隠れ脱水が増加中!? すこやかな腸を保つ、理想的な水の飲み方とは?

ライフスタイル
2023.07.06
実は密接に関わっている腸と水の関係。腸に欠かせない理由から、水の飲み方まで…、気になる水と腸の関係に迫ります。

便の80%は水分! 不足すると腸にも影響大。

water

すこやかな腸を保つうえで重要なのが水。

「腸の最大の役割ともいえる消化・吸収において欠かせないのが水の存在。唾液や胃液、腸液などに含まれる消化酵素は、水に溶けて分泌されるので、体内に十分な水分があって初めて栄養を吸収できるのです。また、正常な便のおよそ8割は水分だといわれています。水分があることで腸の動きが活発になりますし、逆に腸内の水分量が不足すると便が硬くなって便秘を引き起こします」(医師・馬渕知子さん)

便が腸内に長くとどまると腸内環境が乱れてさまざまな不調の原因になるから、こまめに水を飲み、腸にうるおいを与えて、水分を体内に循環させていくよう意識することが重要なのだそう。

その一方で、実は隠れ脱水の人が増えている、とも。

「汗をかきにくい、くちびるや腋の下が乾燥しやすい、疲れやすい、立ちくらみなどの症状が当てはまる人は脱水を疑ってみて。脱水気味だと尿の色も濃くなるので、日頃からチェックしておくとバロメーターになります」(アクアソムリエ・山中亜希さん)

目指せ2L。こまめな給水を心がけて。

1日に必要とされる水分量の目安は約2~2.5L。そのうち1Lほどは食事に含まれる水分から摂取できるといわれ、およそ1~1.5Lは水などの飲料で摂る必要が。とはいえ一度にガブガブ飲めばいいのではなく、飲み方にも適切な方法があるのだとか。

「水分は腎臓でろ過されて尿になりますが、人体が1時間に水分を尿に変えることができる量は決まっています。一度にたくさん摂りすぎると腎臓に負担がかかるだけでなく、体内の塩分バランスが崩れて低ナトリウム血症を引き起こします。理想は1時間ごとにコップ1杯200~250ml程度を目安に飲むことです」(山中さん)

また、発汗時にはそれよりも多めに水を飲むことを心がけたい。

「特に重要なのが、寝る前と起床時。人間は就寝中に500ml~1Lの汗をかくといわれ、朝起きると体内の水分が失われた状態に。そのため就寝前と朝はしっかりと水を飲むことを意識してください。同様に、スポーツ時や入浴の前後にも水分補給を心がけることが重要です」(馬渕さん)

【コーヒーやビールはカウントしてよい?】
ベストは腸に届くまでの時間や吸収が早い水だが、水ばかりを飲み続けるのは難しいもの。「カフェインは利尿作用がありますが適度であればそこまで気にせず、水分として考えていいでしょう」と馬渕さん。一方、アルコールをカウントするのはNG。「利尿作用が強く、たとえばビールを1本飲んだ場合、1.1本分の水が排出されてしまいます。そのため、飲んだアルコールの量以上の水を飲む必要が」。また砂糖入りの清涼飲料水も避けるべき。

胃腸にいい水を意識してセレクト。

せっかく飲むのであれば、胃腸にいい水を選びたい。「その際にまず意識すべきは硬度」と山中さん。

「硬水はカルシウムやマグネシウムの含有量が多く、便秘に効果が。お腹が緩めの方には軟水がおすすめです。ほかに腸活にいい水としては、胃腸を刺激して便秘改善や血行・消化を促進する炭酸水、胃腸症状の改善に効果があるアルカリイオン水などがあります」

胃腸の悩みに応じて水を飲み分けることを意識してみて。

【押さえておきたい水のキーワード】
・硬水・軟水
カルシウムやマグネシウムが多いと硬水、少ないと軟水。日本の水は軟水が多い。マグネシウムは腸に水を集め便通を促す効果があるため便秘解消にいいが、味にミネラル感があるため飲みづらさを感じる場合も。

・炭酸水
炭酸ガス(二酸化炭素)が溶け込んだ水で、天然の炭酸水と人工的に炭酸を添加したものがある。炭酸が胃腸の血管を刺激し、腸内の働きが活発に。老廃物の排出を助けて便秘改善、血行・消化促進などに効果が。

・アルカリイオン水
アルカリ整水器で電気分解して作られるpH9~10の弱アルカリ性を帯びた水。慢性の下痢や消化不良、胃腸内の異常発酵などの症状の改善に効果があることがわかっており、効能は厚生労働省に認証されている。

馬渕知子さん 医師。マブチメディカルクリニック院長、学校法人食糧学院学院長。専門分野である分子栄養学やアンチエイジング医療などの知識を生かし、若手育成やテレビ出演など多方面で活躍する。

山中亜希さん アクアソムリエ。ミネラルウォーター専門店『AQUASTORE』の立ち上げと同時にイタリアでアクアソムリエの資格を取得。アクアソムリエを養成する「AQUADEMIA」の校長も務める。

※『anan』2023年7月12日号より。写真・市原慶子 スタイリスト・野崎未菜美 取材、文・宮尾仁美 撮影協力・UTUWA

(by anan編集部)

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