【ビジネスマナー】「タクシー乗車時のNGマナー」要注意なのは席次だけじゃない!

文・能美黎子 — 2023.11.18 — Page 1/2
仕事上でもプライベートでも利用する機会があるタクシー。実は、上座・下座の席次以外にも、乗車する際のマナー違反に気をつけなければなりません。今さら聞けない身近なマナーを、秘書歴約15年でマナーに詳しい能美黎子さんが説明します。

タクシー利用時の基本マナーとは

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【元社長秘書のマナー講座】vol. 11


仕事上で、上司や取引先のかたと一緒にタクシーを利用する機会がある人は多いと思いますが、乗車時のマナーをご存知でしょうか? 実は、会議室やエレベーターと同様に、タクシーにも乗る際のビジネスマナーが存在します。上座・下座の席次マナー以外にも注意すべき点がいくつかあるため、今回は、タクシー利用時の基本マナーについてご紹介します。いざという時に対応ができるよう、しっかりと覚えておきましょう。


1. タクシー手配

タクシーを利用することになったら、まずすることは「手配」です。基本的にタクシー手配は、1番目下の人の役目です。事前に決まっている場合には、Webなどで予約をしておくとスムーズでしょう。流れタクシーを止める場合には、先に道路に出てタクシーを止めておき、取引先や上司がすぐに乗車できるようにしておきましょう。

タクシーを止める際の注意点

すぐにタクシーを利用したいとき、手を挙げているのに「空車」のタクシーがなかなか止まってくれなかった経験はありませんか? もしかしたら、タクシーを拾おうとした場所に原因があるかもしれません。道路交通法によって、タクシーを止められる場所のルールが決まっていることをご存知でしょうか。止める際は周囲の交通状況、安全等も考慮することが大切です。

停車禁止の場所でタクシーを拾おうとする
「交差点や横断歩道およびその側端から5m以内」は乗車・降車が禁止されています。ほかにも「踏切の前後」「坂の頂上付近」など、駐停車禁止エリアではタクシーを止めることができないため、拾う側も配慮が必要です。

交通量の多い場所でタクシーを止めない
交通量が多い道路ほどタクシーが通る確率も高くなりますが、混雑している場所でタクシーを止めるのはできるだけ避けましょう。渋滞の原因や乗り込む際に事故につながる危険があります。


2. 席次マナー

人数別の上座・下座のマナーを解説します。

3人の場合

3人で4人乗りのタクシーに乗車する場合には、運転席の真後ろが上座、助手席が下座となります。

4人の場合

4人で4人乗りのタクシーに乗車する場合には、上座と下座の位置は3人で利用する場合と変わりありません。運転席の真後ろが1番目の上座、助手席が4番目の下座となります。2番目は助手席の真後ろの席、3番目は後部座席の中央の席となります。

5人以上の場合

5人以上の場合には、3列シートの6人乗りのワンボックスタイプのタクシーもしくは、2台の手配となります。6人乗りのワンボックスタイプの場合は、2列目の運転手の真後ろが上座になります。そして注意したいのが、乗り降りしにくい3列目の助手席側が下座ということです。


3. NGマナー3選

意外とやりがちなNGマナーをご紹介します。

先に待っている人の前方でタクシーを拾う

公道では知らないうちに順番を抜かしてしまっている可能性があります。すぐ近くで先にタクシーを待っている人がいた場合、前方で拾うのはマナー違反となりますので注意しましょう。タクシーを拾う前に、周囲を確認してから拾うのがマナーです。

汚れた荷物を座席に置く

汚れた荷物や、濡れてしまったカバンなどを座席に置くことはマナー違反です。汚れてしまった荷物は座席に置かず足元やトランクに入れてもらうようにしましょう。座席シートを汚してしまった場合、タクシーの運転手さんや次に乗る方に迷惑をかけてしまうことになります。思いやりのある行動を心がけましょう。

上座・下座にこだわりすぎる

席次マナーを説明いたしましたが、脚の不自由なかたや、お着物姿のかたなどは、運転席の後ろよりも助手席の後ろのほうが乗り降りがしやすい場合もあります。また、後方座席の真ん中は、助手席よりもかなり窮屈となるため自分自身が助手席に座るべき立場であっても、荷物の多い人が後方座席の真ん中に座りそうな場合には「そちらでよろしいでしょうか?」と一声かけて相手の意向を伺うようにしましょう。その場の状況によって臨機応変に判断していくことも大切です。

おわりに

時代の流れとともに、近年ではマナーに対して厳格に行動するのではなく、その場の状況に応じた臨機応変な対応が重視される風潮になってきています。しかし、細かい気配りや相手を思いやる行動が信頼に繋がることに変わりはありません。基本のマナーを覚えておくことで、応用することもできます。相手を思いやる気持ちを忘れずに品格のある行動を心がけましょう。

<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。


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