ネトゲで出会った年上女子&男子高生の、じりじり&ほのぼのラブストーリー。気持ちを自覚し変わる二人に…。
出会いはゲーム、相手は年下。リアルに近い設定に、きゅん。
大人の女性におすすめのマンガを紹介する企画「ananマンガ大賞」。13回目を迎えたこの企画、改めて大賞選考基準を説明すると、1)カッコいい男性が出てくること、2)ラブストーリーであること、3)現在連載中であること、4)読んだ後に前向きな気持ちになれること、の4つ。このポイントと照らし合わせながら、編集部のマンガ好きスタッフらが厳正に審査した結果、今年の大賞はましろさんの『山田くんとLv999の恋をする』となりました! マンガアプリ「GANMA!」で連載中の、ネトゲを通じて知り合った女子大生&高校生が繰り広げる、ちょっぴり不器用な恋物語。二人の“じりじり感”に加え、彼らを囲む個性的な仲間たちとの関係もおもしろい。
POINT1:ネトゲの女と浮気をされ、フラれた茜が主人公。通称アフロの山田との出会いは同じくネトゲ。
彼氏と共にネトゲをしていた茜だったが、その彼がネトゲで知り合った別の女と浮気→失恋…。惰性で同じゲームをプレイ中、アフロ頭キャラの山田と遭遇。失恋話をしても超塩対応な山田に、思わず茜は八つ当たりを…。
POINT2:山田は男子高校生でイケメンプロゲーマー。が、そっけないし、女子には全然興味ナシ。
その後ゲームイベントで偶然山田と遭遇し、失恋直後の茜は居酒屋で山田にくだを巻く。実は山田は高校生プロゲーマーで、その筋では超有名人&美少年。が、「モテないし恋愛に興味ない」。茜曰く「イケメンの無駄遣い…」。
POINT3:互いに恋愛対象だなんて思わない二人が、無自覚に惹かれ合い、恋を自覚する展開が、いかにも王道ラブコメ!
男子高校生と女子大生。プロゲーマーとネトゲ初心者。しかも山田は恋愛に興味ゼロ…のはずが、茜にトラブルが起こるたび、山田は放っておけなくて…。二人の心が柔らかくなり、少しずつ近づくじりじり感がイイ!
POINT4:ゲームを通じて知り合った2人を囲む仲間たちもキャラが濃いめで魅力的。
茜がプレイするゲーム内のギルド(チームのようなもの)には、山田をはじめ年齢や性別の関係ない仲間が。彼らや、茜や山田の学校内の友人との交流も心温まるものばかり。友だちっていいなと、ちょっとホロリとします。
ましろ先生に、大賞受賞特別インタビュー。
さっそく、受賞の報告をさせていただきつつ、作品への思いや作品執筆の苦労や喜びについてお話を聞かせていただきました!
――まずは受賞の感想を!
ましろ:担当編集者とスカイプで打ち合わせをしてる中で、教えてもらいました。私が小さい頃から知っている雑誌なので、すごく驚いて…。でもとても光栄です。友だちに自慢できる…と、浮ついた気持ちになりました(笑)。
――ましろさんにとって、『山田くん~』は初めての長編連載作品だと聞いたのですが…。
ましろ:そうなんです。実は私、以前一度マンガ家デビューをしてるんですが、3年くらいで力尽きてしまい、以降10年、マンガと離れて普通に働いていたんです。それで3年ほど前、転職活動を考えていて。そのときたまたまTwitterに流れてきたGANMA!のオンライン持ち込みのお知らせを見て、無理だろうと思いながら、10年前の作品をデータ化して送信したら、「連載しませんか?」とお知らせが…。本当に嬉しかったんですが、10年マンガから離れていたので人物の輪郭すら描けなくなっていて、恥ずかしながら絵の練習から始めました(笑)。
――10年ぶりに描くマンガを、ラブストーリーにしようと思ったのは、理由はありますか?
ましろ:私はずっと自分を少女マンガ家だと思っているので、恋愛を描くこと=マンガを描く意義だと思っていて…。恋愛を描きたい理由って、正直自分でもよくわからないんですが、そのテーマが、一番モチベーションが上がるんです。
――年下のクール系男子との恋物語という設定はどこから?
ましろ:少女マンガにおいて、主人公の女子が好きになる男の子に、憧れのお姉さん的女子がいるって、結構よくある設定ですよね。で、そのお姉さんがその男子のお兄さんとかと付き合っちゃったりするっていう。でもその逆を張って、憧れのお姉さんと年下男子が上手くいくルートがあってもいいのでは…? と思ったのが最初です。そしてだいたい少女マンガのヒーローって女子より精神年齢が10個くらい高い感じで描かれるので、山田は“年下だけど精神年齢が高い”という設定に。一方の茜は、トラウマも悩みも特にない、ごくごく普通の女の子にしようと。
――茜ちゃんはコミュ力の高い、明るい女子ですね。
ましろ:私自身とは全く性格が違うので、茜って正直今でもよくわからない(笑)。でもそのよくわからないところが気に入っているポイントでもあって。そんな茜と、人間関係を築くのが下手そうな山田の恋を、こっそり覗き見するように楽しんでくれたら…と思って描いています。
――初めての連載で単行本も6巻まで出ています。今の段階で一番嬉しいことはなんですか?
ましろ:こんなにたくさんの方が読んでくださる作品になったことが、信じられないし、本当に嬉しい。あと、少女マンガは男子キャラに恋してもらうために描くものだと思っているので、山田を好きになってもらえることが、私の本望かな(笑)。かつて学生時代には読んでいたけれど、今は恋愛マンガから離れている、そんな大人の女子たちにぜひ楽しんでもらいたい…、そう思いながら、頑張って描いている作品なので、“昔はマンガ好きだったな…”と思う人にこそ、読んでもらいたいです。
ましろさん的“大変だったシーン”
「1巻あたりは私がマンガ執筆に不慣れで、茜にいろんなことをやらせすぎました…」
実は1巻収録分の作品は、マンガ執筆が久しぶりすぎて、ヒロインの茜に無理をさせすぎたと反省しているそう。「お話を動かしてもらうため、茜をこき使いすぎました、申し訳なかった…。でも描き進むうちに茜のことも尊重できるようになり、今は大切にしています(笑)」
ましろさん的“好きなシーン”
「山田の同級生・椿の告白シーン。できることならもっと掘り下げたかったです」
4巻収録の失恋シーン。「山田の同級生である椿は、逆張りをしなければ本筋のヒロインであってもいいキャラクターでした。彼女の恋と、失恋を描けたのは、少女マンガ家としては嬉しかった。できれば椿の恋心と、山田との関係性をもっと深掘りして描いてみたかったですね」
ましろ『山田くんとLv999の恋をする』 ごくごく普通の女子大生・茜がネトゲで知り合ったのは、アフロ男の山田。ひょんなきっかけでリアルでも出会った二人が、徐々に惹かれ合って…。マンガアプリ「GANMA!」にて連載中。また2023年にはTVアニメ化も! 1~6巻 693円~/KADOKAWA ©ましろ/COMICSMART INC.
ましろ マンガ家。2019年より連載をスタート。「次にくるマンガ大賞2021」Webマンガ部門で4位を獲得。ご本人もゲーム好き。単行本あとがきによると愛犬家? Twitterは@msr7025
※『anan』2022年12月28日‐2023年1月4日合併号より。写真(本)・中島慶子
(by anan編集部)