江戸時代は花街として栄えた神楽坂だが、現在はフレンチビストロの街に大変身して、個性的な店がいくつも目につく。5月にオープンした『ビジト』は南仏料理のビストロだ。オーナーシェフの伊藤洋平さんはクラシックの最高峰・芝『クレッセント』で基礎を身につけてフランスへ渡った。そこで興味を惹かれたのが南仏の料理だという。
「南仏はイタリアやスペインと同じようにオリーブオイルを使った軽い仕上げ方が特徴です。日本人が好む味ですね」。海沿いのニースや山間のジュランソンなど、いくつかの地方もまわり、合計4年を過ごした後、日本に戻った。それから神楽坂のスペイン料理店で約7年シェフをつとめ、同じ神楽坂で独立を果たした。
お得意の「サラダ・ニソワーズ」にはレタス、トマト、オリーブの実、卵などに自家製マグロのオイル煮が盛り込まれる。「スープ・ド・ポワソン」も魚のアラをたっぷり入れて作る。「トリップ・ア・ラ・ニソワーズ」は牛の胃・ハチノスをトマトと白ワインで煮こみ、オレンジの皮で香りづけするのがポイント。
色鮮やかな野菜にさわやかな香りのハーブ。ニース料理が、“太陽の料理”と呼ばれるのも納得。これもまた、フランス料理のもうひとつの顔なのだ。
上の写真左上から時計回りに、ロゼワイン グラス¥900、「スープ・ド・ポワソン」¥1,200(サフランとアニスの香りが特徴、左のパンはつけあわせでスープに入れていただく)、「サラダ・ニソワーズ」¥1,300、「トリップ・ア・ラ・ニソワーズ」¥1,850。
BISITO アラカルト¥700~、コース¥5,000~。グラスワインは赤・白・ロゼが常時5種類。東京都新宿区袋町26-4 TEL:03・6280・7658 18:00~23:00(22:30LO) 不定休
いぬかい・ゆみこ レストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。
※『anan』2018年10月24日号より。写真・清水奈緒 取材、文・犬養裕美子
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