ネットニュースが騒ぎはじめたら番組をチェックしてください(笑)
「タイトルはずばり『電波少年』ですけどリメイクをやるつもりはないんです。だって、なすびにしろチューヤンにしろ、あの有吉(弘行)だって全員、心に深い傷を負っていますから。そこに塩を塗るようなことはしない(笑)。それより、もっと新しい冒険へと旅立つ気持ちです」
と語るのは、かつて番組で恐怖の存在だった“ラスボス”であり“黒幕”のプロデューサー土屋敏男さん。
「『電波少年』シリーズが終わったのは2003年。そこから20年近く経って、テレビと視聴者の関係はがらりと変わった。特にここ数年は、SNSでまた人との繋がり方が変わったでしょ? その関係をテレビに持ち込みたい。一方的に見てもらうんじゃなくて、コミュニティが番組を動かすんです。企画を提案したり、番組を進行するのだって見ている人がやればいい。リアルとネットとテレビ、その垣根のない番組を世界ではじめて作りたいと思っています」
実際に『電波少年W』では、コミュニティサイトを設け、ゲストに聞いてみたいことや企画を自由に投稿、ディスカッションができる。さらに番組内でもアプリを使い、スマホ画面をフリップボードのように使って視聴者が番組に参加する。番組はWOWOWで放送のほか、YouTubeなどでも配信。そこにコメントをつけることもできる。視聴者と繋がって、土屋さんがもっともみんなと共有したいこととは?
「テレビの記憶を聞いていきたいんですよね。テレビには約70年も歴史がある。だから、全員に自分だけの思い出ってあるでしょ? みんなの記憶からテレビ全史のようなアーカイブを作れたら。そこに番組を作ったテレビマンたちの話を紐付けたら、テレビがもっと身近で面白いものになる。かつてテレビ界の帝王といわれたディレクターやプロデューサーを招いてね、墓場に持っていこうとしている裏の話を吐き出していけ! とやりたいわけ(笑)」
何も恐れない、ヤンチャな電波少年魂はやっぱり変わらなそう。
「そこは忘れちゃいけない。だからネットニュースがザワザワしはじめたら、みなさん番組をチェックすればいいですよ。ネットが炎上しはじめてからが『電波少年』の腕の見せどころですから(笑)」
『電波少年W~あなたのテレビの記憶を集めた~い!~』 レギュラー放送は、隔週月曜20:00~WOWOWプライムにて無料放送(配信は毎週月曜20:00~WOWOWオンデマンドほかYouTubeなど)。MCは松本明子と松村邦洋が務める。毎回、豪華&意外なゲストが登場予定。
つちや・としお 1979年日本テレビ入社。数多くのバラエティ番組の演出・プロデュースを担当。人生のビデオ化を提案する「LIFE VIDEO」や、3Dスキャン技術を取り入れた舞台『NO BORDER』演出など幅広い分野で活躍。
※『anan』2021年2月10日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・梅原加奈
(by anan編集部)