ライブの場も思い出も。世界のみんなとシェア。
「SHIBUYA109 lab.」所長・長田麻衣さんによると、Z世代はポジティブマインド注入モード。それは音楽においてもいえるよう。
「今、西野カナさんが大人気なんです。西野さんといえば、『会いたくて 会いたくて』のようなしっとりとした恋愛ソングを思い浮かべる人もいると思いますが、Z世代には、2012年の『GO FOR IT!!』や2013年の『Believe』などハッピーな雰囲気に満ちた曲を歌うアーティストのイメージ。西野さんが改めて注目を集めるようになったのは、TikTokのBGMで使われることが多くなったからだと考えられます。ショート動画と音楽をセットにして、ハッピーな気持ちをシェアしたい。そういうムードに合っているのだと思います」
そして、音楽を楽しむ場であるライブ会場には、こんな変化が。
「海外アーティストの公演では、観客によるライブの動画撮影が日本の会場でもほとんど許可されていますが、日本人アーティストの場合は長年禁止されていました。それがここ数年で部分的にOKなど緩和方向へ。そんななか、10月から始まったMrs. GREEN APPLEのライブでは、携帯電話やスマホでの公演中の写真と動画撮影が可能に。しかも、SNSやブログなどへの投稿もOK。日本トップクラスの人気バンドのこうした決断は、ほかのアーティストにも影響するのでは。撮影OKの流れは、今後広がる可能性があります」(noteプロデューサー・徳力基彦さん)
ファンによる推しの動画の拡散は、アーティストが活動の幅を広げるうえで推進力になると世界的に知られている。実は2024年から2025年にかけて、日本人アーティストがワールドツアーを続々開催予定。
「Adoさんは50万人超え、米津玄師さんは12万人規模とも。二人は、アジアのほかにヨーロッパとアメリカも回るんです。わりと最近まで日本語の曲は海外で通用しないといわれてきましたが、世界配信されるアニメの主題歌などを機に、海外でもヒットするという現象が起きています」(徳力さん)
ついに、海外で日本語楽曲ブームが起こるかも?
「2024年、世界最大級のアメリカの音楽フェス『コーチェラ』に、YOASOBIと新しい学校のリーダーズが出演した際、欧米の観客が日本語の曲を大合唱していました。昔は海外進出用に英語曲を作っていましたが、今はその必要はない。むしろ日本語曲のほうが好まれるのでは」(徳力さん)
求められるのはハッピーな雰囲気に満ちた音楽。

西野カナがZ世代ハッピーソングの代表格!
2019年から活動を休止していた西野カナが、’24年に活動を再開。7月に新曲「EYES ON YOU」をリリース。11月に横浜アリーナで復帰ライブを行い、’25年4月からはアリーナツアー「Fall In Love With You Again Tour 2025」を開催。ⒸSony Music Labels Inc.
動画撮影解禁続々。ライブの常識が変わる?
Mrs. GREEN APPLEのほかにも、ダンスボーカルグループなどがライブ中に撮影タイムを設けて撮影を許可することがある。2025年はもう少しこの輪が広がっていくかも…?
日本語楽曲ブームが海外で巻き起こる!?

Adoがアジア、ユーロ、アメリカでツアーを開催。
歌い手のAdoが2度目のワールドツアーを開催。2025年4月26日にさいたまスーパーアリーナからスタートして、世界30都市以上を回る。観客動員数は50万人超えを予定。日本人アーティストとして過去最大級規模のワールドツアーとなる。
【ワールドツアー予定のアーティスト】Ado、なにわ男子、YOASOBI、米津玄師
YOASOBIは、ソウル、香港、バンコクなど7か所。米津玄師は、ロンドン、パリ、ニューヨークなど7か所。なにわ男子は2024年に台北、’25年にソウルと香港で公演。’24年は、藤井風や新しい学校のリーダーズもワールドツアーを行っていた。
PROFILE プロフィール
徳力基彦さん
noteプロデューサー。ビジネスパーソンや企業におけるnoteやSNSの活用についての啓発やサポートを担当。Yahoo!ニュースへのエンタメ関連の寄稿も行う。
長田麻衣さん
若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」所長。毎月200人のZ世代と対話を行う。TBS系『ひるおび』月曜コメンテーターなどメディア出演や寄稿も多数。
anan 2428号(2024年12月25日発売)より