「キレイになりたい」思いが暴走! 笑えて、タメにもなる美容法。
「美容マンガはいつか描きたいなと思っていたんです。だから柳川さんからお話をいただいたときは、跳び上がるくらい嬉しかったです」
柳川さんとは「おヤナさん」として登場する担当編集。美容入門者のおヤナさんが、まんきつさんにさまざまな美容法を教えてもらうスタイルで話が展開していく。今すぐ始めたくなる手軽なもの、本格的な施術、真似しないほうがよさそうなトンデモ系が入り乱れるカオスっぷりだ。
「難しい説明より、マンガとして読んで面白い内容を意識しました。ネタ決めのときは、柳川さんと本当によくしゃべりましたよね。雑談がほとんどでしたが、好き放題に語り合うその自由さも出せた気がします」
「まんきつさんは本当にいろんな美容法を試されていて、なぜこんなバカなことを!? と言いたくなるものや、マンガには描けないことも結構あるんです(笑)。ガチガチの美容法の間に、笑えるけど、誰でもどこでもできて、お金もかからないようなネタを挟んだりして、メリハリをつけています」(柳川さん)
絵を描きながら発見した美しさのバランスを、自分の体で再現しようとしたり、脱毛器でおでこを広げて後悔したり。情熱と行動力は頭が下がるほどだが、ストイックすぎず、サボるときはしっかりサボるのも親近感が湧く。後半、ページを割いているのが、余分な皮膚を切って顔のタルミを引き上げる「切開リフト」。やると決めるまでの葛藤や、その顛末を赤裸々に綴っている。
「柳川さん含め身近な人から『本当に描くの!?』と言われたのですが、エッセイマンガなのだから、正直に描かなければと思っていました。何をやるときもそうなのですが、物事にハマっている自分がいつつ、いいネタができたことを客観視している自分もどこかにいるんですよね」
美容に執着する様をユーモアたっぷりに描きながら、ふと頭をよぎるのは、「誰のため」「何のため」にここまでやるのか、という問い。
「行き着くのは自己満足なんです。傍から見たら大して変わらないかもしれないけど、自分はやってよかったと思えるし、元気になれるので」
美容だけでなく、何かしら沼落ちしたことのある人にはわかりすぎる悲喜こもごもが、詰まっている。
『そうです、私が美容バカです。』 キレイになりたくて必死な様子が失笑と共感を呼ぶ、美容エッセイ。安くできる美容法にこだわる著者の体験談が満載。新シリーズも再開予定! マガジンハウス 1210円 ©まんきつ/マガジンハウス
まんきつ マンガ家。1975年生まれ。『アル中ワンダーランド』『湯遊ワンダーランド』『犬々ワンダーランド』などのコミックエッセイが人気。
※『anan』2024年3月6日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子
(by anan編集部)