ベテラン俳優がホームレスに? シリアスと喜劇が共存する舞台とは

2020.2.25
共に劇団東京乾電池に所属し、付き合いは40年以上。そんな綾田俊樹さんとベンガルさんによるユニットが綾ベン企画。今回の『川のほとりで3賢人』では、ゲストに広岡由里子さんを迎え、多摩川河川敷に暮らすホームレスと謎の女との、切なくもおかしな物語を繰り広げる。
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ベンガル:もともとは、劇団主宰の柄本(明)が難しい芝居ばっかりやりたがるから、じゃあ僕と綾田で違う芝居をやろうと20年くらい前に始めたのが、このユニットなんだよね。

綾田:僕らは馬鹿馬鹿しい芝居をしようってことで。

ベンガル:ただ、ここしばらくユニットの活動をしてなかったんだけど、周りからの要望が大きくて。そしたら映画監督の平山(秀幸)さんが「俺が演出やるよ」って言ってくださったんですよ。

綾田:平山さん自身、演劇が好きで東京乾電池の舞台もすごく昔から観てくれているんだよね。

ベンガル:うん。綾ベン企画も観てくれてたし。僕、平山監督の映画の長回しの撮影が好きで。やる側にしたら、すごい緊張感なんだけど。

綾田:しかも平山さんって、あまり細かい指示は出さずに、役者のやる芝居を大事にしてくださるんだよね。そういう人だから、僕らの芝居をちゃんと見てくださるだろうと思って、今回の演出をお願いしました。

ベンガル:脚本を書いているのもうちの劇団員なんですが、それも平山監督の案。彼のやってる劇団の芝居を観て「書いてもらおう」って。

綾田:結構面白いと思うよ。僕は前からホームレスの人たちのドキュメンタリーとかも見たりするくらい興味がある題材だったし。

ベンガル:今回、こういう題材をやるってなって、みんなで多摩川の河川敷に行って話を聞いたりもしたんだけど、緊張感ありましたね。

綾田:最初は話してくれるか心配したけど、結構してくれたよね。

ベンガル:でも、シリアスな状況ほど何か笑いがこみ上げてくることってあるでしょ。そういう得体の知れない怖さも含めて、深刻なのに面白おかしいものになったらいいかなと。あと注目してほしいのは客演の広岡。うちの劇団の元最優等生。

綾田:なかなか根性据わってる面白い女優。

ベンガル:ここに入ったら絶対に面白くなるよ。だって、アイツ変だから(笑)。

綾田:この舞台が、世の中にこんな人たちもいるんだっていう視野を広げるきっかけになればと思ってます。あと、イケメンが出てない芝居も楽しいし、カッコ悪いオッサンも面白いですよ、ってことですかね。

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『川のほとりで3賢人』 多摩川の河川敷に住むふたりのホームレス(綾田、ベンガル)の元に、額に絆創膏を貼った福祉課の馬場マチコ(広岡)が訪ねてきた。その日から、徐々にふたりの生活が乱されていき…。2月21日(金)~3月1日(日) 下北沢 駅前劇場 作/てっかんマスター 演出/平山秀幸 出演/綾田俊樹、ベンガル、広岡由里子 全席指定4500円(税込み)ほか サンライズプロモーション東京 TEL:0570・00・3337(月~金曜12:00~18:00)

あやた・としき(写真・左) 1950年生まれ。奈良県出身。自由劇場を経て、’76年に柄本明らと劇団東京乾電池を結成。俳優の傍ら、舞台の演出も手がけている。近作に映画『閉鎖病棟』、ドラマ『トップナイフ』などがある。

ベンガル(写真・右) 1951年生まれ。東京都出身。自由劇場を経て、’76年に柄本明らと劇団東京乾電池を結成。ドラマ『あぶない刑事』などで知られ、近作にはドラマ『3年A組』など。2月28日には出演映画『初恋』が公開。

※『anan』2020年2月26日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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