運気が上がる食べものって? 頭に“う”がつくと運がつく!?

フード
2018.03.28
縁起が良くて、手土産にもなる! 運気を上げる、口福な食べもの。

季節の移り変わりが細やかな日本には、年中行事が多く、それに因んだ食べものがたくさんある。そこには、気候風土が深く関わっていると、日本の行事やしきたりに詳しい広田千悦子さん。

「国土が海に囲まれた日本は、人の力が及ばない自然災害にひんぱんに見舞われてきました。だからこそ、自分たちが大切にしている主食の穀物や季節のものを、折々に神様に供え、感謝してきたのだといわれています。そして、それを体に取り入れることで、次に生きる力としてきたんですね」

元を辿れば、感謝や厄除けの意味合いが強かった供え物。その多くが、転じて縁起物としていまに伝わっているという。そして、そこにもまた、日本人ならではの感性を見て取ることができる。

「語呂合わせで縁起を担いだ食べものがとても多い。遠く万葉集の時代から、言霊を信じ、言葉の音にも力があるとして、音に敏感に意味づけをしてきた日本人の考え方が出ていると思います」

時代は進み、環境も、家族や地域の在り方も大きく変わったが、

「食べものはいちばん触れる機会が多いもの。ただ、“習わしだから”ではなく、その謂われに思いを馳せながら、建設的に生活の中に取り入れてほしいと思います」

盛運(せいうん)

“う”で始まる、あるいは“ん”で終わる食べものは運がつく、とする語呂合わせは、正月料理でも知られるところ。姿形に由来するものも多く、頭から尾までつながった姿から、運が連なるとする尾頭つきの魚もそのひとつ。

【鰻】
頭に“う”がつく食べものは、運がつく。夏の土用の習慣は、江戸時代の学者・平賀源内が、丑の日に“う”のつく鰻を食べると精が出るとしたのが始まり。

口福

うなぎ藤田 白金台店
蒲焼 3分の2尾¥3,000
明治25年、鰻の行商から始まった浜松に本店を置く専門店の蒲焼き。背開きにして素焼き。蒸してから、繰り返したれをつけて焼く関東風は、ふっくらとやわらか。●東京都港区白金台4‐19‐21‐3F TEL:03・6432・5636 11:30~14:00、17:00~21:00 月曜休

【昆布】
昆布はその昔、“広布(ひろめ)”といった。末広がりを表すとして、運が広がるとされる。“よろこんぶ”という、“喜ぶ”との語呂合わせは後に生まれたもの。

口福

神宗(かんそう)
塩昆布 100g¥864(税込み)~
海産物問屋として江戸・天明元年に創業。日本の伝統素材にこだわって作り続ける塩昆布は、北海道産の天然真昆布を使用。山椒の風味が効いた肉厚の昆布は、甘さが上品。●大阪府大阪市中央区高麗橋3‐4‐10 TEL:06・6201・2700 www.kansou.co.jp/より取り寄せ可。

【そうめん】
そうめんは、生地を細く長く延ばし、干して作る。その糸のように長く、長くつながった様子から、幸せが続きますようにと、さまざまな行事に使われる。

口福

五色そうめん株式会社森川
手延五色そうめん 色束別¥497(税込み)
江戸・寛永年間に松山城下で創業。8代目が、椿神社の五色の糸から考案したというそうめんは、ゆでてなお色鮮やか。赤は梅肉、緑は抹茶、黄は卵、茶はそばで、色と風味づけ。●愛媛県東温市南方2283‐1 TEL:089・966・5511 goshiki-soumen.co.jp/より取り寄せ可。

無病息災(むびょうそくさい)

健康や長寿を願う食べものは、故事に由来する申年の梅や鯖、鮭に限らず、いくつもある。くるんと曲がった姿形を腰の曲がったお年寄りの様子になぞらえて長寿を願う海老や、100年生きるとされるアワビもよく知られる。

【鯖】
生ものが貴重だった時代。盆と正月には、精が出る生魚を年配者に贈り、長寿を願ったという。西日本では鯖、東日本では鮭で、正月の新巻き鮭はその名残。

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棒寿司 朝日屋
名物 鯖の棒寿司 大¥3,000
京都・石清水八幡宮の麓で100余年続く寿司屋の名物。三陸沖で獲れた脂がのった鯖は、酢飯に負けじと厚みがあり、その味を活かした締め加減は絶妙のひと言。●京都府八幡市八幡高坊11‐4 TEL:075・981・3202 www.sabasusi-asahiya.comより取り寄せ可。

【申年(さるどし)の梅】
邪気を祓う赤、特に申年に漬けた梅干しは、無病息災を保つとされる。平安の昔、申年に疫病が流行るも、梅干しを食べた天皇が長寿を得たとの逸話に由来。

口福

紀州梅専門店 五代庵
丙申年の梅 五福 1粒かめ壺入¥3,240(税込み)
和歌山の農園で、江戸後期より梅作りをしてきた梅干し専門店が、申年の梅で作った梅干し。塩だけで漬けた南高梅は皮がやわらかく、昔ながらの味。金粉付き。●和歌山県日高郡みなべ町東本庄836‐1 TEL:0120・12・5310 www.godaiume.co.jp/より取り寄せ可。

広田千悦子さん 日本の行事・歳時記研究家。築80年の日本家屋にて、凛とした和装で「しつらい教室」を開催するほか、文筆家として著書も多数。近著に『鳩居堂の歳時記』がある。

※『anan』2018年4月4日号より。写真・清水奈緒 スタイリスト・荻野玲子 取材、文・齋藤優子

(by anan編集部)


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