映画や本の主人公の恋模様にドキドキしたり、共感したり…。小説から映画化された、観ても読んでも堪能できる恋愛作品を、ライターの瀧井朝世さんがセレクトしました。

好きな小説が映画化されると聞くと、「え、イメージが壊れるかも」と危惧してしまうのは人の常。まして恋愛小説となると脳内で理想のヴィジュアルができあがっていることも多いのでなおさらです。もちろん実際にがっかりするケースもあるわけですが、それでもなかには「原作もいいし映像もよい」と言いたい幸福な作品も。今回はそんな7本を選んでみました。原作でしかできなかったこと、映画ならではの味わいを、それぞれたっぷりお楽しみください。ちなみに映画『危険な関係』に関しては、映画化作品が多々あるので、見比べてみるのも一興です。

強く生きる二人の魅力炸裂。泣きたい時は、この作品を。『きっと、星のせいじゃない。』

近年、自分がいちばん泣いたんじゃないかと思う青春恋愛小説がジョン・グリーンの『さよならを待つふたりのために』。ともに癌患者である少女と少年が出会って恋に落ちる物語だが、可哀相なお涙頂戴話ではなく、強さと愛情を持って二人で世界と向き合っていく姿に心底感動する。映画の主演がシャイリーン・ウッドリーと知った時はずいぶん健康的なのではないかと思ったが、芯の強いヘイゼルという女の子を大切に演じていて、また感動。アンセル・エルゴート演じる相手役、オーガスタスの尋常ではないほどの好青年ぶりもよい。本も映画も、号泣しても大丈夫な状態の時に堪能したほうがいいかも。

きっと、星のせいじゃない。

映画:『きっと、星のせいじゃない。』監督/ジョシュ・ブーン 出演/S・ウッドリー、A・エルゴートほかDVD&ブルーレイ発売中。¥1,905 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン (C)2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

きっと、星のせいじゃない。

本:『さよならを待つふたりのために』ジョン・グリーン/金原瑞人・竹内 茜 訳 岩波書店 1800円

義父と娘の禁断の関係を、原作とは異なる時系列で。『私の男』

原作は桜庭一樹の直木賞受賞作。幼い時に北海道・奥尻島で起きた大地震で家族を喪った花は、親戚の青年、腐野淳悟に引き取られて暮らすが、いつしか二人は性的にも結ばれていく。が、ある時殺人事件が起きて…。原作で特徴的なのは、時間が遡る構成になっていること。禁断の関係の終焉から、花が淳悟に出会うまで時間を巻き戻していくことで、現在の薄暗い二人の関係がみずみずしさと純真さを増していく。映画は逆に出会いから始まり、現在に至るまでを描く。成長して大人の女になっていく花を演じる二階堂ふみの変化、浅野忠信演じる淳悟の衰えぶりが見もの。どちらが好みかは、人によるかも?

私の男

映画:『私の男』 監督/熊切和嘉 出演/浅野忠信、二階堂ふみほかDVD&ブルーレイ発売中。DVD¥4,200 Blu-ray¥5,200 発売元:ハピネット 販売元:ハピネット(C)2014「私の男」製作委員会

私の男

本:『私の男』桜庭一樹 文春文庫 670円

純情な恋物語なのにラストに驚きの真相が!『イニシエーション・ラブ』

原作を読んでいた人なら誰もが「映画化決定」と耳にした時「はあ? 絶対無理に決まってるじゃん!」と思ったはず。そして映画を観て、「うわああああ、こんなテがあったのか!」と驚いたのでは。代打で呼ばれた合コンの席で、歯科衛生士のマユコと出会い、やがて恋をスタートさせた<僕>。奥手な青年の甘酸っぱい恋愛話は後半また違う様相を見せ、そして原作のラスト2行が与える衝撃の大きさといったら…! 真相を知ってから映画を観ると、伏線に気づいてニヤニヤできます。未読&未見の方が原作から読むか、映画から観るかは自由ですが、とにかく、本も映像も両方チェックしたほうが、楽しさ倍増。

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映画:『イニシエーション・ラブ』 監督/堤幸彦 出演/松田翔太、前田敦子、木村文乃ほかDVD&ブルーレイ発売中。DVD¥4,800 Blu-ray¥5,800 発売元:バップ (C)2015 乾くるみ/「イニシエーション・ラブ」製作委員会

イニシエーション・ラブ

本:『イニシエーション・ラブ』乾くるみ 文春文庫 580円

※『anan』2017年7月5日号より。写真・中島慶子(本) 文・瀧井朝世

(by anan編集部)

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