日本での親和性の高さで、参加者&観測者ともに急増。
「ストグラ」という新たな楽しみ方を日本で定着させたしょぼすけさん。今までも『マインクラフト』や『Among Us』をいち早く“発見”してきたしょぼすけさんが次なるゲームとして見つけたのがストグラの元となる『グランド・セフト・オートV』(GTAV)だった。
「GTAオンラインの専用サーバーでロールプレイするという遊びは、実は海外では2010年代にすでにあったんです。日本も子どもの頃におままごとをしていたり、演じることに親和性が高い人が多いので、受け入れられやすいのではと思い、『ストグラ』を始動させました」
当初は50人規模からはじまり、今や参加者の数は600人にもなる。
「ジャンルの垣根を越えていろんなゲームユーザーが集まる場所になればという思いから、『ストグラ』にはゲーム配信者以外にも多種多様な人が集まっています。これからストグラを楽しみたい方は、ぜひ推しの参加者さんを見つけて、その人と共にこの世界を探索してみて」
What’sストグラ?
「ストリートグラフィティロールプレイ」の略。舞台となるのは、人気クライムアクションゲーム『グランド・セフト・オートV』を元に作られた「ロスサントス」という仮想都市。そこで、自分で作成した好きなキャラクターになりきって生活するという“メタバース×ロールプレイ”の新感覚コンテンツ。プレイするためには管理者の承認が必要。参加者たちが「ロスサントス」での日々の暮らしや住人同士のコミュニケーションを配信する一方で、視聴者は“観測者”と呼ばれ、リアリティショーを見るような気分で配信を楽しむ。観測者がコメントなどでロールプレイに口出しすることは御法度とされており、あくまで観測に徹するのがルール。
お話を伺った方・しょぼすけさん ゲーム配信者。現在は「ストグラ」の運営をしつつ、参加者としてロスサントスの市長も務める。海外ゲームに造詣が深く、好きなゲームを広めたり人を集めるのが好き。「ストグラ」でも配信者ならではの運営が好評。
参加者と観測者…互いの魅力をチェック!
参加者サイド:第二の人生をロールプレイ!
「ストグラ」の醍醐味は、プレイするキャラクターが自分自身と必ずしもイコールでなくてもいいということ。自分とはかけ離れたキャラ作りをしてあえてトラブルを起こすことも、逆に自分そのものとして街に存在することも、どちらも思うがままに楽しめる。
観測者サイド:配信動画で、誰かの人生を追体験!
ロスサントスという危険と隣り合わせの街で暮らす人たちの生活を覗き見しつつ、その人たちの人生を追体験できるのが観測者の面白さ。いろんな人の視点を借りて、参加者では知り得ない裏の事情を把握することもできるし、ひたすら参加者を見守るのも楽しい。
参加者に聞く! 恋愛・ファッション・お仕事…「ストグラ」での日常。
「ストグラ」では“元難波芽久未”として第二の人生を生きる俳優の松村芽久未さん。松村さんが考える参加者の楽しさ、そしてこだわりとは?
左から、Avatar:元難波芽久未さん、User:松村芽久未さん。
もともとゲーム好きで、「ストグラ」のこともご存じだったという松村さん。参加したきっかけは、舞台で共演した俳優仲間から招かれたことだった。
「ゲームは好きで毎日プレイしていたんですけど、ロールプレイは初めて。だから最初は緊張しました! 俳優として活動している以上、『ストグラ』でも自分とは違う人物を演じることに重きを置いて、自分とは性格も考え方も完全に分けてプレイしています」
松村さんがプレイする元難波芽久未は、もともと日本でアイドルをしていたが卒業。その後もっと自分の知らない世界を見たり、経験をしたいと思いロスサントスへ、上京ならぬ“上ロス”する。いろんな仕事を経験する中で、救急救命士の仕事に光を見出す。
「アイドルはステージの上でお客様に元気を与えられるお仕事でしたが、救急隊はまた別の形で誰かの役に立てる仕事があるんだなということを実感させてくれました。救急隊は元難波にとって家族のような存在であり、大切な場所。仕事の合間に仲間とたわいもない話をする時間が幸せです」
ロスサントスで暮らす人たちの生活はリアルとそれほど変わらない。時には、思わぬ恋に落ちることも。
