意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「外国人住民投票権」です。

外国人と共生する時代に、考えねばならない課題。

Entame

昨年12月、東京都武蔵野市議会で、外国人に住民投票権を与える条例案が否決されました。市内に3か月以上住む18歳以上の人には、国籍を問わず投票権を認めるというもので、そこには留学生や技能実習生も含まれていました。しかし、3か月だけ住んだ外国人に、日本人と同じ権利を持たせるというのは少し無理があり、せめてもう少し期間が必要だろうと思います。

ちょうど同じころ、アメリカ・ニューヨーク市議会では、外国籍の住民に地方選挙の投票権を与える条例案を可決。こちらは、「永住権を持つ人」「就労許可を得ている外国人」が対象でした。アメリカの主要都市では初めての試みで、世界中が注目しました。これにより、市の人口約880万人のうち新たに80~100万人の外国人が投票する権利を得ることになります。

日本では2006年に神奈川県逗子市、’09年に大阪府豊中市で、外国人にも日本人と同様の住民投票権を認める条例が施行されました。ただ、これまでに住民投票は一度も行われていません。外国人への住民投票権付与に反対する主な理由に、その地域に外国人が集中し、行政をコントロールしようとするのではないかと危険視する声があります。しかし、いまのところ両市とも、外国人住民は急増してはいません。

外国籍住民が最も多い政令指定都市は大阪市で、住民の5%にあたる約14万6000人。2年前の大阪都構想の住民投票でも、外国籍の方はこの決定に参加することができませんでした。少子高齢化が深刻な日本では、これから外国人労働者はますます必要になりますから、外国人の政治参加についての議論は各地で行われていくでしょう。また、もう一つ大きな課題として、在日コリアンの参政権問題もあります。日本で生まれ育ちながら、票を投じる権利を持たない人が大勢います。

外国人と一括りにすると、疑心暗鬼になるかもしれませんが、同じマンションや商店街の顔見知りの「○○さん」なら、暮らしに関わる決定事項に意見を言うことも自然に受け入れられます。外国人と共生するには、まず地域で交流することが大切なのかもしれません。

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堀 潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。

※『anan』2022年2月16日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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