嬉しさと同時にプレッシャーも!? 和田琢磨&七海ひろき、舞台『刀剣乱舞』への意気込み

エンタメ
2022.04.03
迫力の殺陣に、深淵な世界を丁寧に描いた重厚な物語で人気の舞台『刀剣乱舞』(刀ステ)。今回の舞台は、一昨年上演予定だった「綺伝」。刀剣男士たちが慶長元年の熊本に出陣します。

刀剣男士と歴史上の人物とが邂逅。舞台『刀剣乱舞』が魅せる忠義と愛と。

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役者人生の半分を歌仙兼定と過ごしています。

歌仙兼定役 和田琢磨

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和田琢磨さんが歌仙兼定として“顕現”したのは、舞台『刀剣乱舞』‐義伝-暁の独眼竜‐が上演された5年前。キャラクターを舞台でリアルに再現するのが2.5次元舞台の醍醐味だが、歌仙兼定役が発表された当時、和田さんの見事なキャラクター再現は刀ステファンに“本物を連れてきた”と言わしめた。

「あれは最高の褒め言葉でしたね! あれから5年が経ち、今は見た目だけでなく、歌仙兼定として自分から発するところに関しては自信があります。だから今は他の人が動いたり、しゃべったりする時にどう聞き、どう居るかということにこだわっています。ふと見た時、『話を聞いている姿も役そのものだね』と思っていただきたいので、どこを切り取っても歌仙兼定であることは心がけています」

舞台上で刀が折れるというアクシデントに見舞われた時、とっさに拳で相手を殴る姿がまさにそのものだと絶賛されたこともあった。

「本来あってはいけないことだけれど、起きてしまったものはしょうがない。殺陣をやめるわけにもいかないですし、とっさに拳が出てしまいました(笑)。それもまた役を常に意識していたからなのかもしれませんね。僕自身、舞台上で素の自分が見えるのは好きではないんですけど、とはいえハプニングの時に役で居続けるのは難しいもの。だから、そんな時ですら歌仙兼定だったと思っていただけたのだとしたら、嬉しい限りです」

歌仙兼定は細川忠興の愛刀で、武将であり文化人でもあった主人によく似て風流を愛する雅な刀剣男士。そんなキャラクターとは人見知りなところが似ているのだそう。

「初めての人に対してちょっと様子を窺うところがあるんですけど、僕もそう。でも仲良くなったら案外面倒見がいいというか、何でもしてあげられるところは共感できますね。役者人生の半分近くを歌仙兼定と向き合ってきたので僕もとても大事にしていますし、それは他の出演者も同じだと思います。刀ステは基本的に同じ役者が同じ役を演じ続けるので、みんなそれぞれ自分が演じる刀剣男士に対する愛着が強いんです。刀剣乱舞コラボのお菓子が出たらつい買ってしまったりとか(笑)。役としての関係もそうだし、役者としての経験値も一緒に上がっていくので、周りに育てていただいているなと感じます」

舞台『刀剣乱舞』が始まってはや6年。長く愛される理由を和田さんはこう分析する。

「脚本・演出の末満健一さんはよく『刀ステはトップランナーである』とおっしゃるんですけど、2.5次元という枠におさまらず、初めて舞台をご覧になる方でも楽しめるところが刀ステの面白さ。長く続くシリーズなので、まるでホールケーキのような魅力があります。1ピースだけ食べてもおいしいし、丸ごと食べる贅沢も味わえる(笑)。これから刀ステの物語がどうなっていくのか、僕もいちファンとして楽しみにしながら演じています」

細川ガラシャとして、美しく潔い姿を表現できたら。

細川ガラシャ役 七海ひろき

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一昨年に舞台『刀剣乱舞』‐綺伝 いくさ世の徒花‐に七海ひろきさんの出演が発表された途端、SNSをこの話題が席巻。刀ステ史上初めて女性キャストが出演するだけでなく、今作が宝塚歌劇団で男役スターとして活躍した七海さんの退団後初の女性役でもあった。

「もともと作品のファンでしたから、出演のお話をいただいた時は嬉しさと同時に、プレッシャーを感じました。ただ、宝塚の男役ではなくなりこれからいろいろなことに挑戦しようとしている私にとって、作品も役どころもすごく魅力的で素敵で…。ありがたい経験になるだろうと思って出演を決めました」