「実は先日、元難波は2人の男性から告白されたんです。当時は“魂”(松村さん自身)も本当にびっくりしました。元難波は恋愛を経験したことがなく、ライクはわかるけどラブとの違いがわからない。今はその間で絶賛悩み中という感じですね。彼女自身は突然の告白に困惑したと思いますが、そんな胸キュンなストーリーを見ながら、“魂”である私は“てえてえ(尊い)”と思っていました(笑)」
元難波の恋を応援したいと言えるのは、松村さんが彼女と自分をそれだけきっちり切り離して考えているから。
「ロスサントスではドラマが生まれ続けていますが、私の視点を見てくださる方には元難波のドラマをしっかりお届けしたいです。『ストグラ』には台本がないので、おかげでリアルでもアドリブがうまくなったかも(笑)。私にとって『ストグラ』は“第二の人生を歩める場所”。あの街で生きる元難波の今後に、ぜひ注目してください!」
「あくまでロールプレイで、私とは別人なので、私も彼女の恋愛を見守っています。元難波に想いを伝えた相手は、一人は面倒見が良い先輩、もう一人は普段から“チル”な時間を過ごす男性。どちらもギャングです(笑)」
「救急隊員は公務員なので、誰でもできるお仕事ではないんです。救急隊は人命救助が最優先。医療ミスなどしないように、細心の注意を払っています。公務員として、指名手配犯を見つけたら通報する義務も」(松村さん)
まつむら・めぐみ NMB48として2015年にデビュー。’17年にグループを卒業後、現在は俳優・声優として舞台を中心に幅広く活動中。声優e-Sports部にも所属。
もとなんば・めぐみ もともとアイドルをしていたが、卒業後はロスサントスへ。救急救命士としても、タバコ店チーフとしても働きつつ、密かに裏で動いている活動もあるとか。
※インタビューは、9月上旬に実施。
観測者に聞く! 見どころ&初心者向け動画。
参加者サイドの魅力を知ったら、気になるのが観測者サイドの見どころ。楽しみ方やおすすめの参加者など…2人の「ストグラ」ファンに聞きました。
お話を伺った方
Mさん 広告関係。人生のベストゲームは『ファイナルファンタジー』。『Apex Legends』の世界大会を観戦することも。
Yさん 会社員。Podcast『爆裂女血風伝』で好きなゲームのことを発信。最近は『ゼノブレイド2』をプレイ。
Y:「ストグラ」を見始めたのは、声優の中村悠一さんのYouTubeがきっかけ。中村さん操る“ネズ”が、様々な出来事に巻き込まれる様子に、続きが気になるようになった。
M:私も全く同じ! あくまでロールプレイだから“ネズ”のドラマを見ている感覚だし、そのスタンスは大事にしている。
Y:そうだね。「ストグラ」はいろんな人の視点が見られるから、「人には、人の数だけ物語がある」と思うよね。あと「人との接し方ってこうするといいのかも」って人生訓を得たり、意外と実生活にも良い影響がある気がする(笑)。
M:たしかに。いろんな才能を持った人が参加しているから、新しい発見が常にある。時には人間ドラマに涙することも…。
Y:ちなみに私が好きな参加者は、実況者のらっだぁさん演じる「青井らだお」。ヘリの操縦技術の高さと、警察官として的確な指示を出す姿が素敵!
M:面白い着眼点(笑)。私は、にじさんじの叶さん演じる「無馬(なしま)かな」さんをよく見てる。ギャングを辞めて一般市民の顔をしながら暗躍する様子にドキドキした!
Y:誰かを好きになると、他の人も気になり…好きな人だらけになるよね。自分の“好き”が広がるコンテンツだと思う。
M:時間があるときにしっかり見ても、何かしながら流し見にもうってつけ。笑って感動して感銘を受けて…日々いろんなドラマと住人に出合えるはず!
初心者におすすめの動画
愛されキャラは、「ストグラ」内でも炸裂。
ダイアン津田のゴイゴイスーチャンネル/『ストグラやりますー!!』
お笑い芸人・ダイアン津田さん扮する“ごいす太郎”。「『ストグラ』の世界に初めて入った瞬間から、ずっと面白い。部屋からなかなか出られなかったり、パンチを覚えた途端に殴り合ったり…行動に笑えます」(M)
中村さん演じるネズの会話の切り返しが絶妙!
中村悠一/『【1日目】ストグラはじめました』
声優・中村悠一さんも「ストグラ」に挑戦。「初日からギャングを相手に借金を作ったり、突如現れた警官に爆破されたり。刺激的な街・ロスサントスをサバイブするネズのドタバタな日常が観測できます」(Y)
※『anan』2024年10月23日号より。取材、文・尹 秀姫
(by anan編集部)