――最近、ものまねをしているキンタロー。さんは、とても生き生きとして輝いて見えます。“再ブレイク”と言われることも多いそうですが?
言われるたびに嬉しいんですけど、自尊心が低いので。喜びの気持ちからすぐ、“果たして本当にそうなのか…”という想いに変わってしまうけど、本当に再ブレイクしてたらいいなって思います。
――披露するネタが、以前とは変わったように感じます。
自分としてはいろいろなものまねをやってきたつもりでしたけど、世間的な認知がものすごく低くて。前田あっちゃんの人とか、ダンスの人みたいなイメージで止まっていたのが、『水曜日のダウンタウン』に出たことで大きな転機が訪れました。「30‐1グランプリ」や「“まだ誰もやってない”モノマネ王座決定戦」という企画で果敢に攻めた結果、“あ、他のものまねもやれるんだ”“急に振ってもできるんだ”という認知になって、ものまねという括りでいろいろな番組に呼ばれるようになったんです。それまでは、なかなか認められなくて悔しかったり、落ち込んだりもしたんですけど。やっぱり、松本人志さんが『こいつおもろいわ』って言ってくれたことが大きくて、感謝しています。
――“犬系彼女”のものまねもSNSで大きな話題になりました。
同じようなことはやっていたんですけど、TwitterがXになってから、フォローしていない人が表示されることが増えたじゃないですか。私に興味がなくて、私をフォローしていない人も、ものまねを見る羽目になるというか。それで再生回数が尋常じゃなく増えまして。イーロン・マスクのおかげですね。
――ネタ作りはどうされているのでしょう。
もともと、すごく時間をかけて研究する性格ではなく、気になる人がいたら顔にいろいろ描いてみるんです。そして、せっかく顔に描いたら世に出さずに落とすのはもったいないから晒そう、みたいな感じでSNSに投稿するんです。もともと即出しするのが好きなんですよね。だから、最近は自分がやりたいことに世間の認知が追いついたから、すごくやりがいのある仕事が増えました。以前は、やりたいことと求められることのズレがちょっとあったので。すごく楽しいし、ありがたいです。
――ものまねをする人は、どうやって選んでいるのですか?
片岡鶴太郎さんが出演されている救心のCMに出てくる「心が、楽しめと、言っている。」という名言に衝撃を受けまして。やっぱり、心が楽しいと思うことが一番だなと思ったので、まずはやってみたいと感じたものを選ぶようにしています。たとえば、キム・カーダシアンは、『カーダシアン家のセレブな日常』という番組が大好きで、こんな夢のような日常を送りたい、まねをしたら面白そうだという憧れから始めました。
――今日、披露していただいたアンジェリーナ・ジョリーは、どういう経緯だったのでしょう。
芸人になる前にテレビで映画『トゥームレイダー』が流れていて、うわ、カッコいいなと思いながら観ていたら、終わる頃にアンジーの顔になっていて。当時、カメラ付き携帯が出たばかりの頃だったから、なんとなく撮影してみたんです。それから月日が流れ、ものまねのレパートリーを探している時に思い出してやってみたら、みんなが似ていると言ってくれて、アンジーとして活動しようと。北大路欣也さんは、ドラマ『三匹のおっさん』にゲスト出演させていただいた時にお会いして。ロケの待機時間中、道ゆくおばさまたちが北大路さんに気づいて近づいてきた時に、「お騒がせしてすみません」と、北大路さんが声を出すことなく、顔だけで伝えていらっしゃったんです。
――再現してくださったお顔が素晴らしすぎます(笑)。
やっぱり一流の俳優さんというのは顔で語れるし、オーラやサービス精神に感銘を受けてしまって。そんな北大路さんのすごさを広めたいという気持ちでやり始めました。ただ、私の技術では、北大路さんの顔だけで伝えるテレパシーを実演できず、「北大路欣也です」と喋っちゃってるんですけど。
キンタロー。 1981年10月24日生まれ、愛知県出身。2011年、松竹芸能タレントスクールに入り芸人の道へ。ものまねや得意のダンスなどで注目を集め、数々のバラエティ番組に出演。今年3月に松竹芸能を退社し、現在はフリーとして活動。アーティスト・ナキボクロの楽曲「抜刀」のMVに出演して話題に。公式YouTubeチャンネル「Kintalo TV」も配信中。
※『anan』2024年6月26号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・佐野友香(ラッキースター) ヘア&メイク・INA インタビュー、文・重信 綾
(by anan編集部)