髪と頭皮のトレーニングこそ、ツヤ美髪への道。
毛髪は東洋医学の世界では「血余」と呼ばれ、体の隅々まで血(栄養)を巡らせた“残り”の意。つまり、最後に栄養が行き渡る毛髪が美しい人こそ、体も心も健康であるということ。
「肌同様、日頃の生活習慣が出やすい髪や頭皮。コロナ禍で外出する機会が減り、毎日は洗髪しない人も増えているようですが、若い時は特に代謝がいいので皮脂分泌も盛んで汗もかく。また、少しの外出でも花粉やPM2.5などの大気汚染物質が付着してしまうので、そのまま洗い流さずに寝るなんてもってのほかです! 運動不足を含め、その悪習慣で髪が育たず、抜け毛や切れ毛の原因に。また、健康な頭皮を目指すには全身の巡りを良くすることが不可欠。さらに、一見関係ないように思えてとても重要なのが子宮。髪は女性ホルモンと密接に関わっています。できれば基礎体温を測る習慣をつけましょう。自分の体を知り、興味を持つことですべてが繋がっていると実感し、髪への意識も変わるはずです」(毛髪診断士・余慶尚美さん)
“髪トレ”は補修=傷んだ状態をケアする受け身の対策ではなく、多方面からのアグレッシブなアプローチで、これから生えてくる髪や、髪を育む大地である頭皮を健やかにしていく考え方で、すでに美容賢者は実践中。
「オンライン会議が増えたり外出を控えるなど小さなストレスが溜まり、この一年で頭皮が重く感じたり抜け毛が増えたのを実感。ツールやオイルなどを用いて毎日頭皮クレンジングをするようになってからは、炎症やかゆみがおさまり抜け毛も減少。また、タンパク質や亜鉛、ビオチンやビタミンDなどを摂取し、積極的なインナーケアも心がけています」(美容ジャーナリスト・鵜飼香子さん)
毎日の洗髪で、髪トレをルーティン化すれば、自分史上最高に愛でたくなる髪に!
頭皮と髪を洗うシャンプーで美髪のベースづくりを。
余慶さんも鵜飼さんも長年大事にしている、入浴前のブラッシングからスタート。シャンプーは、ただ頭皮と髪の汚れを洗い落とすだけでなく、マッサージ効果で顔のむくみ解消や血色UPが期待できる。ぬるめのお湯で優しく丁寧に洗えばリラックス効果も。すすぎ残しはかゆみやフケ、ニオイのモトになりやすいので入念に洗って。
1 まずは入浴前のブラッシングで毛穴の汚れを浮かせる。
頭皮から毛先まで、気持ちいいと感じる力加減でブラッシングを。頭皮の毛穴に詰まった汚れやすでに抜けている髪をからめとるのはもちろん、適度な刺激を与えるマッサージ効果で血行が良くなり、顔色もパッと明るく。最重要のファーストステップと心得て。
2 シャンプー前に頭皮全体にお湯を当てて約1分予洗いを。
髪の根元や頭皮全体にしっかりお湯が行き渡るよう、分け目を変えるように髪をかき分けながらシャワーを当てて。予洗いをすることで水分が頭皮と髪にたっぷり浸透するので、少量のシャンプーでしっかりと泡立ち、つけすぎによる洗い残しも防げる。
3 爪を立てないように指の腹で優しくシャンプーを泡立てる。
シャンプーを適量手にとったら髪の根元にしっかり塗布し、指の腹で頭皮を動かすようにもみ込んでマッサージを。爪を立ててしまうと頭皮が傷ついたり、摩擦の原因になってしまうので要注意。忘れがちな耳まわりも洗えばツボが刺激されてデトックス効果も。
4 髪のこすり洗いは絶対NG! 泡と手のひらで包み込んで。
無意識に髪同士をこすり合わせて泡立てている人が意外と多いけれど、髪は摩擦にとても弱いので絶対にやめましょう。髪の表面ではなく、根元でしっかり泡立てることを意識し、空気を含ませるようにシャンプーの泡で優しく包み込むように洗って。
余慶尚美さん 毛髪診断士、和漢美容家。自身が重い体調不良に悩んだ経験から、心と体の両面をケアする“巡り”に着目。『髪トレ』(主婦の友社)、プロデュース製品「YAETSUBAKI mamuin」が発売中。
鵜飼香子さん 美容誌編集者を経て、美容ジャーナリストとして活躍中。ブラシは用途別に多数保有し、毎日の頭皮クレンジング、インナーケアも欠かさない。丁寧で柔和な人柄に業界内でもファンが多い。
※『anan』2021年4月28日号より。イラスト・加納徳博 取材、文・小林瑞季
(by anan編集部)