
作品を構成する「映像」「キャラクター」「音楽」の3要素から、その“いとをかし”な魅力を深掘りします!
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『超かぐや姫!』
月からやってきた謎の少女かぐやは、17歳の女子高生・彩葉(いろは)と出会う。二人は仮想空間ツクヨミでライバーとなり、管理人のヤチヨ主催のヤチヨカップで優勝するため新規ファンの獲得に奔走する。やがてかぐやの運命が大きく動き出す。Netflixで世界独占配信中および劇場公開中。
今年1月、Netflixオリジナルアニメとして世界独占配信された『超かぐや姫!』。古典作品「竹取物語」を下敷きに、「ゲーミング電柱」から生まれた謎の少女かぐやと、親元を離れ一人で暮らす女子高生・彩葉が出会う青春物語だ。
公開直後からSNSを中心にジワジワと口コミが伸び「2周目がヤバい」という類いの投稿が激増。その特異な世界観と物語構成が注目を浴び、2月には1週間限定の劇場公開を実施。好評で延長となり、3月からは全国100館以上で上映された。入場者特典や発声可能上映なども続々と追加され、熱は冷めやらない。
人気の背景にあるのは物語の強度と柔軟さだ。140分というボリュームで彩葉とかぐやの絆を丹念に描きながら、時間を感じさせないテンポ感でストーリーが展開していく。さらに彩葉と友人との交流、仮想空間「ツクヨミ」でのゲームバトル、かぐやの成長などが緻密に描かれ、ネットミームや往年のボカロ曲のリミックスも絶妙で、壮大なエンディングに辿り着く頃には「もう一度観たい!」と夢中になっているのだ。
さらに本作は『呪術廻戦』『チェンソーマン』などクオリティの高いアニメのオープニングを手掛けてきた山下清悟監督の初長編監督作品。新世代の監督らしい、記号的でなく“アニメアニメしていない”演出が、日頃アニメを観ることがない層にも刺さったと思われる。
オリジナルアニメゆえ宣伝チームの動きもスピーディで、配信前の「歌ってみた」動画やGIFアニメの配布などの燃料投下が抜群に上手く、視聴後もあの世界に浸っていられる。魅惑の『超かぐや姫!』はどうやって生まれたのか。
迫力の映像体験がいとをかし!

スマートコンタクトを装着してログインする仮想空間ツクヨミは、和をテーマとした煌びやかな世界だ。五重塔や鳥居など京都の街並みを参考にデザインされ、所々に蛍光ネオンが煌めくサイバーパンクの風情が漂う。風景は360度パノラマ画像を天球の3Dレイヤー上に貼り込んでおり、仄暗く淡い灯りが美しい広大なフィールドが表現されている。まるでツクヨミの住人になったかのようなグラフィックが眼前に広がり没入感が強い。またかぐやたちが参加するゲームイベント「KASSEN」はアクションを得意とする山下監督のカメラワークによって今まさにバトルに参加しているかのような臨場感が。ライブシーンもいわゆるバーチャルライブのような生っぽさが味わえる。
キャラクターの魅力ががいとをかし!

赤ちゃんから急激に成長するかぐや、バイトをしながら勉強に励む苦学生の彩葉、敵か味方かわからないヤチヨ、頑張る彩葉を見守る友人の芦花と真実、アイドル的な人気を誇り三者三様の魅力を見せるブラックオニキス、案内役のウミウシ・FUSHIなど、ひと癖もふた癖もある魅惑のキャラクターが続々と登場する。誰もが現実世界とツクヨミのふたつの顔を持っていて、普段はおとなしい制服姿の彩葉も狐耳姿のプロデューサー「いろP」として大活躍。そのギャップが魅力だ。敵らしい敵が登場せず、悪意がちらついて気持ちを揺さぶられることがないのも本作の特徴。観ていて気持ちのいい人間関係が描かれ、画面からはポジティブなバイブスが溢れている。
楽曲のこだわりががいとをかし!

ツクヨミではユーザーの多くがライバーとして活動しているため、切っても切り離せないのが音楽だ。インターネット的な文脈からボカロ曲がフィーチャーされ、VOCALOIDの初音ミクが歌唱した名曲「メルト」「ワールドイズマイン」を作者のryo(supercell)自らリミックス。新曲「Ex-Otogibanashi」も制作された。さらに劇中歌「Reply」はkz(livetune)が手掛けている。またエンディングテーマに選ばれたのはBUMP OF CHICKENの「ray」。2014年のリリース時、バンドで初めて初音ミクとコラボレーションした記念すべき楽曲だ。また、声優陣が様々なボカロ曲をカバーした「歌ってみた」動画がYouTubeで公開されておりライバーの活動の一環としても楽しめる。
anan 2495号(2026年5月13日発売)より
























