知らないと恥ずかしい!【ビジネスマナー】元社長秘書が教える「使ってはいけないNG敬語」
「気づかず使っているかも!? 間違いやすい敬語」
【元社長秘書のマナー講座】vol. 7
普段何気なく使っている日本語でも、ビジネスシーンにおいては不適切となるため注意して使わなければいけない言葉が存在しているのをご存知でしょうか?
もしかすると、今使っているその敬語がビジネスシーンにおいては使ってはいけない言葉かもしれません。今回は、特に使われることが多い「間違いやすい敬語」についてご紹介します。ビジネスの場面で恥をかかないように、ぜひチェックしてみてくださいね。
間違いやすい敬語10選
間違いの多いビジネス敬語の中から、特に注意をして知っておいた方がいい言葉10選をご紹介します。
その1. 「すいません」
正しいビジネス表現は「申し訳ございません」
耳にすることが多い「すいません」という言葉ですが、正しい表現は「すみません」となります。また、「すみません」は、謝罪や感謝の気持ちを伝えるときに用いられる言葉ですが、目上の方や取引先に対してなどビジネスにおいては失礼にあたります。謝罪の場面で使うときは「申し訳ございません」、感謝の場面では「ありがとうございます」などといった言葉で伝えましょう。
その2. 「了解しました」
正しいビジネス表現は「かしこまりました」「承知しました」
「了解」は、目上の人が目下に対して了承するときに使う言葉です。目上の方や上司に使う言葉として相応しい言葉ではありませんので注意しましょう。目上のかたや上司には、「かしこまりました」「承知しました」を使うのが正解となります。
その3. 「なるほど」「なるほどですね」
正しいビジネス表現は「おっしゃる通りだと思います」
使ってしまいがちな「なるほど」自体には、尊敬の意味はないためビジネスシーンで使用することは不適切です。特に、目上のかたに使うと少し見下したようなニュアンスが含まれる場合があるので注意しましょう。目上のかたやお客様に対しては「おっしゃる通りだと思います」などを使用するとよいでしょう。
その4. 「よろしかったでしょうか」
正しいビジネス表現は「よろしいでしょうか(〜でしょうか)」
「よろしかった」という言葉は過去形のため、相応しくありません。過去のことではないのに過去形で聞いているため、「よろしかったでしょうか」は間違った言葉遣いになります。類似の間違いとして、「お間違いなかったでしょうか」などもNGです。「お間違いないでしょうか」が正しい表現になります。
その5. 「どちらさまでしょうか」「お名前を頂戴できますでしょうか」
正しいビジネス表現は「恐れ入りますが、お名前を伺えますか」「お名前をお聞かせいただけますか」
電話の取り次ぎや受付などでよく使う言葉になりますが、「どちらさまでしょうか」「お名前を頂戴できますでしょうか」はビジネスシーンでは間違いとなります。「頂戴する」という言葉自体は「もらう」の正しい敬語なのですが、名前は「もらう」ものではないため間違い敬語となります。また、文化庁の敬語の指針で「定着している例」として「お伺いする」という言葉がありますが、実は二重敬語となります。使用していけない言葉ではありませんが「伺えますか」が正しい敬語となりますので覚えておきましょう。
その6. 「ご苦労さまです」
正しいビジネス表現は「お疲れさまです」
「ご苦労さま」は、目上のかたが目下にかけるねぎらいの言葉なので、上司のかたに使うのは不適切となります。「お疲れさま」という言葉は、上下関係問わず使える言葉でとても便利ですが、「お疲れさまです」ばかり使うのではなく、先に退社するときには「お先に失礼いたします」、上司が帰社したときには「お帰りなさい」など、その状況に合わせた言葉選びをすることをおすすめします。
その7. 「お体をご自愛くださいませ」
正しいビジネス表現は「ご自愛くださいませ」
「ご自愛ください」という言葉にはすでに「体を大切にしてください」という意味が含まれています。そのため、「お体を」は二重の言葉となってしまうため不要となります。
その8. 「お座りください」
正しいビジネス表現は「お掛けください」
敬語としては正しく成り立ってる言葉ですが、「座る」という言葉がしつけなどを連想させてしまう言葉のためビジネスシーンにおいて適切ではない表現となります。「お掛けください」という表現を使いましょう。
その9. 「できません」
正しいビジネス表現は「いたしかねます」
「できません」という表現は敬語となりますが、ビジネスシーンでは角が立つため避けましょう。「いたしかねます」という表現が適切となります。
その10. 「どちらにいたしますか」
正しいビジネス表現は「どちらになさいますか」
「どちら」は「どれ」の丁寧語、「いたす」は「する」の謙譲語となります。謙譲語は、自分の行動をへりくだって表現する際に使用する言葉となりますが、相手を主体とする場合は「する」を尊敬語にして「なさる」を使うのが正しい敬語表現となります。
おわりに
ビジネスシーンにおいて、正しい敬語を使うことで相手への尊敬の念を示すことができ、好印象を与えられます。今一度、自分の使っている言葉が正しいかどうかを確認してみてくださいね。最も大切なことは相手を敬う気持ちです。言葉を磨き、品格のある対応を心がけましょう。
<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。
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