chelmicoによる連載「chelmicoのちいさなにっき」。Vol.27はRachelによる「引っ越しのお話」の巻。
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最後に引っ越したのは1年と少し前。当時の恋人(今の夫)と、3年ほど住んでいた家から今の家に引っ越してきた。前の家はワンルームだったので子育てには向かず、家族連れが多く住む今のマンションに引っ越してきた。前の家は、本当に良かった。木の香りで満ちていて、窓が大きくてあたかかな日差しが入ってきた。食洗機があったし、映画を観るためのスクリーンまで備え付けてあった。みんなが夢見る秘密基地のような家で、友達と集まることもよくしていた。まみちゃんも時々来てくれていたね。夫が粘り強く探してくれた家だった。今のマンションも家族で暮らすにはぴったりな、良いマンションだ。夫は、家を選ぶセンスと、探す根性があって、それが私には全くない。ない、というかあるのかもわからない。というのも、私は19歳の時に実家を出てから、自分で家を選んだことは一度もない。こうして書くと「そんなことある!?」って感じだね…。じゃあどこに住んでいたのかっていうと、兄や友達や恋人(これが一番多い)の家に転がり込んで暮らしていた。誰とも住んでいない時期も少しあったけど、その時に住んでいた家も実家が空き家になっているというので、そこに住んでいた。自分で選んだわけではない。そしてこの一軒家に、友達を住まわせていた。私は常に誰かと住んでいて、自分で家は選ばない。

引っ越しは好きだよ! 環境が変わることにはワクワクするし、次の家に持っていくものを考えるのも楽しい。いらないものがドゥルンと自分から出ていくような感覚も気持ちいい。普段から荷物の整理をしないぶん、爽快感がエグい。次の引っ越しはいつになるかわからないけど、結局自分で家は選ばないだろうな。いつか自分で家を借りてみたいな。まみちゃんは前から物件情報を見るのが好きと言っていたね。憧れる。まみちゃんの話を聞いてみたい。

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チェルミコ 左・Rachel(レイチェル) 1993年生まれ、神奈川県出身。右・Mamiko(マミコ) 1996年生まれ、東京都出身。2014年chelmicoを結成。4月11日(木)、恵比寿LIQUIDROOMにてchelmico presents「カンパイランドvol.2」開催。

※『anan』2024年4月10日号より。写真・幸喜ひかり ヘア&メイク・ナリタミサト

(by anan編集部)

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内側からこみ上げる情熱の扱い方がテーマの日です。その有り余るほどのエネルギーは日常生活の中ではうまく使えないかもしれません。むしろ非日常的な場や、普段の仕事とは別の趣味世界を通じて発揮されやすいタイプのものです。知的なこと、芸術的なことなど人それぞれ表現は違っても、何か熱意を投じる先があるとよいです。

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