女性だって日本を変えたい! 救世主の新人議員、ついに現る!?
大人の恋愛マンガの名手として、女性ファンの多い西炯子さんが今回選んだ舞台は、なんと国会!
「2年くらい前に、女の子が総理大臣になる話を少女誌でできないかなと思っていました。だけど政治を扱っているっていうだけでページを飛ばされてしまうかもしれないと思い、諦めていたんです。そしたらスピリッツ編集部から声をかけていただけたので、テーマはそのままでアプローチを少し変えてみました」
軸となるのは与党に所属するふたりの新人議員。元地下アイドルの山田一斗(いっと)と、世襲議員の海藤(かいとう)福太郎だ。
「一斗は親がいなくて、教育もきちんと受けられなかったような、どちらかというと光の当たらない場所で生きてきた女の子。それゆえに世の中とうまく折り合えなかったりするのだけど、生きていくうえで本当に大事なものを握っている。反対に福太郎はいいとこの坊ちゃんで、親に言われるまま家業を継ぐ感覚で政治家になって、今のところはちょっと拗ねちゃってるような人ですね」
初登庁日のめくるめく行事から始まり、人脈を広げる政治資金パーティや、内容もよくわからない会議に代理で出席する“さしかえ”要員など、彼らは新人議員としての洗礼を次々と受けていく。その描写が具体的で実に興味深いのだが、西さんが得意とする恋愛マンガの作り方とはかなり勝手が違うようだ。
「毎回、予定しているストーリーラインをいろんな立場のブレーンの方たちにお伝えして、それに関連しそうなネタを出していただくんです。だから、私ひとりで方向性だけは決められるけれども、詳しく物語を作る段階になると人に聞かないと何もできない。いろんなお話を聞いたあとに、自分で再構成してひとつの物語に織り上げていくので、大変手間のかかるマンガではありますね」
政治に関してド素人な一斗が「これって何の意味があるの?」「このシステム、おかしくない?」と発する疑問は、言われてみるとごもっともなことばかり。それがいいか悪いかはさておき、まず知ることや考えることの大切さに気づかされる。
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「国会のあれこれをやっているうちに1巻が終わっちゃいましたが、2巻からはようやくラブも描けそうです(笑)。日本ではまだ女性が総理大臣になったことがありませんが、もし実現したらこうなればいいなっていう世界も描いてみたいですね」
西 炯子『恋と国会』1 元地下アイドルで泡沫候補の一斗と、総理大臣を代々輩出する名家出身の福太郎。生い立ちも政治理念も正反対のふたりが、日本のために立ち上がる!? 小学館 591円 ©西炯子/小学館
にし・けいこ 1988年『待っているよ』でデビュー。『娚の一生』『初恋の世界』など著書多数。本作は『週刊ビッグコミックスピリッツ』で初めての連載。
※『anan』2020年2月5日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子
(by anan編集部)