本場アメリカで繰り広げられる“ベースボール”が人を惹きつけてやまない理由はどこにある? MLB専門誌『SLUGGER』編集長の久保田市郎さんと、スポーツライターの及川彩子さんがその魅力を解説します。
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お話を聞かせてくれた方々
Profile
久保田市郎
MLB専門誌『SLUGGER』編集長。ABEMA、SPOTV NOWで試合解説も務める。選手一人ひとりの経歴やストーリーにも詳しい。推しチームはレッドソックス。
及川彩子
ボールパーク(球場)の芝生の美しさに魅せられ、スポーツライターに。『Number』などに寄稿するほか、MLB公式サイト・日本語コンテンツプロデューサーも担う。NY在住
ポイント1| MLBの魅力は、ずばり…
世界初のプロ野球リーグが誕生した1871年から続く、長い歴史に刻まれた数々の名勝負、名選手たち。“超人”が集結する場所にしかない楽しさとは?

昨年は自己最速の164km/hを投じた大谷選手。まさに超人…。今年は更新なるか?! 写真:AP/アフロ
「自由。明るい。規格外」(久保田さん)

ドジャースの選手が好プレー時に見せるヒップロック。試合中のわちゃわちゃ感がかわいい。 写真:AP/アフロ
様々な背景を持った選手が集まり、個性を発揮しながらプレーをする。打撃・投球フォームから風貌までとにかく自由で、「俺の持ち味はこれだ」と、ある意味、野球を通して自己表現をしているといえるかも。そこに勝敗を超えた魅力があると思います。また、球場が“ボールパーク”と呼ばれているように、青空の下、天然芝の上でプレーすることがアメリカ野球の原点。この開放感と明るく楽しむ雰囲気が、選手だけでなく観客にもあるのがとてもいい。選手個々の能力はもちろん、スポーツとしての規模も規格外。30ものチームが頂点を目指して争い、いつクビになるかわからない激しい生存競争がある一方で、桁外れの額のお金が動く。こういったスケールの違いも魅力です。
「力と力の真っ向勝負」(及川さん)

歴史に残る名勝負・名シーンが生まれるのは、息の詰まるような真剣勝負だからこそ。 写真:Imagn/ロイター/アフロ
やっぱり圧倒的なパワーとスピード。160km/h超の速球をフルスイングで迎え撃つ、「力と力の真っ向勝負」はMLBならでは。また、豪快なだけではなく、頭脳戦や駆け引きも楽しめます。技巧派投手がキレのある変化球や絶妙なコントロールで、超一流の強打者から空振り三振を奪う場面は「うまい!」と唸ってしまうほど。さらに、外野手がフェンスを駆け上ってキャッチしたり、振り返りざまに背面でつかんだり。「今のどうやって捕ったの!?」と、打った選手も思わず苦笑いするようなスーパープレーも見どころです。
ポイント2|“ならでは”の楽しさがいっぱい!
楽しいこと大好き! なアメリカだからこそ、野球のエンタメ性にも手を抜かない!? 「(たとえ日本からでも…)また、球場に行きたい!」と思ってしまう理由はこれだ!
① 目が離せない! 個性強めの球団マスコット

チームへの愛が暴走しがちな、ファナティック。 写真:AP/アフロ
「チーム公式の着ぐるみマスコットたちの中には、ちょっと過激なキャラクターもいて、球場を沸かせてくれるのも楽しいポイント。例えば、フィラデルフィア・フィリーズのフィリー・ファナティック。過去には、1976年から1996年までドジャースを指揮した名物監督トミー・ラソーダの人形を、ファナティックがいじり倒して挑発した結果、ラソーダ監督が本当に怒って乱闘になりかけた歴史的な名場面(?)が…。ファナティックは全く反省していませんでしたね(笑)。最近では、ニューヨーク・ヤンキースとの試合時にヤンキースのヘルメットを叩き割っていました」(久保田さん)
② 球団独自の「プレゼントデー」がある!

大谷選手のボブルヘッド人形が登場したことも。 写真:AP/アフロ
「見逃せないことの一つが、各球団が趣向を凝らすプレゼントデー。レプリカユニフォームやボブルヘッド(首振り)人形、Tシャツや帽子など、球場に足を運び観戦した人だけが無料でもらえる特別なグッズが、球場に用意されています。個人的なお気に入りは、LGBTQ+の日に配られたレインボーカラーをあしらった帽子や、ハローキティデーに登場したドジャース仕様のキティのぬいぐるみなど。スペシャルなグッズが配られるイベントに、普段あまり球場に来ない方々が楽しそうにしている姿を見ると、こちらまでハッピーな気分になります」(及川さん)
③ 合間の“定番”エンタメがクセになる!

絶妙にデフォルメされた元大統領たちが激走! 写真:アフロ
「試合の合間に行われる定番の余興が着ぐるみのレース。各球場でいろんなバージョンがありますが、おすすめはワシントン・ナショナルズの『大統領レース』です。ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、エイブラハム・リンカーン、セオドア・ルーズベルトの4人の着ぐるみで走るのですが、テディ(ルーズベルト)だけ転んだり、妨害されたりして、7年近く負け続けたことがありました(笑)。あと、どの球場でも行うのが7回表終了後の『セブンス・イニング・ストレッチ』。『私を野球に連れてって』をみんなで歌い、体をほぐす習慣があります」(久保田さん)
④ 各地の特徴が際立つ“ボールパーク”
「『球場のデザイン』にはぜひ注目を。各地に広がるチームの“ホーム”は、それぞれ球場ごとに造りが違うので、歩きながら見るだけでもワクワクします。サンフランシスコ・ジャイアンツの『オラクル・パーク』のように外野の向こうに海が見える場所や、100年以上の歴史を持ち往年の名選手を思い起こさせるレッドソックスの『フェンウェイ・パーク』など、観戦以外の楽しみもたくさんです」(及川さん)。「カブスの『リグレー・フィールド』はデイゲームが似合う“アメリカ野球の原点”のような球場。スコアボードも昔ながらの手動式が現役で使われています」(久保田さん)
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anan 2485号(2026年2月25日発売)より














