなどをよりおいしくするにはどうするか、豆から作るのはその手段なんです」と『nel CRAFT CHOCOLATE TOKYO』・村田友希シェフ。ベトナムの契約農家からカカオを仕入れたり発酵の違いを比べられるタブレットを仕立てたりと、マニアックにカカオを味わうものをおきつつ、みんなに素直においしい色んなフレーバーのボンボンショコラやチョコ香るポップコーンまで並べている。
全てチョコレートは自家製で香料はバニラさえ使わないから、カカオの自然なアロマに満ち、合わせるフレーバーを邪魔しない。繊細な和素材もショコラの濃密の中で鮮やかに香りだす。「京都の錦市場で見つけた青実山椒は一晩生クリームにつけ、ゆっくり香りを抽出します」。素材に寄り添い魅力を引き出し、いいバランスでショコラと合わせて。舌で溶かすとまずカカオ感、その奥からふわりと山椒の香りが追いかけ、柔らかくも豊かな余韻を残していく。まっすぐな職人の手仕事が、また新しいショコラの喜びを生み出していた。
ボンボンショコラは秋田の梅酒や高知産柚子など、選りすぐりの和素材を使ったものと産地別の2ライン。
ボンボンショコラ(柚子、梅、紫蘇 各¥380 山椒、胡麻、丹波黒豆きなこ、ブンチャプベトナム、ブンチャプベトナムミルク、タンザニア、ハイチ、ブラジル、ベネズエラ 各¥350)。
nel CRAFT CHOCOLATE TOKYO 東京都中央区日本橋浜町3-20-2 HAMACHO HOTEL 1F TEL:03・5643・7123 10:00~20:00 不定休
チコ スイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。
※『anan』2019年5月1日‐8日合併号より。写真・清水奈緒 スタイリスト・中根美和子 取材、文・chico
(by anan編集部)
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