肩甲骨は自由に動き、安定していることが重要。
肩甲骨(正確には肩関節)は、上半身を支える基盤。肋骨の上に羽のように浮かび、腕(上腕骨)と鎖骨の骨と繋がっている。それ以外は筋肉が支えていて、肩甲骨の可動域は、胸郭や肩まわりに左右される。
「日常生活では前かがみの姿勢や手を前で使うことがほとんど、すると猫背や巻き肩になりがちで、頭が前に出る。その状態が長く続くことで筋肉が固まり、可動域は狭まる傾向に。その結果、腕を自由に動かしづらくなったり、首や肩こりの原因にも繋がり、正しい姿勢が保ちにくくなってしまいます」(佐川さん)
肩甲骨は、寄せる、開く、上下や斜めに動かす、というように本来は自由に動かせる部位ですが、制限がかかっている方がとても多い。
「そこで、本来肩甲骨が動く方向全てを網羅したストレッチを考えました。腕を上げたり、後ろで動かすことは、普段あまりしない動作ですが、こまめに動かす習慣をつけていくと、筋肉がほぐれ、肩甲骨が正しい位置に戻ります。そして“自由に動くこと”と、“安定させること”が重要です。隙間時間に行うことで腕や背中が動きやすくなるので、肩こりなどが軽減し、姿勢改善にも繋がります。背中や二の腕もスッキリしてくるはずです。今回の動きは立ってやっても座ってやってもいいので、日々の習慣にしてください」
肩甲骨をリセットすると…
メリット1 巻き肩&猫背の改善
メリット2 肩や首のコリ軽減
メリット3 背中、二の腕がスッキリ
肩甲骨リセット
肩甲骨を上下に動かす
HOW TO
左の胸鎖関節に右手の人差し指、中指、薬指を軽く当てる。関節を起点に、鼻から息を吸いながら左肩を上げ、吐きながら下げるをゆっくり10回繰り返す。右肩も同様に。
押さえる場所:鎖骨(内側)と胸骨(胸中央の骨)でできた胸鎖関節。左右2か所にある。
(1)肩だけを上げようとすると力が入るので、胸鎖関節から上げるイメージで。顔と首の位置はずっと動かさない。
(2)肩を下げる時も胸鎖関節が起点。顔が前に出ないように注意。この動きを繰り返すと、肩の力みが取れる。
※10回ずつ
肩甲骨を開く&寄せる
HOW TO
両手を前に、肘と手の甲を合わせる。鼻から息を吐いて、吸いながら両手を開き、肩甲骨をグッと寄せる。手の開閉をゆっくり10回繰り返す。開閉の速度を変えてやってもいい。
(1)体の正面で合わせた肘は、バストの下辺りの高さに浮かせて。息を吐き、肩の力は抜いて肩甲骨をグッと開く。
(2)両手を外に向けて肩甲骨を寄せる際、肘は斜め下に向かうイメージ。肩の力を抜き、首を長く保つようにして。
※10回
肩甲骨をさらに開く&さらに寄せる
HOW TO
骨盤を立てて座る。足は腰幅に開く。鼻から息を吐きながら背中を丸め、両腕を前に伸ばす。鼻から息を吸いながら背筋を伸ばし両腕を左右に開き、肩から腕をひねる。10回繰り返す。
肩甲骨をぐっと開くように背中を丸める。視線は軽くおへそに向け、手のひらは外向きに。
(1)肩甲骨を動かそうとすると肩に力が入ってしまう。背中を丸めて腕を前に出すことを意識すれば自然と肩甲骨が開く。腕を前に伸ばす力と、背中を丸める力で引っ張り合うイメージ。
(2)腕の動きではなく、鎖骨をしっかり後ろに引くイメージで肩甲骨を寄せて。その際、視線を斜め上に向け、首の後ろが縮まないようにすれば、より胸が開きやすくなる。腰の反りすぎには注意。
※10回
佐川裕香さん バレエ経験を活かし、美しい姿勢をつくるオンラインレッスンを主宰。Instagramフォロワー35万人、YouTubeチャンネル登録者数172万人の人気講師。著書に『バレリーナ式 やせる姿勢』(KADOKAWA)がある。
※『anan』2022年6月1日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・高松由佳 イラスト・野村憲司 今牧良治(共にトキア企画) 取材、文・板倉ミキコ
(by anan編集部)