荷物を置いたら絶対ダメな場所は?【旅館マナー】宿泊時のNG作法とは

文・能美黎子 — 2023.12.16 — Page 1/2
クリスマスや年末年始の休暇に向けて、旅行に出かけることが多くなるシーズンの到来です。旅行の楽しみのひとつが、ホテルや旅館などでのんびりすること。特に温泉を楽しむ旅館では、普段あまり接することのない和室や浴衣着用時のマナーについて悩んだことがある方も多いと思います。今回は、今さら聞けない旅館でのマナーについて、秘書歴約15年でマナーに詳しい、能美黎子さんが説明します。

旅館でのマナー

宿泊 旅館 マナー NGマナー

【元社長秘書のマナー講座】vol. 15


これからの季節は、クリスマスや年末休暇の長期休暇で、旅行をする機会が増える方も多いのではないでしょうか。家族や大切な人と、ゆっくり過ごす時間は至福のひとときですよね。旅行をする際の楽しみのひとつが宿泊をするお宿だと思いますが、皆さんはホテル派ですか? 旅館派ですか?
どちらにしても最低限のマナーがあります。実は、知らず知らずのうちにNGマナーをしてしまっていることもあります。そこで今回は、なかなか聞けない「旅館の宿泊マナー」についてご紹介をします。ぜひ、素敵な旅をする際の参考にしてみてくださいね。


マナー1. チェックイン

事前に到着時間を知らせる

昨今、予約時に到着時間を伝える宿が多くなりました。到着時間に合わせて、迎えの準備や部屋の準備等をするため、伝えた時間から前後する際は必ず早めに電話でその旨お伝えするのが礼儀です。15時からチェックインできる旅館が一般的ですが、宿により異なるため確認をしておくと良いでしょう。到着時間を聞かれない場合でもおおよその時間を伝えておくことをおすすめします。また、アレルギーや苦手な食材があれば、宿の予約を入れるときに伝えておくのも、旅を楽しむ際のマナーです。


マナー2. 玄関

靴を後ろ向きで脱ぐのはNG

玄関では靴を脱いであがる旅館もあります。その際に、靴を後ろ向きに脱ぐと、迎えてくれた相手にお尻を見せることになるためマナーとしてはNGです。この場合、正面を向いたまま靴を脱ぎ、玄関に上がってから自分で靴を反対側に向けるのが正解です。「履物はそのままでどうぞ」と声をかけられた場合、「ありがとうございます」とお礼の言葉を添えましょう。


マナー3. 和室のお部屋

畳の縁や敷居を踏まない

畳の縁や敷居は、踏まずにまたぐようにするのが和室のマナーです。敷居は家の象徴であり、畳の縁は家の格式を表しているため、それを踏むことは失礼な行為にあたります。旅館に限らず、和室での基本的な振る舞いのマナーとして覚えておきましょう。また、キャリーケースは畳の上でキャスター部分を転がさないように注意をしましょう。外で転がしているものなので、汚れたり、畳が傷む可能性があるため持ち上げて運ぶようにします。

床の間に荷物を置くのはNG

荷物を床の間に置く人が多く見受けられますが、床の間は飾られた掛軸やお花を鑑賞するための場所です。和室で一番格式の高い場所とされているため、空いているスペースのように見えても、荷物を置くのはNGです。荷物を置く場合には、床の間以外の場所に置くようにしましょう。

畳に素足で上がるのはNG

冬場ではあまりないと思いますが、実は畳の上を素足で歩くのはマナー違反とされています。夏は素足でサンダルをはいている方もいるかもしれませんが、サンダルを脱いで、そのまま上がるのは避けるように心がけましょう。また、旅館などで入浴し、足を洗った後は、素足でくつろいでも問題ないとされています。


マナー4. 浴衣

浴衣の基本的な着方

旅館に行くと大抵揃えてあるのが浴衣です。浴衣は、基本的に「右前」が正しい着用の仕方となりますので、覚えておきましょう。「右前」とは、自分から見て右側を先に身体に合わせ、その上に左側を合わせます。丈が余る場合には、おはしょりを作りくるぶしが見える程度に調整します。浴衣で部屋の外に出るときには、用意されている半纏を必ず着用しましょう。

共有スペースを浴衣のみで歩くのは避けよう

浴衣のみで部屋の外を歩くのはあまり良いとされていないため、部屋を出る際は備え付けの半纏を着用することをすすめします。ただし、旅館ごとにルールが異なるため、宿泊するお宿のルールを守ることが大切です。


マナー5. お風呂

かけ湯をしてから湯船につかる

温泉や大浴場は、多くの方が利用する場所です。まず浴室に入ったら、かけ湯やシャワーで身体についた汚れをさっと流してから入りましょう。

タオルや髪の毛はお湯につけない

湯船にタオルをつけると不衛生となるため、タオルを入れることは避けましょう。また、髪の毛が入らないように髪止めなどを使用し周りに配慮する行動が大切です。また、大声で話したり、走ったり湯船で泳ぐなどの行為は、他のお客様に迷惑となりますのでやめましょう。

おわりに

旅館でくつろぐことは非日常的で、特別なものがありますよね。今回ご紹介したマナーは「絶対守らなければいけない」ということではありません。しかし、周りに配慮をし気持ちよく過ごすために知っておいたほうが、より楽しむことができる大切なマナーです。これから行かれる旅行が、皆さまにとってより素敵な旅になるようにぜひ実践してみてください。

<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。


©honey/Adobe Stock