――まさに、シンデレラストーリーですね。そもそも“国民的美少女コンテスト”に出るきっかけはどんなことでしたか?
髙橋:当時通っていたダンススクールの先生から勧められたんですが、それがなんとコンテストの締め切り当日だったので、悩む暇なく母ととりあえずネット応募するかってことになって。実は私は写真写りが悪くて、家族揃って写真が苦手でもあったので、添付するいい写真がなくて。慌てて母と喧嘩しながら撮ったのを覚えています。髪もボサボサのまま…あの写真がもし世に出てしまったら私は終わっちゃう!(笑)
――意外でした(笑)。芸能人になりたいわけでもなかったんですね。
髙橋:小学生の頃はAKB48の“神7”とK-POPではKARAが大人気で、アイドルになりたいと思ったこともありました。その一方で私にはムリだなって思っていました。そのうち“丸の内OL”の存在を知り、働く女性ってかっこいい! と思うようになったんです。だから“丸の内OL”になるのが夢でした。
――グランプリを獲ったことで、人生が大きく変わりましたね。
髙橋:でもまさかグランプリを獲れるなんて、私も両親も思っていなかったし、最終審査で東京の会場に行くことになった時も、思い出づくりのための家族旅行感覚でした。発表の前日には、ディズニーランドに行ったりもして(笑)。それに当日は、エントリーされた周りの人たちは背も高くてきれいなお姉さんばかりで、私は一番幼かったし、質疑応答で失敗したかと思えば、歩き方は緊張しすぎてペンギンみたいで…。だから最後にグランプリで名前を呼ばれた時は、頭が真っ白。呆然としながら手を引かれて促されるままに前に出て、事務所の先輩の上戸彩さんと並んで写真を撮りました。滋賀に帰るといつもはクールなお姉ちゃんが泣いて喜んでくれたり、周りの人の反応や貰ったトロフィーを見てようやく「あ、私グランプリになったんだ」って実感して。
――当初の目標は?
髙橋:最初から女優になりたい! とこの世界に入ったわけじゃなかったけど、目標や方向性を聞かれた時に、先輩の剛力彩芽さんみたいになりたくて「歌って踊れて演技もできる、マルチに活躍できる女優になりたい」って言ったんです。でも本当はそこまで自信がなくて、目の前のことにその時の全力で挑むことぐらいしかできなかったんですよね。今思えば、最初の頃は全然自分を出せていなかった。「髙橋ひかるって生徒会長とか図書委員みたいなイメージだよね」って言われることが多かったんですが本当にその通りで、静かでおとなしい普通の子って感じでした。
――その後、映画やドラマなど数々の話題作に出演したり、最近はバラエティ番組での飾らないトークが注目されるように! 何か転機があったのでしょうか。
髙橋:出演作を重ねるごとに、少しずつ余裕が出てきて、お芝居の魅力を感じはじめていたところで、石原さとみさん主演のドラマ『高嶺の花』でクセの強いコスプレ少女の秋保役をいただきました。でも、監督が思い描く秋保をうまく自分の中に落とし込めなくて、監督から「違う!」とはっきり何度も言われて、ある日、めちゃくちゃ号泣したんです。できない自分に悔しくて、恥ずかしくて…。そこで監督が「役づくりというのは根を張るためのバックグラウンドを育てて、芽を出して枝葉をつけて、ようやく花が咲くようなものなんだよ」と教えてくれました。お芝居の経験がない私をただ突き放すのではなく、そんなふうに厳しいながらも寄り添ってくださったことが大きな経験となった。その監督とは今でも年賀状をやりとりさせてもらっているんですが、すごく感謝しています。
――ドラマ『俺のスカート、どこ行った?』(以下俺スカ)は、そのあとでしたっけ? クセの強い作品が続きましたね。
髙橋:(スマホを手に)はい、俺スカは…そのあとですね。
――今もしかして、ご自身のWikipediaを見てます?
髙橋:そうです、あははは!(笑)
――面白いですね(笑)。
髙橋:俺スカの現場は同世代の役者も多くて、本当に学校に通っているみたいで毎日ワクワクしていました。それに、切磋琢磨し合いながら成長できたし、刺激をたくさんもらったと思う。同じ空気感や目標を持ってひとつの作品を作る仲間がいるんだって嬉しくて。そんな中で主演の古田新太さんはめちゃくちゃ素敵な方で、毎回違うお芝居を見せてくれたことも衝撃的でした。お芝居ってこんなに自由でいいんだ! ということを古田さんからも学んだし、楽しさも見つけることができた。私、自分で地道に経験しながらじゃないと成長できないタイプなのかもしれません。転機になった作品といえば、その2つは本当に大きかったと思います。
11歳で母と死別した夏美は、21歳で財閥の分家の三男・冬吾と見合いをするが、冬吾の母・聖美が気に入ったのは妹の春だった…。主演ドラマ『春の呪い』は毎週土曜23:25~テレビ東京系にて放送中。原作/『春の呪い』小西明日翔(ZERO-SUMコミックス/一迅社刊) 出演/髙橋ひかる、工藤阿須加、桜田ひよりほか。
たかはし・ひかる 2001年9月22日生まれ、滋賀県出身。‘16年に公開の映画『人生の約束』で女優デビューすると、ドラマ『高嶺の花』『俺のスカート、どこ行った?』『レッドアイズ 監視捜査班』など数々の話題作に出演。昨年、YouTubeチャンネル「たかしの部屋」開設。ラジオ『髙橋ひかるHighway Runway』(JFN)が毎週木曜日20:30~放送中。
タックギャザードレス¥20,350(エパ/ロードス TEL:03・6416・1995) イヤリング¥3,850(マチルダローズ)http://www.matildarose-online.com シューズ¥7,590(ランダ TEL:06・6451・1248)
※『anan』2021年6月9日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・宇田川彩子 ヘア&メイク・CHIHIRO(TRON) インタビュー、文・若山あや
(by anan編集部)