安藤桃子が語る「結婚すると苦労することも多い」男性のタイプとは?

ビューティ
2019.03.30
映画監督・安藤桃子さんが考える「色気」とは? お話をお聞きしました。

持って生まれた本質に触れれば、人それぞれの色気を感じるはず。

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私が個人的に色気を感じるのは、禊(みそ)いでいる人。水を注ぐ、水そそぎから「禊(みそぎ)」という言葉になったそうで、入浴やシャワーでも気分がスッキリしますよね。心身ともに常にスッキリしている人に魅力を感じます。そして男性なら、「オス」がいい。男性ホルモンうんぬんではなく、背後に大自然が想像できるような、本能と感性をむき出しにしている人。ただし、実体験から、そういう人と結婚すると苦労することも多い(笑)。

男から見た女の色気って、多分“原始的な本能”にアピールする人なんじゃないかな。母性的な女性は、男性の本能をくすぐる。特別美人でもない女性がイケメンと結婚することもあるじゃないですか。それって家庭、つまり巣に戻ったときにホッとさせてくれるんじゃないか? という、本能的な部分で惹かれてるのかも。「結婚したい女」特集なんかを雑誌で見かけますが、極論、男性の本能に訴える魅力の有無かも。

色気って時代性も大きく反映されると思います。新時代を迎えようとしている今、思考や価値観が変化しているように感じます。人が人に感じる魅力や色気も変化している気がします。人気俳優やアイドルもミステリアスより、人間性が重視されている。私生活が見えないほうが魅力的という時代もあったけど、プライベートが見える人のほうが、比較的息が長い。あと、独創的な人。独自の感性を持つ人が、新時代の色気だと思います。

本音だけでは生きにくい世の中で、表面的な魅力に惑わされて、我々は相手の本質を見逃しがちです。どんな人も持って生まれた感性の魅力がある。個々それぞれの素晴らしさがある。誰しも、本質に触れることができれば、その人特有の色気を感じるはず。映画監督としてのスタンスは、「色っぽいからキャスティングしよう」というよりも、「この人の色気と魅力のコアはどこだ?!」と探って、引っ張り出すこと。「出た!」というときに心動かされます。人って物事の本質に触れたときに感動し、感性が開く生き物なんじゃないかな。

相手の本質に触れるには、ホントの自分に出会うことが必要だと思います。ホントの自分って意外と分からないもんで、でも、簡単に出会える。コーヒーが美味しいとか、タバコの一服がうまいなんてことでもいいから、自分にフィットする感覚を知っていくと、己の本質が見えてくるはず。私自身そうですが、年を重ねると自分はこうだ! と決めつけがち。でもそれってめちゃくちゃもったいない。37歳になった今、重ねるよりも、どんどん脱いでいくことを意識しているかも。

映画監督として、性愛表現が必要かどうかは、つど真剣に考えます。そのシーンで何を伝えたいかの目的を立てて、それに向けて表現方法を変えます。行為としてのセックスを描いて伝わる心情もあれば、行為を描かず文学(的表現)にすることも。日本人とかフランス人は想像するのが好きな民族。見えないエロティシズムや、独特な性愛表現も日本らしさ。スッポンポンで「さあ、セックスしましょう!」より、ちらりと乳首が見えるくらいの表現が好きだったり。肉体よりも、感性を重要視するのかな。官能を描くのに必ずしもセックスが必要だとは思っていません。実際、食のシーンで、咀嚼する音や飲み込む音だけで十分官能が伝わることも。食べる口のアップでエロティシズムを表現することもできる。男性は官能=性行為描写となりがちですが、女性の期待する官能はそうじゃなかったりする。結局、男女ってどこまでいっても噛み合わない。そこが魅力なんですかね(笑)。

あんどう・ももこ 映画監督、小説家。ロンドン大学とニューヨーク大学で映画制作を学び、『カケラ』(’10)でデビュー。翌年、小説『0.5ミリ』を出版し、2014年に妹の安藤サクラ主演で映画化。数々の映画賞を受賞。

※『anan』2019年4月3日号より。イラスト・カーリィ 取材、文・山縣みどり

(by anan編集部)

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