意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「公共性」です。
衝突や分断を避け、みんなの自由や権利を守るために
今、個人の自由や権利よりも、会社や家族、所属するコミュニティなど、共同体を優先する「共同体主義」が進みすぎて、「パブリック(公共性)」について改めて議論が必要ではないかと言われています。例えば、自由主義なのか権威主義なのか、右派か左派かなど、そのコミュニティの理念に沿わないと排除されてしまったり、違うコミュニティ同士が潰し合ってしまうなどの問題があちこちで起きています。
その顕著な例がイラン戦争です。イラン的なコミュニティの価値観と、アメリカ・イスラエル的なコミュニティの価値観の衝突が争いを引き起こしてしまった。地球を大きな「公共空間」と捉えたら、本来ならばどの国のどのような価値観も存在していいはずです。それが守られるのが「公共性」です。
日本国憲法には、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とすると書かれています。「公共の福祉」とは、誰かが決めるものではなく、お互いの権利を尊重するための公平な調整機能のこと。公共性を保つためには、みんなが責任を持って、不断の努力をしなければなりません。なぜなら、社会の変化のスピードが激しい昨今、共通の普遍的価値を見出すことは難しく、誰かの権利が脅かされたり、不公平にならないようにするためには、常に対話し続けないと対処できないからです。
2012年の自民党の憲法改正草案では、「公共の福祉」は「公益及び公の秩序」という言葉に置き換わっています。これは日本全体を一つの共同体と捉え、「国民はこうすべき」というルールで縛ることになります。誰がその秩序を作るのかという問題にもなりますし、民主的とは言えなくなるので、改憲には丁寧な議論が必要でしょう。
「公共性」とは「分断」と対極にある概念です。多様な価値観が生まれている中、それぞれを尊重するためには、「こうでなくてはいけない」というような潔癖症的な考えを手放すことも大事です。0か100か、自分の価値観で相手をねじ伏せるのではなく、互いが許容できる道を諦めずに対話を重ねながら見つけていけたらと思います。
五月女ケイ子解読員から一言

価値観を認めあえる「みんな違ってみんないい」世界を作るには、誰かが1人声高に権利を主張するのではなく「みんなが同じ」成熟度でなだらかに譲りあうのが大事。超スマートに公共性を保てたら世界は平和になります。精神年齢上げていきたいです。
解説員
Profile
堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。著書『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
Profile
五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。
anan 2491号(2026年4月8日発売)より

















