吉澤嘉代子がエビ中「曇天」をセルフカバー 楽曲提供に込めた思いとは?

エンタメ
2020.12.01
まるで遠い星に辿り着いた恋人たちのような、儚くもロマンティックなひとときを描いたラブソング、「サービスエリア」。吉澤嘉代子さんの曲作りはいつもタイトルから決めるそうで、非日常感のあるサービスエリアを舞台にときめきのある曲を作りたかったという。

夜のサービスエリアを舞台に描く恋人たちの儚いロマン。

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「サービスエリアって行き先でも帰る場所でもない魅力的な場所ですよね。生きている中で、魔法にかかったような幸せな時間って何回かあると思うんですけど。恋人と辿り着いた夜のサービスエリアで、今なら世界が終わってもいいと瞬間的に思うような曲を書きたかったんです」

最高に幸せ、と感じている一方で、それが永遠に続くわけじゃないとどこかで分かっているから“滅びのキスでこの世の息を止めて”なんてフレーズが差し込まれている。彼女が生み出す音楽はいつも文学的で、その物語にどっぷり浸れるのがリスナーの醍醐味。

「昔からごはんを食べるときにも本を読んでいて怒られたりするほど小説をたくさん読んでいたんです。同時に、日常生活の中でも浸りグセがあって(笑)。例えば古い建物に社会科見学に行くと、歩きながらそこで働いていた人の気持ちになっていたり。自分ではない別の誰か、別の物語の登場人物になることに憧れがあったんです。それが今、音楽を通して表現できているのかも」

生身の自分が大声で歌うなんて本当は恥ずかしいと言う。だからこそ曲の物語の主人公になれたら思い切り自由になれる。今作のカップリング曲「曇天」は私立恵比寿中学に提供した作品のセルフカバー。楽曲提供の際は「やっぱり、そのほうが一番興味を持っていること、夢中になって歌えるような内容で書きたいなと思うから」と、なるべく歌い手に寄り添って制作をする。

「『曇天』ではちょっと大人なエビ中を書きたかったので、ファンの方が聴いたらヒリヒリと胸を痛めるくらいの内容だったかもしれません。今回、自分が歌うのであれば、もっと主人公を曇天の向こうに導けるような優しさを込めてセルフカバーしたいなと思って歌いました」

今年はレコード会社の移籍と30歳を迎えた新たな節目でもあり、ときめきを追求し続ける吉澤さんの音楽制作は今後も更に充実したものになりそうだ。

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『サービスエリア』。表題曲はムードたっぷりの生楽器と打ち込みのシンセが織りなす、夜のドライブが似合うサウンド。【初回限定盤(CD+DVD)】¥2,500 【通常盤(CD)】¥1,200(ビクターエンタテインメント)

よしざわ・かよこ 1990年、埼玉県生まれ。2014年にデビューし、ドラマ『架空OL日記』の主題歌「月曜日戦争」を書き下ろす。他アーティストへの楽曲提供や歌唱参加も多数。

※『anan』2020年12月2日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・上野三樹

(by anan編集部)

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