制限のある中で、自然と背中を押したい気持ちになった。
「毎年100本切ることなくライブをやっていたのがコロナで急になくなって、初めて自分の音源を振り返ることで冷静になれたのは良いことでしたね。でも、メンバーにも会えなくなって落ち込んで、家で曲を作ってお酒を飲むということを繰り返してて、すごく寂しかったです(笑)。その中で、シングルに向けて立て直していきました」
リード曲の「白春夢」は、淡々とした日常描写から、一気にサビで突き抜ける曲調がとても新鮮だ。コロナ禍で感じていたことが率直に綴られている。
「辛い気持ちも全部曲にして消化したいなと思って、久しぶりに写真を撮る感じで思ってることを描写した曲が作れたと思います。今思い返すと5月は、どこに怒ったらいいかも、どこで喜んでいいかもわからなかった。上がるも下がるも何もない、初めて味わう感覚。それに対して一番しっくりくる言葉が“夢”だったんです」
全6曲、音と言葉がシンプルに際立った楽曲が印象に残る。
「全体的に音も言葉選びも、もっと曲の主人公の気持ちやメロディが伝わるように、今までより一歩先の努力ができたと思ってます。それでいて、僕らはバッドエンドの曲を書くのも好きなんですけど、ある程度制限のある暮らしをしていく中で、自然と背中を押したい気持ちになったことも反映されているかもしれないですね」
行定勲監督のショートムービー『映画館にいく日』で有村架純さんの恋人役を演じたことも話題になった。
「行定監督には前から声をかけてもらってたんですが、時間ができたので出させていただきました。そうしたら、相手役が有村架純さんって言われて(笑)。有村さんの表情や演技を見させていただいて…人を魅了する人ってやっぱりすごいんだなって驚きました(笑)。舞台に出る立場として、すごく勉強になりましたね」
上・CD シングル『life』。ミュージックビデオが公開された「白春夢」を含む3曲を収録。¥1,100 下・配信シングル『love』。「味方」を含む3曲を収録。iTunes、レコチョク、Apple Music、Spotifyほか、各音楽配信サイトで配信中。(EMI Records)
マイ・ヘア・イズ・バッド 左から、山本大樹(Ba&Cho)、椎木知仁(Gt&Vo)、山田淳(Dr)。2008年結成。'16年、シングル『時代をあつめて』でメジャーデビュー。'21年4月にさいたまスーパーアリーナ2デイズライブを開催予定。
※『anan』2021年1月13日号より。写真・藤川正典 インタビュー、文・小松香里
(by anan編集部)