サッカー・荒木遼太郎×松木玖生「FC東京が優勝するためには自分たちが変わるしかない」

エンタメ
2024.07.23
激しくエレガントなプレーで攻撃に彩りを加える22歳の荒木遼太郎。圧倒的な勝負強さとメンタルでキャプテンとして輝く21歳の松木玖生。FC東京のスタイルを大きく変えた2人の若武者に迫る。

荒木遼太郎選手×松木玖生選手(サッカー/FC東京)

荒木遼太郎 松木玖生

写真右・荒木遼太郎選手、左・松木玖生選手

パリ五輪、W杯アジア最終予選と日本代表の注目試合が続くサッカー界。その熱気は国内のJリーグにも波及。さまざまなトピックで話題を集めている。そんな中、今回クローズアップするのが、FC東京の二人、荒木遼太郎選手と松木玖生選手だ。J1リーグでも上位を狙える位置につけ、今後が楽しみなFC東京。今、若い二人が先頭に立ってチームを引っ張り、新しい風を吹かせている。

攻撃で圧倒的な存在感を見せているのが、今シーズン開幕前に鹿島アントラーズからFC東京へ期限付き移籍し、パリ五輪の日本代表にも選出された荒木遼太郎選手。鹿島ではJリーグ史上2人目となる10代でのリーグ戦2桁ゴールを記録しながら、その後出場機会に恵まれず武者修行を決意。この決断が彼の人生を大きく動かした。

開幕2試合で3ゴールを挙げた活躍を皮切りに、抜群のサッカーセンスをFC東京で表現。以前から「使ってもらえたら結果を出す自信はある」と語っていた彼が、ピッチ内に“違い”を生み出す選手として存在感を強め、U‐23日本代表に復帰。試合の流れを変える“ゲームチェンジャー”として不可欠な選手へと進化した。

「個人的には思い描いていたシーズンにはなっていると思います。環境を変えて本当によかった。試合に出続けることで余裕ができて視野が広がっている感覚もあります。自分が常に考えているのは、他人と同じことをしてもつまらないということ。他の選手が持っていないプレーをしたり、相手の思考から逆を取るポジショニングを考えたりしています」

試合の流れを読みながら、相手の嫌がるポジショニングやダイレクトパスで攻撃にリズムを生み出す。そのプレーはパリ五輪アジア予選でも存分に発揮され、カタールとの準々決勝では“負けたら終わり”の状況下で延長前半に決勝ゴールをアシスト。決勝でも終了直前にテクニカルなワンタッチパスで優勝に導くゴールを演出した。

「プレッシャーはすごかったですけど、それも含めて楽しめた。自分はこういう試合で緊張することがなくて、大会を通じてスタメンでも途中出場でも普段より高いパフォーマンスを出せて、本当に自分の武器を証明できた気がします。代表チームは日本を背負って戦う特別な存在ですし、こういう緊張感の中でもっとプレーしたい」

そしてもう一人、FC東京で今シーズンからキャプテンを務める松木玖生選手もまた、全く動じないメンタルの持ち主だ。21歳の若さで腕章を巻いて言葉とプレーで最前線に立つと、彼の言動がチームを大きく活性化させた。「同年代の玖生が言うから、自分も言えるようになった」と話す若手も少なくない。年齢を問わず厳しく求め合う空気が生まれ、勝つ集団になっていくベースがチームに醸成されつつある。

「FC東京が優勝するためには自分たちが変わるしかない。もっと求めていかなければいけないと思います。だから周りに言う前に、まず自分がチームのために一番走ったり、球際で戦ったり、率先して取り組むようにしています。口だけなら誰でも言えますから」

青森山田高校で何度も全国優勝を成し遂げ、各年代で日本代表に選ばれてきた。本人も「小さい頃から大事なところで点を決めていますし、決める自信もある。そこは誰にも負けない」と語るほど、大事なゲームで勝利に導くゴールを決めてきた経験もある。球際の激しさや動じないメンタルを発揮し、頼れる選手へと成長した。

自覚と責任感の強い選手だ。プロ1年目から先発に定着し、強いメンタルでチームに刺激を加えてきた。そして今年はプレー面でも今まで以上に充実感を覚えている。

「攻撃でも守備でも自分がゲームを作って、すごく自由にやらせてもらっています。得点も自分で取りにいくやり方が好きで、心地いいサッカーができている。そこに結果が結びつけば自分への自信につながるので、目の前の試合を大事にして戦うところからしっかりとやっていきたい」

彼は豊富な優勝経験を持つからこそ大切にしていることがある。

「先の話をするのは本当に好きじゃないんです。目の前の試合にフォーカスしない人がチームに1人でもいると、足をすくわれる。プロの世界で優勝したことがないから合っているかどうかは分からないですけど、高校時代はそれで何度も優勝してきてるんで」

プレッシャーすら歓迎する二人の若き“メンタルモンスター”。いずれも将来性は無限大だ。彼らがここからさらに、いかなる成長を見せていくのか。若い二人の未来に、これからも注目だ。

パリ五輪男子サッカー グループステージ日程
7/25(木)2:00 vsパラグアイ
7/28(日)4:00 vsマリ
7/31(水)4:00 vsイスラエル
※日本時間

FC東京 J1リーグ ホームゲーム日程
8/11(日)19:0 0 vs川崎フロンターレ
8/17(土)19:00 vs東京ヴェルディ
9/14(土) vs名古屋グランパス

あらき・りょうたろう 2002年1月29日生まれ、熊本県出身。170cm、60kg。MF。東福岡高校から鹿島アントラーズへ加入。プロ2年目の2021年、史上2人目となる10代での2桁得点をマークしてJリーグベストヤングプレーヤー賞を受賞。今シーズンからFC東京へ移籍。高いレベルで複数の攻撃ポジションをこなし、一瞬でビッグチャンスを生み出すアタッカーとして活躍している。ニックネームは「タロウ」。

まつき・くりゅう 2003年4月30日生まれ、北海道出身。180cm、78kg。MF 。青森山田高校で数々の全国タイトルを獲得し、鳴り物入りでFC東京へ。高いボール奪取力とゴール前での勝負強さを武器に、ルーキーイヤーからレギュラーに定着した。若さに似合わぬ強いメンタルに定評があり、今シーズンから3人制を採用したチームキャプテンの一人に就任。圧倒的な勝負強さでチームをけん引する。

※『anan』2024年7月24日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・ダヨシ ヘア&メイク・TOYO(BELLO) 取材、文・青山知雄

(by anan編集部)

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