知らないと恥ずかしい!【挨拶のビジネスマナー】元社長秘書が教える「使ってはいけない言葉、使うべき言葉」

文・能美黎子 — 2023.8.26 — Page 1/2
職場にとどまらず取引先や出張先などさまざまなシーンで行われる「挨拶」。初対面のかたとの大切な第一印象を決めるものです。しかし、挨拶は、相手がどのような立場のかたであっても緊張をしてしまうもの。特に相手が目上のかただと、つい緊張してしまい言葉が出てこない! という人は多いのではないでしょうか? 目上の人が相手だときちんとしないといけないとかしこまってしまいがちですが、礼儀を守った正しい言葉を使えば失礼にあたることはありません。今回は、初めて会う目上のかたに対する「挨拶」について、今さら聞けないビジネス敬語を含めて、秘書歴15年でマナーに詳しい、能美黎子さんが説明します。

目上のかたへの挨拶の基本マナー

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【元社長秘書のマナー講座】vol. 1


ビジネスマナーでは、挨拶の作法がとても大切となります。
挨拶には、「相手の心を開き、相手の心に近づく」という意味が込められています。儀式的になりがちな挨拶ですが、第一印象が悪いと仕事につながらなくなってしまう可能性もあるため、まずは挨拶で相手に心を開いていただくことが大切です。

【初対面での挨拶のポイント】

1. 自分から先に挨拶をする。

初対面での挨拶の場合、社内でも社外でもこちらから先に笑顔で挨拶をすることを心がけましょう。
基本的に、はじめに挨拶した人が、その後の会話の主導権を握ると言われています。相手のペースにまきこまれ、挨拶のタイミングを逸してしまい、後で気まずい思いをする前に、先に挨拶しましょう。自分から挨拶することで印象がよくなるだけでなく、会話の主導権を握ることができ、交渉や要求などがしやすくなるでしょう。

2. 語先後礼(ごせんごれい)を忘れない!

「語先後礼」という言葉をご存知でしょうか?
言葉を先に伝えてからお辞儀をすることを指します。言葉とお辞儀を同時にしてしまうかたが多いなと筆者は感じることがあります。緊張などで焦ってしまうかもしれませんが、ここは一呼吸をして、まずは相手の目を見て明るく言葉を発し、そのあとにお辞儀をするようにしましょう。これだけで、印象がだいぶ違いますよ!

3. 明るく笑顔を心がける。

挨拶は、明るく笑顔で「好印象」を心がけましょう。
初対面や目上のかたに限らずですが、笑顔で、目を見て、はっきりとした明るい声で挨拶をすることで、とても好印象を与えることができます。笑顔で挨拶してくれた人にマイナスのイメージをもつ人はほとんどいません。

挨拶フレーズ

次に、挨拶をするフレーズのご紹介です。
初めてお会いする目上の人へは「初めまして」または「初めてお目にかかります」という言葉を使うのが基本となります。どちらも初対面のかたに対して広く使われる挨拶です。

【基本的な挨拶フレーズ】

「初めまして。株式会社◯◯の△△と申します」
「初めてお目にかかります、◯◯と申します」
「お世話になります。このたび、営業部に異動になりました〇〇と申します」

注意しておきたいポイントは、目上のかたや初めて会うかたには使用してはいけない不適切な言葉があるということです。それについては、次以降の項目でご説明をいたします。

目上のかたへの挨拶NGフレーズ

目上のかたに対して、使ってはいけない挨拶の言葉があります。
NGフレーズは、お分かりになりますでしょうか?

正解は、「ご苦労様です」
「ご苦労様です」は目上のかたには絶対に使用してはいけません!

「ご苦労様」が使える相手は、基本的に目下の人となります。
目上の人から目下の人に対して、苦労をかけたことに対してねぎらう気持ちを表す際に使います。そのため、ビジネスシーンにおいては、作業を行ってくれた部下などに対してねぎらいをかける言葉として使う言葉となります。

また、初めてお目にかかるかたに「お世話になっております」という言葉もN Gとなるため注意して下さい! 何もやり取りが始まっていない初対面の相手に対して使用してしまうと、相手側に「以前、面識があったのかな?」と混乱させてしまう可能性があります。

目上のかたに「お疲れさまです」って使っていいの?

ビジネスシーンでまず挨拶の言葉として常套句となっている「お疲れさまです」という言葉。「目上のかたに使うのは失礼では?」と躊躇しているかたも多いのではないでしょうか。

正解は「〇」
「お疲れさまです」を目上のかたに使っても失礼にはなりません。

「お疲れさまです」を目上のかたに使うのは抵抗がある…そんな場合もあると思います。そのような場合には、「お疲れさまでございます」「お疲れさまでございました」などと、語尾を丁寧にすると良いでしょう。相手に礼儀正しい印象を与えつつ、ねぎらいの気持ちを表現することができます。

いかがだったでしょうか?
挨拶の本質である「相手の心を開き、相手の心に近づく」という言葉の意味を忘れず、目上のかたに対しても積極的に自分から挨拶をし、言葉を交わしていくことを心がけましょう。挨拶なくてして、人間関係は始められません。ぜひ、参考にしてみて下さいね。

<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。


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