岩井:ヨコハマは、全ディビジョンのなかで、一番悪い感じがするんです。
犬山:ヤクザ、汚職警官、元軍人という構成で、とにかくイカツイ。
岩井:『ヒプマイ』って、悪い男を求めていた女の子に突き刺さったと思うんですが、その要素が顕著に表れているのがヨコハマです。ラップバトルで、(碧棺)左馬刻(あおひつぎ・さまとき)が(神宮寺)寂雷(じんぐうじ・じゃくらい)先生(シンジュク・ディビジョン)に「3人まとめてアンタの病院にぶち込んでやるよ」と言うじゃないですか。すっごい口が悪いんですけど、これを求めている人にはたまらないですよ。
犬山:この悪い男たちの、ぞくぞくさせられる色気に飛び込めるって、フィクションだからこその快感ですよね。でもそれと同時に、彼らのかわいさも感じるんですよ。例えば左馬刻が「俺は左馬刻さまだ」って自分に様をつけてラップするところなんて、幼稚園児の母親の気分に…。自分のM心と母性をかき乱されて、わけわからない状態に(笑)。
岩井:僕は、3人のなかで(入間)銃兎(いるま・じゅうと)が一番好きですが、彼にこそバイオレンスな匂いを感じます。細身のスーツに手袋をして、ネクタイをきっちりと締めている。一切肌を見せないのに、なんであんなにエロいんですかね?
犬山:わかります。男性にも伝わるエロス! でも、しっとりした大人の色気かと思いきや、歌い出しの大きい声の「ヒョウ!」。最高のギャップいただきました。そして(毒島メイソン)理鶯(ぶすじま・メイソン・りおう)は、低音ボイスの色気と天然が同居してます。
岩井:戦争がない世界なのに、軍人をやっている人だから(笑)。
犬山:サバイバルをしながら、一生懸命、ゲテモノ料理を作っているんですよね。
岩井:そんな人智のおよばない生き方をしている理鶯に、左馬刻と銃兎が“はあ?”となるところがいい。この2人が一緒にいると一触即発状態みたいな不穏な空気が流れるけど、理鶯に翻弄されると2人が仲良く見える。
犬山:イカツイ2人のかわいい一面を引き出せるのは彼だけ!
岩井:理鶯ってずっと一人でいたし、ディビジョンを組まなくても大丈夫な人だと思うんです。それでも左馬刻と銃兎と組んだのは、彼らに必要とされて嬉しかったんじゃないかなって。
犬山:そんなハマの3人の曲は、すごくクールなんですよね。
岩井:’80年代の夜の横浜のような、どこかトレンディな空気が漂う感じが好きですね。そう、僕は銃兎のラップが好きで。バトルでは、前の人が言ったことをくみ取って返さなきゃいけないけど、彼は一度、呑み込んでからアンサーを出すのがうまい。
犬山:まさに!
岩井:自分を大きく見せて吠えるタイプのディスり方と、挑発するタイプがいると思いますが、銃兎は後者。(飴村)乱数(あめむら・らむだ)(シブヤ・ディビジョン)もそうだけど、あえて向き合ってあげないことでムカつかせる感じがカッコいい。対して左馬刻は、吠えるタイプ。逆だからこそ、お互いの魅力が引き立っていると思います。
いぬやま・かみこ エッセイスト。『アドバイスかと思ったら呪いだった。』(ポプラ文庫)が発売中。『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)などに出演。
いわい・ゆうき お笑いコンビ・ハライチのボケ担当。『おはスタ』(テレビ東京)、『ハライチ岩井勇気のアニニャン!』(TBSラジオ)などに出演している。
※『anan』2019年1月16日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・重信 綾
(by anan編集部)
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