村上春樹作品の装画も…「安西水丸」展、多くの人に愛されたイラストレーション

エンタメ
2021.05.18
本の挿絵や装丁、さらに小説やエッセイの執筆など幅広い分野で活躍したイラストレーター・安西水丸さん。多くの人に愛されるイラストレーションの世界が体感できる、遊び心いっぱいの展覧会『イラストレーター 安西水丸展』

新型コロナウイルス感染症拡大防止に向け、令和3年4月25日(日)~5月31日(月)の期間、臨時休館(全施設)
開催状況については、公式ホームページをご確認ください。

果物や貝殻、スノードーム、それにウイスキーのボトル。安西さんが描いた数多くのモチーフは、心がふっと緩むような懐かしさをまとう。

「生活の中で愛用していたり、コレクションしていたりするお気に入りを描いているんですね。身の回りのものをモチーフとして使う自然体なところが、心地よさとして伝わってくるのではないでしょうか」

と世田谷文学館学芸員の宮崎京子さん。「シンプルな線に味わいがある。観ていて飽きないし、もっと他のものも観たくなる、知りたくなる絵なのかもしれません」

本展では初公開となる作品をはじめ、少年時代からの約600点にのぼる原画や資料が展示される。

「展示室の壁にスノードームなどの特大モチーフが描かれていたり、顔はめパネルがあったり、イラストレーションの世界に入り込んでしまったような空間になっています」

全コーナー、写真撮影OKだから、思い思いの楽しみ方ができそう。

また嵐山光三郎、村上春樹、和田誠、3人の作家との仕事に注目した展示も見どころ。なかでも’80年代初めから安西さんが亡くなるまで、数多くの挿絵、装画を手掛けた村上氏とのタッグは伝説的。偶然、ウイスキーの「カティーサーク」を題材に各々詩と絵を描いていたエピソードもあるというから驚きだ。観覧後はTシャツやマグカップなどオリジナルグッズの販売もお見逃しなく。

印象深い装丁の数々。

水平線をバックに、洋梨をのせたプレートが浮かんでいるようにも。春樹ファンにとって、安西さんの装画と村上作品は切っても切れない関係が。

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村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』装丁 中央公論社 1983年

フレンドシップ&ワークス。

憧れの先輩イラストレーター・和田誠さんとの共作には微笑ましい空気感が。最初に和田さんがリンゴの断面を描き、返歌として安西さんが皮付きを描いたそう。

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《APPLE》2001年 和田誠共作 illustrated by Mizumaru Anzai ©Masumi Kishida ©Wada Makoto

一本の水平線に込めた少年の日の思い出。

自ら「ホリゾン」と呼んだ横線は、少年時代を過ごした千葉県・千倉の海が原点に。「紙にホリゾンを引くときは千倉の水平線が目に浮かぶのです」(安西さん)

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「カティーサーク自身のための広告」村上春樹共著『象工場のハッピーエンド』illustrated by Mizumaru Anzai ©Masumi Kishida

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illustrated by Mizumaru Anzai ©Masumi Kishida

『イラストレーター 安西水丸展』 世田谷文学館 2F展示室 東京都世田谷区南烏山1‐10‐10 TEL:03・5374・9111
新型コロナウイルス感染症拡大防止に向け、令和3年4月25日(日)~5月31日(月)の期間、臨時休館(全施設)
開催状況については、公式ホームページをご確認ください。

あんざい・みずまる(1942‐2014) 東京都出身。広告代理店、出版社勤務を経てイラストレーターに。

※『anan』2021年5月19日号より。取材、文・松本あかね

(by anan編集部)

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