結果的に当初の予定から上演の形態は変わったが、七海さん扮する細川ガラシャの存在感、人間としての大きさ、凛とした佇まいは、刀ステファンからも絶賛を得た。

「細川ガラシャという人物の生き様が本当にかっこいいんです。その生き方に対して疑問を感じるような部分が何もないから、自分の気持ちをガラシャにリンクさせながら役を深めていけた部分があったかなと思います。末満さんの演出は、おっしゃることがすべて理に適っていて、納得できるし腑に落ちることばかり。アドバイスを受けながら互いのガラシャ像をすり合わせていく過程がすごく楽しかったです」

そして、綺伝で再び同役に挑むことに。

「今回は新作ではありますが同じ役ですから、役をより深めて臨まないと前回の衝撃は超えられないと思っています。科白劇は、役者同士がディスタンスをとって演じていたわけですが、逆にその距離があるぶん私たち自身の想いや演技で埋めようとする空気が現場にありました。それゆえか、芝居をしながら“何か”が生まれている手応えを感じることができたんですよね。今回は対面してお芝居できるわけですが、あの時以上のものが生まれるのかという不安はあります。ただ、対面してお芝居ができることで、リアルに伝わるものもあるはずだと信じて、そこを追求していきたいと思っています」

ガラシャとして目指すは「花のような人」。

「彼女の『散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ』という辞世の句が素敵なんです。まさにその言葉の通り、潔い女性というか、ガラシャとして、きれいで美しく花のように散りたいと思っています」

在団中から2.5次元舞台やアニメ作品のファンで知られていた。そんな七海さんが考える、2.5次元舞台の面白さとはなんだろう。

「キャラクターがそのまま現実に出てくるということが面白さではあると思います。でもけっしてそれだけじゃない。末満さんが、『2次元とリアルの融合みたいなものが表現できたら』とおっしゃっていて、まさにそれが目標です。役者同士が対峙して生まれるリアルな感情や熱が融合する瞬間を今回も目指していきたいです」

舞台『刀剣乱舞』綺伝(きでん) いくさ世(ゆ)の徒花(あだばな)

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上演中~4月3日(日)東京・明治座 4月22日(金)~4月24日(日)福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール 4月30日(土)~5月15日(日)大阪・新歌舞伎座 原案/「刀剣乱舞‐ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus) 脚本・演出/末満健一 出演/和田琢磨、梅津瑞樹、佐野真白、松井勇歩、伊崎龍次郎、大見拓土、塚本凌生、星元裕月、三浦浩一、早乙女じょうじ、山浦徹、黒川恭佑、堀田勝、石原正一、船木政秀、松村龍之介、佐藤永典、深澤大河、湯本健一、七海ひろき Mitt TEL:03・6265・3201(平日12:00~17:00)© 舞台『刀剣乱舞』製作委員会 ©2015 EXNOA LLC/Nitroplus

わだ・たくま 1986年1月4日生まれ、山形県出身。2009年、舞台『流れる雲よ ~DJから特攻隊へ愛を込めて~』でデビュー。ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンの手塚国光役など2.5次元舞台の他、舞台『首切り王子と愚かな女』に出演するなど幅広く活躍中。

ロングジャケット¥72,600 シャツ¥23,100 パンツ¥29,700(以上ラッド ミュージシャン/ラッド ミュージシャン 原宿 TEL:03・3470・6760) シューズはスタイリスト私物

ななみ・ひろき 茨城県出身。宝塚歌劇団で男役スターとして活躍。2019年の退団後は俳優、声優、歌手として活動中。最近の出演作に、舞台『フランケンシュタイン ‐cry for the moon‐』。4月スタートの自然教育アニメ『インセクトランド』(NHK Eテレ)ではテオの声を担当。

ジャケット¥64,900 シャツ¥25,300 パンツ¥29,700 シューズ¥64,900(以上ラッド ミュージシャン/ラッド ミュージシャン 原宿) ネックレス¥4,400(エルエイチエムイー/シアン PR TEL:03・6662・5525) リング¥38,500(ライオンハート/シアン PR)

※『anan』2022年4月6日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・藤長祥平 ヘア&メイク・野澤文愛(和田さん) 塩田勝樹(Sui/七海さん) 取材、文・尹 秀姫(和田さん) 構成、文・望月リサ

(by anan編集部)

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