新しい生活様式で骨がボロボロに!?
リモートワークや外出制限の影響で体を動かす機会が減っている今日この頃。筋肉が衰えた気がする人は、骨がもろくなっている恐れもある、と解剖学の権威である医学博士の坂井建雄先生。
「骨は一見硬くて不変のように見えますが、絶えず破壊され再生されている生き物です。骨を作るには、筋肉をつけるのと同じように負荷が必要になります。立ったり歩いたりする動作が減って座ってばかりいると負荷がかからず、骨は破壊される一方。どんどんもろくなってしまうのです」
事実、ちょっとしたきっかけで骨折をする若い人も多いそう。
「思い切り深呼吸して肋骨を折ったり、激しい運動で骨にヒビが入る人もいます。骨折すると動けなくなるので、さらに骨が衰えて悪循環になる。そんな事態を防ぐには、体を動かすことがマスト。歩く機会を増やすとかストレッチをするだけでも、骨を作る働きが活発になります。あとは、骨の材料になるカルシウムやビタミンD、タンパク質を摂ることも忘れずに。体を動かして栄養をきちんと摂れば骨が強くなり、骨が強ければ何歳になっても自由に動けて、健康で楽しい生活を送ることができるでしょう」
ずっと元気に動ける体づくりをサポート。
年齢を重ねると、性ホルモンの減少によって骨がスカスカに。すると骨折して動けなくなり、寝たきりになってしまうことも。「若いうちから骨を強くしておけば、年を取っても骨の強さを保ったまま、元気で楽しい老後を送れるはずです」(坂井先生)
動きが大きくなり燃焼しやすい体に。
「骨とそのつなぎ目である関節のコンディションが良くなれば、体の可動域が広がりスムーズに動くことができるようになります」と坂井先生。体を大きく動かせるようになれば、日常生活やエクササイズでの燃焼効率がアップ。美ボディづくりが捗る。
呼吸が深くなりメンタルも整いやすい。
骨を整えるために運動をしたり姿勢を整えたりすれば、メンタルにも良い影響が。「背骨が曲がっていると内臓が圧迫され、気分が落ち込むことも。姿勢が整えば圧迫がなくなり呼吸が深くなるので、気持ちが落ち着いてリラックスできます」(坂井先生)
筋肉疲労も減り、腰痛や肩こりも解消。
筋肉などの軟部組織に支えられている骨は、そのコンディション次第で体全体に影響が。「背骨が一度揺らぐと肋骨が歪み、すごい量の筋膜がねじれ、背中や腰、肩など…あらゆるところに痛みや不調が出てきてしまいます」(整体師・樋川由紀さん)
本来の位置に戻れば、見た目もスッキリ。
骨の変形&内臓の圧迫は、メンタル面だけでなく、スタイルにも影響が。「良い姿勢を変に意識するあまり、胸を過度に開いてしまう人も多い。そうすると肋骨が平たい形状になり、内臓を圧迫。その結果、ぽっこり浮き出た下腹に」(樋川さん)
坂井建雄先生 順天堂大学保健医療学部理学療法学科特任教授、医学博士。『骨と関節のしくみ・はたらき ゆるっと事典』(永岡書店)監修のほか著書多数。
樋川由紀さん 整体師。「せぼねじれ調整院リキュア」顧問。背骨調整と骨格調整を組み合わせた施術が人気。症状や生活に合わせたセルフケアメニューも提案。
※『anan』2021年5月26日号より。イラスト・中根ゆたか 取材、文・風間裕美子
(by anan編集部)