タカラトミーアーツを直撃! ガチャができるまでの舞台裏

今年の上半期に大ヒットした、『きかんしゃトーマスとなかまたち』のキャラクター“トップハム・ハット卿”のカプセルトイ。企画を立ち上げた方に、開発の喜びや苦労について伺いました。

Index

    お話を伺った方

    Profile

    江森悠生

    株式会社タカラトミーアーツ ガチャ・キャンディ事業部 ガチャ企画部。日本大学生産工学部創生デザイン学科卒業後、2024年にタカラトミーアーツに入社。「入社試験のときから、カプセルトイを作りたいという熱い気持ちをしっかり伝える努力をしました(笑)」

    持っている人を街で見るのが、一番嬉しい!

    小さい頃からカプセルトイが好きで、それを作りたいという熱い思いでタカラトミーアーツに入社したという江森悠生さん。

    「カプセルトイに関わって3年目ですが、昨今の、行列・整理券・回数制限といった白熱ぶりには本当に驚かされています。人気が高まる分、新商品の数も増え、弊社では今、月におよそ60個くらい新商品を出している状況です。毎月の企画会議に面白い企画をたくさん出さなければ…というプレッシャーもありますが、商品数が増えるということは、採用される企画の数も増えるわけなので、そういう意味ではとても楽しいです」

    江森さんは、2026年上半期のヒット商品のページでも紹介した、『きかんしゃトーマスとなかまたち』に出てくるトップハム・ハット卿というキャラクターのカプセルトイを企画し、それが大ヒット。物語のメインキャラではなく、若干ニッチなハット卿に目をつけた理由を伺うと、

    「このつぶらな瞳と、ぽってりしたお腹のフォルム。どことなく哀愁が漂っており、憎めない愛らしさがある。この感じ、もしかしたら子供だけでなく大人にも響くのでは…と思い、企画を立ち上げました。おかげさまでヒットしたのですが、『トーマス』のメインターゲットである子供たちにはあまり伝わらなかったようで、その状況もすごく面白いな、と思って見ていました」

    大人に興味を持ってもらうために、特にこだわったというのはかわいらしさ。

    「すべての商品がそうではないですが、やはりかわいさがないと回したいとは思わないですよね。ハット卿に関しては、シュールなかわいさに重きを置きました」

    実際の製作の悲喜こもごもは、下のパートでぜひ一読を。入社以来カプセルトイ畑で頑張る江森さんが一番喜びを感じる瞬間は、街中で自分が手掛けた商品を持っている人を見かけるときだそう。

    「めっちゃくちゃ嬉しくて、思わず、“それ、俺が作ったんだよ、こことここにこだわりが詰まってるんだよ…!”と話しかけに行きたくなりました。他にも、SNSで“400円なのに、こんなに細かいところまで塗ってあるのはすごい!”とか、自分がこだわったところを喜んでくれているのを見ると、嬉しいし、ホッとします」

    多忙ゆえ、あまりマシンがある売り場を見に行く機会がないそうですが、ハット卿に関しては「回したい!」と思い、会社近くのカプセルトイ専門店に足を運んだ…が、なんと品切れ!

    「嬉しかったですが、やっぱりちょっと回したかったです(笑)」

    ヒット作でたどる、あなたの手元へ届くまでの「6ステップ」

    ひとつの商品が完成するまで約1年。企画から販売までのステップを、江森さんの解説とともにお届け。難しいポイントはどこでしょう…?

    STEP1|企画(約2か月)

    すべては月に1回開催の、企画会議から始まる!

    1/1

    企画担当者は企画書を会議で提出。江森さんは『きかんしゃトーマスとなかまたち』の場面写真を使い、ハット卿の魅力をアピール。「発売は1年後なのでそれを考えつつ、でも勢いも大事…!! と思いながら企画を考えます。翌週に、提出した企画の可否が発表されます」

    STEP2|原型(約3〜4か月)

    イラストを描き起こし、それを元に原型を作成

    1/1

    まずイラストを描き起こし、並行してキャラクターの版権会社に商品化を相談。もろもろOKが出たら原型の作成へ。「最近だと90%くらいの商品は3Dデータで原型を作ります(写真2枚目)。また原型段階で仕上がりを想定し、顔などの印刷データも作ります」

    STEP3|金型・彩色(約3~4か月)

    1商品につき金型は1セットしか作らないそう

    原型に対して各所からOKが出たら、次は原型を元に、量産に向けて金型を作製。また並行して、どのパーツをどの色で塗るか決めていく。「金型ができたら工場からサンプルが送られてきます。すると金型段階では気づかなかった部分が見えるので、気になる箇所は具体的に修正指示を出し、何度かやりとりをします。ここでの妥協はご法度。粘って粘って、かわいいものに仕上げてもらいます」

    STEP4|受注期間

    魅力を伝え、商品のこだわりをPR

    1/1

    90%くらいの完成度のサンプルが上がってきたら、カプセルトイを扱う代理店に営業し、発注をいただく。「商品の撮影を行い(写真1枚目)、注文をいただくための情報資料(2枚目)も企画担当者が作成します。こだわりを目いっぱい書き込み、商品の魅力をアピール。また、この段階でカプセルの中に一緒に入れるミニパンフレット(3枚目)も作ります」

    STEP5|生産(約2か月)

    完成度を左右する重要な段階が、ここ!

    生産数が決まったら、いよいよ生産体制に。ここからは工場がフル稼働します。「最後に、商品本体とミニパンフレットがカプセルに封入された、実際にお客様へお届けする状態のサンプルが届きます。ここで、量産前の最終チェックを実施。ミニパンフレットに誤字脱字がないか、商品本体に不具合がないかなど、最後の最後まで責任を持って確認を行います」

    STEP6|出荷

    工場から倉庫に到着! 全国のお店に、いざ出荷

    カプセルに商品本体とミニパンフレットが入った状態で到着。それを全国の店舗や代理店に出荷します。「正直この段階では、何か間違いや見落としがあったら…と、全然気が休まりません(笑)。ただ、今回の商品はお店で売り切れのマシンを見て、ここまで関わってくれた人たちへの感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました」

    Loading...
    写真・中島慶子 取材、文・河野友紀

    anan 2512号(2026年9月16日発売)より
    Check!

    No.2512掲載

    ボーダレスカルチャー 2026

    2026年09月16日発売

    ジャンル、国境、世代など、既存の枠組みに囚われず、様々な垣根を越えて輝く人や事象に注目。様々な分野からアプローチした“ボーダレス”なトピックスをお届けします。

    Share

    • twitter
    • threads
    • facebook
    • line
    エンタメ

    Recommend

    こちらの記事もおすすめ

    Today's Update
    回すたびにときめく! 2026年上半期カプセルトイヒット大賞
    回すたびにときめく! 2026年上半期カプセルトイヒット大賞
    Entertainment
    2か月で2000万本を売り上げたPCゲーム『めっちゃカメレオン』とは?
    2か月で2000万本を売り上げたPCゲーム『めっちゃカメレオン』とは?
    Entertainment
    感動を生むヒミツに迫る。ボーダレスカルチャー2026
    感動を生むヒミツに迫る。ボーダレスカルチャー2026
    Entertainment
    帰ってきた『踊る大捜査線』の最前線。織田裕二&本広克行監督インタビュー
    帰ってきた『踊る大捜査線』の最前線。織田裕二&本広克行監督インタビュー
    Entertainment

    Movie

    ムービー

    Regulars

    連載

    タカラトミーアーツを直撃! ガチャができるまでの舞台裏 | anan