小関裕太「自分とは切り離せないもの」 ミュージカルへの強い想い

エンタメ
2022.05.07
温和な笑顔のイメージが強い小関裕太さんだが、近年はその雰囲気を逆手に取って、腹黒男子やヒモ男などにも挑戦し役柄の幅を広げている。次々と新しい顔を見せる小関さんの今思うこと。

「こんなふうに撮影するなんて新鮮」。カメラマンのさまざまな要求にも、楽しそうに笑顔で応じてくれた小関さん。近年は俳優業にとどまらず、音楽番組や情報番組にも出演。引きも切らないオファーのワケは、こんな人柄にもあるのかも。

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―― 一昨年に中止になった主演ミュージカル『四月は君の嘘』が2年越しで上演されます。この2年は、どんなお気持ちでいましたか。

中止が決まったときはショックの方が大きかったです。原作を読んですごく作品が好きになりましたし、なにより本番に向けてずっと役にアンテナを張ってきたんです。僕にとって世界的作曲家のフランク・ワイルドホーンさんの楽曲は歌唱力的な面でハードルが高く、覚悟を決めて準備してきたので、中止になった当初はそれが報われないんだと。

――演じるのは、かつて神童と呼ばれたピアノの腕前を持つ主人公の公生。彼を軸に、ヴァイオリニストのかをり、幼馴染みの渡と椿が絡む恋愛模様や、音楽の情熱を描いた物語が展開されますが…。

三角関係のようないわゆる恋愛漫画の王道もありつつ、切なさの表現や綴られる言葉が素敵で、総じて世界観が美しい作品ですよね。

――形のない芸術という世界で上を目指そうと奮闘する登場人物に共感する部分はありますか。

演奏家であれば誰だって楽譜を投げ捨てたくなる瞬間はあるけれど、それでもやっぱりあのステージに立ちたいと思う、という場面があるんです。これって僕もそうで、精神的にキツいときもあるけれど、ステージに立って成果を得たとき…カーテンコールで拍手をいただいた瞬間を思い出して自分の背中を押す。それをこの作品では“美しい嘘”って言っているんですが、わかるなあって。

――公生という役に共感は?

公生くんは、物腰柔らかくあまり自己主張しないタイプの人で、周りに気を遣って生きているんだなぁってところを愛おしく思っています。僕も、今はわりと自分のやりたいことを自覚して、自分の意見を主張できるようになりましたけれど、学生時代は公生くんと同じタイプで、悪い意味で遠慮気味な人だったと思います。

――主張できるようになったきっかけは、なにかあったんですか。

僕の遠慮はあまりいいものではなかったって徐々に気づいたというか…。それまで周りの意見を受け入れるのを優しさだと思っていたけれど、ただ受け身なだけなのかもしれなくて、本当は意見やこだわりがあるのに何も言わずにいるのは、外から見たら空っぽなのと同じだなと思って。ただそれでたまに、強く言いすぎてしまうこともあるんですけれど…。

――そうなんですか?

ある作品の衣装合わせで用意されていたものが、役柄とあまりに違うテイストで…。なぜこの衣装を用意したのかを聞いたら「監督に言われたから」「プロデューサーに言われたから」と。僕は役のことをすごく考えてその場に臨んでいたから、その熱量の差にショックを受けて、少し強い口調に…。現場がシーンとしてしまい、あれはものすごく反省しました。

――でもそれだけ役のイメージを準備して真剣に現場に臨まれているということでもあります。

たくさんの先輩方のいろんな姿勢を見て、自分だったらこうしたいというものが生まれて、背中を押されてきたからだと思います。

――以前からミュージカルへの強い想いを持っていたそうですね。

もともと好きだったんです。『メリー・ポピンズ』とか『ライオンキング』『チキ・チキ・バン・バン』といった作品に影響を受けてタップダンスを始めてこの世界に入りましたから、自分とは切り離せないものって感覚です。

――映像と舞台の棲み分けのようなものはあるんですか?

映像と舞台って、共通している部分もありながら、時間をかける箇所が違っていて、その違いを僕は面白いと思うし、それぞれ学ぶところがあります。僕自身、いろんなことをやりたい性格なので、両方あるのがありがたいですね。ご一緒する方々にたくさん影響を受けながら、自分なりに舞台そして映像との向き合い方をもっと開拓していきたいです。

ミュージカル『四月は君の嘘』は5月7日(土)~29日(日)東京・日生劇場のほか、群馬、愛知、兵庫、富山、福岡にて上演。小関さんが演じる主人公・有馬公生は木村達成さんとのWキャスト。ヒロインの宮園かをりは生田絵梨花さんが扮する。大ヒットミュージカルを多数手掛けるフランク・ワイルドホーンによる楽曲にも注目。

こせき・ゆうた 1995年6月8日生まれ、東京都出身。連続テレビ小説『半分、青い。』や映画『ライアー×ライアー』、ドラマ『来世ではちゃんとします』シリーズなど話題作に多数出演。近作にドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』、ミュージカル『The View Upstairs』など。現在、『王様のブランチ』(TBS系)にレギュラー出演中。
ニットシャツ¥47,300 Tシャツ¥16,500(共にスタジオ ニコルソン/インコントロTEL:03・6805・1082) パンツ¥31,900(ウィーウィル/株式会社ウィーウィル TEL:03・6264・4445) その他はスタイリスト私物

※『anan』2022年5月4‐11日合併号。写真・野田若葉(TRON) スタイリスト・吉本知嗣 ヘア&メイク・佐々木麻里子 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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