男女それぞれに国際舞台で実績のある選手が代表に名を連ねるが、その中でも注目されるのが女子53kg級の藤波朱理。「レスリングの次の時代を背負う逸材」と期待が寄せられている選手だ。
成績がそれを裏付ける。現在は日本体育大学2年生の藤波は、中学2年生だった2017年9月以降、出場した国内外すべての大会で優勝している。つまり約6年にわたり、一度も負けたことがないのだ。現在も継続する連勝記録は、あの吉田沙保里が築いた119連勝をついに上回り「122」まで伸ばしている。
タックルをはじめとする攻撃力、簡単に相手に崩されることのない防御、巧みな駆け引き。あらゆる面で秀でた実力を持つ藤波は世界選手権でも優勝候補筆頭。連勝記録を継続するとともに、パリオリンピックへの切符を目標に大会に臨む。
もう1人の注目が50kg級の須﨑優衣。現在は24歳、東京オリンピックで金メダルを獲得した女子4選手のうちただ一人、熾烈な代表選考を勝ち抜いて世界選手権の日本代表に選ばれた。
須﨑の築いた記録も藤波に負けていない。中学生のときに国際大会に初めて出場して以来、国際大会ではすべて優勝し、外国人選手には82連勝中にある。昨年、U‐23世界選手権で優勝。オリンピックをはじめとする主要国際大会5つをすべて制覇することを「グランドスラム」と言うが、男女を通じて世界で初めて達成した。あらためてその突出したキャリアを示す機会となった。
長年、世界で圧倒的な強さを誇ってきた日本女子。偉大なる先輩たちを継いでいくであろう藤波、須﨑の活躍に期待が集まる。
男子も見逃せない。フリースタイル65kg級には東京オリンピック金メダルの乙黒拓斗、グレコローマン60kg級には東京で銀メダルの文田健一郎が出場する。彼ら実績を備える第一人者を中心に、女子に負けない活躍を期している。
パリオリンピックの前年に行われることからその前哨戦とも位置付けられる今回の世界選手権。ここでしっかりパリ代表の内定を獲得するとともに、4年に一度の大舞台への足がかりとすべく、選手たちは優勝を目指して大会に臨む。
次代を担う逸材をはじめ優勝候補が目白押し! 日本勢の活躍に期待。
藤波朱理(ふじなみ・あかり)選手
レスリング選手だった父の影響を受けて幼少期にレスリングを始め父の指導のもとで成長。「パリオリンピックの金メダルが目標です」と語る藤波にとって世界選手権は過程の一つ。
須﨑優衣(すさき・ゆい)選手
東京オリンピックの金メダルに続き「絶対にオリンピック連覇できるように頑張っていきます」とパリを見据えて励んできた。昨春、社会人になりレスリングの普及にも力を注ぐ。
レスリング世界選手権 日程:9月16日(土)~9月24日(日) 会場:セルビア・ベオグラード「スタークアリーナ」 世界レスリング連盟のサイト(https://uww.org/)での配信あり。
※『anan』2023年9月20日号より。写真・松尾/アフロスポーツ 取材、文・松原孝臣
(by anan編集部)