うまく話すことよりも相手に好奇心を持つ意識で。
日々のコミュニケーションを通じて、自分の会話に苦手意識を持っている人も多いのでは。
「最も重要なのは、不得意だと自分にレッテルを貼らないこと」と教えてくれたのは、コラムニストのひきたよしあきさん。
「会話のプロであっても、上手に話せたと実感できるのは100回に1回だったりします。うまく話そうとばかり考えずに、話し相手の好きなところやよいと思えるところを、なんでもいいので1つ見つけましょう。相手に好奇心を持つことが、いい会話の第一歩です」
そこで、まずはスムーズな会話をする上で求められる“3つの力”をレクチャー。
スキル1:聞き上手をめざして!
“リアクション力”
「あなたの話、聞いてますよ」が伝わるリアクションを。
会話をする上で重視すべきは「しゃべり上手よりも、聞き上手であること」と、ひきたさん。
「人間は、自分のことをしゃべりたい生き物。“なんか今日は自分のことをうまく話せたなぁ”と思ってもらえたら、その会話はいい会話だったと言えるはず。“あなたの話、ちゃんと聞いてるよ”と伝えるため、リアクションのバリエーションを増やして、安心して話してもらいましょう。大げさなあいづちで声を出すのが恥ずかしい人は、大きく頷くだけでも◎」
◎会話例
・なるほど、確かにねぇ~。
・うん、うん、ほお~、そうなんだ!
・わぁ、面白いね! それでそれで?
スキル2:一歩踏み込んで聞き出す。
“インタビュー力”
主体はあくまで“あなた”。たくさん話を聞き出そう。
とはいえリアクションを返すばかりでは、会話にならない。
「会話とは、相手の情報を引き出した上で、私はこう思うんですけど、と深めていくもの。最初から自分の話をしていては空回りするばかりで、聞いてもらえません。“あなた”を主体にすることで、さらに深く聞き出しましょう。会話を始めてしばらくは『あなたはどう思う?』と尋ねる気持ちで、一歩踏み込んだ情報を聞き出していけば、自然と『あなたはどうなの?』と聞いてくれるはず」
◎会話例
昨日、明け方まで映画観ちゃってさー。
明け方まで!? どんな映画?
船が沈没するパニック系(笑)。
パニック系! そういう映画よく観るの?
うん。好きなんだ。最近なんか面白いの、観た?
スキル3:相手と衝突せずに、主導権を握る。
“会話のペースを作る力”
司会進行になってしまえば、自分の話が聞いてもらいやすく!
“それで、あなたはどう思う?”そんなふうに聞かれたら、自分のことや思いを伝える大チャンス。
「“賛成”“反対”に分かれやすいのが現代のコミュニケーションの特徴。だからこそ、いざ自分が話す時には、会話のペースを掴んで進行する側に回ってしまえば、話をぐっと聞いてもらいやすい。これまでの会話をまとめたり、考えられる反対意見を挙げた上で、主語を“私は”に切り替えて話すと、印象がやわらいで受け入れてもらいやすくなります」
◎会話例
・つまり、今日は疲れてるんだね。じゃあ遠出するのは土曜日にしようか。
・ってことは、海に行きたいんだね。それもいいけど、私は山に行きたいなぁ。
・わかる! 今日寒いしめっちゃラーメン食べたい! でも、実は昼もラーメンだったから別のものがいいなぁ。どう思う?
ひきたよしあきさん コラムニスト、コミュニケーションコンサルタント。博報堂勤務時代には数々のCMを手がけ、現在は講師としても活躍中。『「スルーされない人」の言葉力』(大和出版)など、著書多数。
※『anan』2021年10月6日号より。イラスト・oyumi
(by anan編集部)