“ありのままの自分”を知り、素を磨くことで自分らしく生きられる。
いつも自然体でいられる人は魅力的。背伸びせず、ありのままの自分を受け入れ、楽しいことは思いっきり楽しんで、無理はできるだけしない…。そんな生き方を自分もしてみたいと思っている人は多いはず。しかし、そもそも“ありのままの自分”とは、どんな状態でいることなのか、心理カウンセラーの中島輝さんに聞いてみた。
「誰にでも長所があれば、短所もある。同じように強みがあれば、弱みもある。そういった不完全な部分も丸ごと含めて、素の自分に正直でいる状態のことを表します。ありのままの自分は誰もが持っているけれど、それを出せていない人は、まずは心のすっぴん部分に目を向けることが大事です。たとえば、『自分の強みや弱みは何だろう?』『本当に楽しいと思えることは何だろう?』『今の自分に足りていない部分は?』など、自己開示することから始めてみて。どんな自分であってもそれを認め、愛してあげることが、ありのままの自分になれる最初の一歩です」
マイナスの部分ではなく、プラスの部分に目を向ける。
素の部分に目を向けると、自分のアラばかりが出てきて、ネガティブな状態に陥ってしまわないだろうか。
「よく『ありのままの自分が嫌い』と言う人がいますが、それはことさら自分のマイナスな部分にフォーカスしているから。弱みや不得手を隠したり、何とかカバーしようとついつい無理してしまうのは分からなくないですが、そればかり考えていてはしんどくなってしまいませんか? そうでなくても、人間は1日に約6万回思考し、そのうちの4分の3がネガティブな思考をしているといわれています。だとしたら、意識的にプラスの部分に目を向けたほうが、ありのままの自分を好きになれますよね。そうすることで、フラットな心の状態を保てるようになり、自然とマイナスの部分に対する見方も変わってきます。たとえば、何度やってもうまくいかないことをやめてみたり、有害な人間関係を切ったりと自分らしく生きるための、前向きな行動がとれるようになるのです」
ありのままの自分を好きになれると、どんな自分も肯定できるようになる。そのうえで、“自分らしく”生きていくことの必要性とは。
「今までもそうですが、この先の未来を作っていくのも自分自身です。ならば、今の心のすっぴん状態を知り、強みや得意な部分をどんどん伸ばしながら、自分らしさをアップデートできれば、今まで以上に楽しく生きていけると思いませんか?」
すっぴん度チェック
グループA~Dの項目の中で、当てはまるものすべてにチェックを入れてください。
グループA
- 「何を考えているか分からない」と言われることがある
- SNSの裏アカウントを持っていたことがある
- 付き合うなら、対照的な人より似た者同士がいい
- ちょっとした注意でも長く引きずることがある
- 自分が納得できないことは絶対やりたくない
- やるときは、とことん一点集中することがある
- 目標や計画表を作るのが得意
- 一度決めたら突き進んでしまうことがある
グループB
- 自分がこれと決めたら完璧にやりとげたい
- 友達とは広く浅くではなく狭く深く付き合いたい
- 仕事とプライベートはわきまえたい
- 休日は誰かと一緒にいたいと思ってしまう
- いざというときに人に甘えるのが苦手
- プレッシャーをかけられるとストレスを感じる
- その場の雰囲気を乱す人が苦手である
- 愛するよりも愛されたいと思うことが多い
グループC
- 空気を読んで行動するのが得意である
- 人の意見を汲み取ろうと思うことが多い
- ついつい人見知りしてしまう
- 一人時間がないと疲弊することがある
- 相談するよりも相談されることが多い
- 実は嫉妬深く、人が羨ましく感じることがある
- いつも不安に思っていることがある
- 自分の一番の理解者は自分であると信じている
グループD
- 友達と比較しても趣味が多いほうである
- 思ったことをすぐ口に出してしまう
- 自分の考えに意見されるとイラッとする
- 人からよく飽きっぽいねと言われる
- 友達が多いほうである
- 困っている人を見るとつい世話をしてしまう
- 旅はその場で予定を立てたほうが楽しいと思っている
- ときおり自分は器用貧乏だと感じる
自分の全体像を捉える
まずは自分を客観的に見て、全体像を捉えよう。性格や普段の行動から、自分のすっぴん度タイプを知り、自己分析で特徴を書き出すことで、素の部分を可視化。
Aが多かった人… 仮面女子
感情の浮き沈みが激しい、気分屋さん。
エネルギッシュで決断力があり、目的や目標達成のために情熱を注ぎ込めるタイプ。しかし、感情の浮き沈みが激しく、テンションが上がっているときは素を存分にさらけ出しますが、そうでないときは周囲をシャットアウトしがち。リーダー気質で、人を動かせる人材である半面、動かない人にはきつく当たってしまうこともあり、人とのコミュニケーションに苦労することも。何か問題が起きると仮面をかぶって、自分を隠してしまっていませんか。殻に閉じこもって、一切自分を出さなくなるので、周りから気分屋と思われているかも!
Bが多かった人… マスク女子
いわゆる内弁慶。素を見せる相手は絞りたい。
思いやりと優しさがあり、愛情にあふれている人です。自分が心から大切にしているコミュニティの中では自分を思いっきり開放し、大いに素をさらけ出せているでしょう。しかし、信頼関係があまり築けていない場では、自分をあまり見せずに、マスクで覆って、自分の本音を隠しています。今のところバランスがとれているので、充足感があると思いますが、何かのきっかけで信頼関係が崩壊したときに、心のよりどころがなくなり、自分を見失ってしまう可能性が。持ち前の情の深さを、もっと多くの人に向けてみてはいかがでしょうか。
Cが多かった人… 厚化粧女子
なかなか素を明かせない、平和主義者。
調和を重んじながら人生を着実に歩んでいる平和主義タイプです。組織やグループの中で何かしらの役に立つことを使命だと心得て、自分勝手な行動はしない人です。しかしいつも場の空気を読んで、自分をさらけ出せずに我慢をしていませんか? 嫉妬深い一面もあり、厚化粧で素を隠しているのは、いろんな人の目を気にしているからかも。自分のマイナスな部分を極端に気にする傾向があるので、このまま素をさらけ出さずに生きていたら、さらにネガティブ思考になってしまうかも…。それで人生を楽しめなかったら、もったいないですよね。
Dが多かった人… 全力すっぴん女子
どんなときでもありのままで、オープンマインド!
満たされたい気持ちが強く、どんなことにも果敢にチャレンジできる、探究心と好奇心の持ち主。自由で社交的なため、自分の素をさらけ出すのが大の得意。常に心はすっぴんで、仮面もマスクも化粧もあまり必要としてません。他者から羨ましがられることも多いですが、実は超がつくほど飽きっぽいのが玉に瑕。自分に自信があるうちは、周りに配慮しながら自由に生きていくことができますが、自分の価値が下がると、ガクッと落ち込んで電池切れを起こすことも。つい自我を押し付けてしまうクセを直すと、もっと自分らしく生きられるでしょう。
中島 輝さん 心理カウンセラー、メンタルコーチ。『1分自己肯定感 一瞬でメンタルが強くなる33のメソッド』(小社刊)、『習慣化は自己肯定感が10 割』(学研プラス)など著書多数。
※『anan』2021年10月13日号より。イラスト・コナガイ香 取材、文・鈴木恵美
(by anan編集部)