佐久間由衣、初舞台で紅一点! 「すでに頭がパンクしそうです」

2020.12.13
藤原竜也さんに柄本明さんという突出した個性と舞台経験を持つふたりに、演技派として注目を集める高杉真宙さん。そんな顔ぶれが揃った舞台『てにあまる』。

「突飛な展開もありますが、身近な物語に感じていただければ」

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「純粋に嬉しくてありがたいお話だと思ったんですけれど、同時に、とんでもないことになりそうだなというドキドキもありました」

とは、今作の紅一点、佐久間由衣さん。なんとこれが初舞台となる。

「舞台はいつか挑戦させていただきたいと思っていたのですが、なかなかご縁がない感じだったんです。それがいきなり東京芸術劇場のプレイハウスという場所で初舞台を踏めるうえ、なかなか濃い味の作品で…。大先輩の方々のなかに、新人の私が飛び込んでしまった感じです」

この日は稽古がスタートしてまだ数日のタイミング。「正直、まだすべてに戸惑っている」と苦笑する。

「みんなで声を出して読み合わせをしている段階ですけれど、すでに頭がパンクしそうです。今までの作品との向き合い方とは全然違う…使ったことのない思考回路とか、休んでいた部分を働かせている感じです」

ベンチャー企業の経営者の男(藤原)を軸に、彼が家政夫として連れてきたいわくありげな老人(柄本)、彼を信奉する部下(高杉)、彼の妻(佐久間)が絡み合い展開していく。

「いい意味で地に足がついていないというか、妄想の部分とリアルとが交じっているお話なんです。この場面は何を表しているのか、このセリフはどういう意味なのかというようなところを、いま柄本さんとキャストのみなさんで、台本のなかからひもといていきましょうっていう段階です。本読みをしながらも一回一回止めて、このセリフは何なのって話したり。私はすでにいっぱいいっぱいですが、みなさんどっしりしていながら、何色にも染まっていないようなピュアな視点から台本を読み取ったり、表現をされている。そういう姿勢が大事なんだって、学ばせていただいています」

物語は、わだかまりや誤解から、とんでもない方向へ転がっていく。

「呪いのように悪い感情が移っていく世界のなかで、私が演じる役はそこに立ち向かおうとしている役なのかなと。それがいいのか悪いのかわからないけれど、前半と後半で物語のなかでどう変わっていけるのか、そういう強さとかまっすぐさはまっとうしたいと思っています」

長身に曇りのない瞳。これまでも意志の強いまっすぐな役柄が多いが、自身は「すごく臆病」なのだとか。

「正義を振りかざせるほど勇気もなく、でも困ってる人を放ってもおけない。友達がいないところで、こっそり手を差し伸べるタイプでした」

演出も柄本さんが手がける。

「舞台だからこうやろうとか、そういったことではないもっともっとピュアなものをずっと追いかけていらっしゃる印象です。その場で生まれるものを大切に。そして自由でいいということを教えていただいています。シリアスではあるけれど、ユーモアに溢れていて、コミカルさも感じる作品です。突飛な展開もありますが、身近な物語として感じていただけるよう、楽しんでいる気持ちが伝わればいいなと思っています」

いまは未知の世界に足を踏み入れる期待と不安とが入り混じった心境。

「わかりやすい舞台ではないかもしれないです。でも、観ている方がいろいろ想像して、自分なりの物語をくっつけて観てくれたら面白い演劇体験になると思います」

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『てにあまる』 一人暮らしの老人(柄本)の家にやってきた男(藤原)。彼は老人を家に連れ帰り、ふたりは奇妙な同居生活を始める。そこに彼の部下(高杉)と妻(佐久間)がやってきて…。12月19日(土)~2021年1月9日(土) 池袋・東京芸術劇場 プレイハウス 脚本/松井周 演出/柄本明 出演/藤原竜也、高杉真宙、佐久間由衣、柄本明 S席9800円 サイドシート7000円ほか(すべて税込み) ホリプロチケットセンター TEL:03・3490・4949(月~金曜11:00~18:00) https://horipro-stage.jp/stage/teniamaru2020/ 鳥栖、大阪、愛知、三島公演あり。

さくま・ゆい 1995年3月10日生まれ。神奈川県出身。ドラマ『殺意の道程』(WOWOW)に出演中。来年1月3、4日にSPドラマ『教場II』(フジテレビ系)に出演。主演映画『君は永遠にそいつらより若い』も来年公開予定。

※『anan』2020年12月16日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)