幸福なセックスのために知っておくべきこと。
〈性的同意〉とは、一般的には、体に触る、キスをする、セックスをするといった“性的な行為”に対して、お互いにその行為を積極的に望んでいる、つまり“同意をしているかどうか”を確認する、といった概念のこと。
「昨年、公益財団法人ジョイセフが発表した15歳から29歳の日本の若者を対象とした意識調査の結果の中で、9割が“性的同意は大事”と回答する一方で、“具体的に性的同意がどういうものか、正直わかっていない”の回答が4割を超えていた。つまり言葉は知っていても、内容は理解していない人が半数近くいるということなんですね」(NPO法人ピルコン理事長・染矢明日香さん)
犯罪被害者支援に関わる弁護士の岡田真由子さんによると、
「性犯罪は、被害を受けたそのときだけでなく、そのあとの人生にも大きな影響を及ぼします。そういう意味でも、性的同意というのは人生にとって本当に大事なことなんです」
互いに幸せなセックスをするために絶対に必要なこの概念。自分事としてあらためて考えましょう。
誘うとき、誘われるとき。性的同意に重要な3つのポイント。
性的同意は、“セックスしたい”と思った側が、相手に対して確認するもの。最低でも以下の3つの状況全てが揃わなければ成立しません。
1、非強制性
断ることがプレッシャーにならない
セックスをいつどこで誰とするのか。性的自己決定権は、性的同意において大切な概念です。セックスすることを誰かから強制されていない、また同時に相手に強制していない、ということを確認。
「例えば、本当は断りたいけれど、断ったら“俺(私)のこと、好きじゃないんだ”と相手が怒るから怖い、という場合も。セックス=愛情だと思う人は未だに多く、そういった考え方も同意の成立を阻害する一つの要因だと思います」(染矢さん)
こんなシーンに注意!
・断ったら殴られそう
・精神的なDVをふるわれそう
・断ったら不機嫌になる
2、対等性
NOと言っても不利益にならない
社会的地位や力関係に左右される間柄であった場合、力を持たない弱い立場の人は、“偉い人とのセックスを断ったら、自分に不利益なことが起こるかも…”と不安になるのも当然。
「相手がどんなに強い立場であっても、その人とセックスをするかどうかはあなたが決めていいこと。明確な言葉がなくても、学生なら単位、社会人であれば仕事への不利益を憂慮して応じたセックスは、同意のないセックスといえます」(岡田さん)
こんなシーンに注意!
・どちらかが上司・先輩・コーチなど上の立場である
・高額なプレゼントや仕事の案件のやりとりがある
・生活を頼っている
3、非継続性
1回のYESが次のYESにならない
“キスしたんだから、セックスもOKだと思った”“先週したから今週もやって当然”…決してそんなことはありません。途中で気持ちが変わることもあるため、行為一つごとに、“それをしていい?”という確認と同意が必要。
「お互い何をしたいか・したくないか、対等な関係の中で気持ちをすり合わせながら進めるのが、セックスだと思います。したいことが重なったら次へ。したくないことだったら断っていい」(染矢さん)
こんなシーンに注意!
・キスもハグも許してしまったので、断れなかった
・前にセックスをしたことがある相手だけど、もうしたくない
・挿入後に、やっぱりやめたくなった
おかだ・まゆこ 弁護士。東京弁護士会、児玉明謙法律事務所所属。一般民事や労働事件、家事事件など、身近な問題に多く取り組んでいる。また、性的暴力を受けた被害者支援にも積極的に関わっている。
そめや・あすか NPO法人ピルコン理事長。公認心理師、公衆衛生学修士。若者、保護者、支援者等に向けた性教育講演や情報発信を行う。性にまつわるモヤモヤ解決サイト「セイシル」のアドバイザーも。
※『anan』2024年8月14日‐21日合併号より。イラスト・ながたなつき
(by anan編集部)