「あの有名な『ルパン三世』でルパンをいつも取り逃がす“とっつぁん”こと銭形幸一が主人公の刑事ドラマです。ルパンは出てこなくて(笑)、普段のとっつぁんがどんな事件を解決しているのかを描いています。最初は『面白そう、やりたい』と思いましたが、だんだん、ちょっと待て、あの銭形だよな…って不安が強くなり、クランクイン直前はかなりビビってました」
あの外見、あの衣装、そしてあのダミ声! 銭形警部のキャラクターの強さは誰もが知るところ。
「いろいろ悩んだ結果、外見を近づけるというよりも、芝居で、いかに銭形を魅力的な人間に見せるかだと思ったんです。銭形って、上下関係のルールに厳しく、礼儀正しい男なんですよ。それでいて女性を前にするとすごくシャイ。WOWOWではハードボイルドな事件に巻き込まれたりもするのでかなり渋い銭形を演じるし、Huluでは元カノと再会するなんていう恋愛も描かれていて、多面性を持ったキャラに仕上げていくのは楽しかったですね。正義を貫くという精神を一番に見せつつも、ダンディズムと可愛らしさ、この相反する2つを両立させられれば、銭形は成立すると思いました。
衣装は、なるべく国産のものをリクエストしたんです。ハットにトレンチコートというお決まりの姿はアメリカの漫画『ディック・トレイシー』にインスパイアされていますが、そこは銭形ですから、日本人魂を大事にしているのではないかと思って。アメリカンスタイルではありつつ時計は国産のヴィンテージ、ネクタイも国産…などのこだわりを持つことで、ダンディズムに拍車がかかるのかな、と。ちなみにトレンチコートは本来ならバーバリーですが、裏地が主張しすぎてしまうので、光の当たり具合で奥行きが出るような、玉虫色の生地に張り替えたオリジナルです」
さて、肝心の声はというと…?
「(ダミ声で)ダミ声です(笑)。最初はモノマネから入り、そのうち自分の声との中間点を探り出しました。アニメでは脇役だし、いつもダミ声で大声というイメージだけど、主役となると常に大声でいるわけにはいかないので、落ち着いた銭形も演じています。衣装や声も含めて、視聴者が、アニメの銭形ってこの人をモデルにしたの? と思うような、フィクションとリアルの中間を意識して演じました」
このドラマプロジェクトの皮切りは、日テレで放送される3社共同製作の2時間スペシャルだ。
「ハリウッドのようなド派手な事件に巻き込まれていく銭形の、できる男っぷりを見てほしいですね。一方で部下の桜庭(前田敦子)にイジられて照れる銭形の可愛らしさはアンアン読者のみなさんにとっては魅力的かもしれません。2時間スペシャル、WOWOW、Huluとそれぞれ違う銭形をお楽しみください!」