――4歳で芸能界入りとずいぶん早いですが、どうして興味を持ったんですか?
当時はまだブラウン管テレビだったんですけど、あの四角い箱の中がどうなっているか知りたくて。ゲームのプレイ動画が流れているCMを見て「あの中に入ったらゲームができるんだ!」と思ってました(笑)。それで、母に事務所に書類を出してもらったんですけど、小中学生の頃はオーディションに落ちまくって、出演経験はゼロに近いです。
――オーディションに落ちるたびにショックを受けたのでは?
最初はそうだったと思うんですけど、だんだん何も感じなくなって、自分が落ちても「同じ事務所の子が受かればいいや」って思うようになっていました。演技レッスンも週末の習い事感覚でしたね。
――やめようとは思わなかった?
やめられなかったです。ずっと続けてきて、親に金銭的な負担もかけてきたので、やめようにもやめられないなって。でも、習字もプールもそろばんも英会話も、全部途中でほっぽり出したのに、演技レッスンだけは続けられたのは、楽しかったんだと思います。褒められることは、年1回あるかないかでしたけどね。本当によく怒られていました。1回やってダメ出しされて、またやってもダメで、「他の子たちの芝居を見ていなさい」って言われたり。
――習い事感覚から変わったタイミングはいつだったんですか?
今はもうないんですけど、所属しているアミューズでは当時、中学生以下は全員“アミューズキッズ”という部門の所属で、高校生になると大人チームに交ざる仕組みで。そこに入るには社内オーディションを受けないといけなかったんです。お芝居、ダンス、自己PRをして、「この子を見ていきたい」と思ったマネージャーさんがいたら手を挙げるみたいな。僕は絶対に落ちると思っていたんですけど、なぜか大人チームに上がれて、それからは本気でやらなきゃって意識が変わりました。あの時に手を挙げてくれたマネージャーさんには、相当手を焼かせてしまったと思います。芸歴だけ長くて、経験はまったくと言っていいほどなかったので。
――映画『町田くんの世界』は、大きな転機になったのでは?
そうですね。池松壮亮さんと言い合うシーンで、なぜかものすごく高揚して、ずっとニヤニヤしちゃったんです。「お芝居ってこんなに楽しいんだ」と思えた瞬間だったんですが、あの時は何が起きたのか全然わからなくて…。今となってはありとあらゆるものが噛み合った奇跡というしかないんですけど、あの感覚をまた味わいたくて、俳優を続けているところがあります。石井(裕也)監督から「死ぬ気でやれ」と言われて、どの現場でも同じ熱量、ベクトルで臨んではいるつもりなんですけど、ちゃんと100%でやれているのか、いつも町田くんにナイフを心に突きつけられているようで、不安になることもあるんです。そのくらい、あの現場での体験は強く残っていますし、絶対に忘れちゃいけないなって。
土曜ナイトドラマ『もしも、イケメンだけの高校があったら』は、個性豊かな高校生たちが、全国選抜高等学校イケメン大会制覇を目指す学園コメディ。細田さんは、朴訥な高校1年生の主人公・龍馬を演じている。現在、テレビ朝日系にて毎週土曜23:00~放送中。TELASAでは最新話までの全話配信中で、スピンオフドラマも独占配信。
ほそだ・かなた 2001年12月12日生まれ、東京都出身。4歳から活動をスタート。’19年、映画『町田くんの世界』の主役に抜擢される。同作品で、第29回日本映画批評家大賞新人男優賞を受賞。’21年には、映画『花束みたいな恋をした』『子供はわかってあげない』ほかドラマにも多数出演。映画『女子高生に殺されたい』が4月1日より全国公開される。
カーディガン¥27,500(ラッピンノット) シャツ¥27,500(キクス ドキュメント.) パンツ¥29,700(コノロジカ) 以上HEMT PR TEL:03・6721・0882 シューズ¥50,600(サイ/マスターピースショールーム TEL:03・5414・3531) ソックスはスタイリスト私物
※『anan』2022年3月2日号より。写真・来家祐介(aosora) スタイリスト・矢島世羅 ヘア&メイク・津上淳子 インタビュー、文・小泉咲子
(by anan編集部)