「私、今までアイドルに夢中になったことが一度もないんです。たとえば思春期の頃も、まわりの女の子たちが好きなタレントの話題で盛り上がっているなか、自分はアニメの話ばかりしていて(笑)。生身の人間よりも二次元のキャラクターに惹かれてしまうんです」
まっすぐな瞳で、みずからのアニメ愛を語ってくれた山本美月さん。はじめて二次元の相手に恋したのは小学6年生の時。
「『鋼の錬金術師』のアニメを見て、声優の朴ロ(※)美さん演じる主人公のエドワード・エルリックが大好きになりました。物心ついた時から漫画とアニメは常に身近にあったのですが、自分がオタクだと自覚したのはその頃のことなのかもしれないです」
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もっとも熱狂していたのは中学時代。友達と一緒に地元の福岡で開かれる同人誌即売イベントにもよく足を運んでいたそう。さらに“好き”が高じて、みずから創作活動を試みるようにも。
「ドリーム小説といって、登場人物の名前を自由に変換できる二次創作の小説を書いたり、漫画も描いていました。ジャンルとしては怪盗モノとか、悪魔と天使が戦うファンタジーみたいなお話が多かったです。“漫画家になりたい”と思った時期もあったのですが、さすがに母に止められて(笑)。でも絵は大好きなので、今も空いた時間にイラストを描いています」
その腕前はかなりハイレベルで、自身のSNSのハッシュタグ「#近々の美月」にて公開中。
「みなさんに作品を見てもらえるのは嬉しいです。ただ、SNSでは自分の好きなアニメーターさんとも繋がっていたりするので、プロの方たちに見られていると思うとドキドキしますね。すごく恐れ多いのですが、絵もコスプレと同じで自己満足だと思っているので、これからも続けていきたいです」
好きなアニメの基準を尋ねてみると、「まずはストーリーがしっかりしていること。それから、やっぱり作画の美しさですね」と彼女らしい答えが。凝った作画に出合った時は、手掛けたアニメーターや監督の名前をすかさずチェックするのだとか。ここまで夢中になれる、いちばんの原動力とは?
「アニメが“新しい感覚”をくれるからかもしれないです。その視点はなかった! というような。たとえば最近だと、幾原邦彦監督の『さらざんまい』を見た時もそう感じました。“こういう描き方するの?”とか“今ここでこのキャラ死ぬんだ”みたいな、いい意味で予想を裏切られる瞬間の感動は大きいですね。もちろん『プリキュア』や『アイカツ!』のように、王道のルールがある作品にも安定の面白さがあるのですが」
ちなみに、“アイドルよりも二次元のキャラが好き”なのにも、山本さん独自の理由があるそう。
「だってキャラクターは絶対に裏切らないじゃないですか。自分だけのものでいてほしいんです、私(笑)。二次元なら画面で見られる相手の姿がすべて。だからこそ永遠に追いかけていられるんです」
最後に「自分がオタクでよかったと思うことは?」と質問すると、「気づいたらずっとこうなので、よくわからないですね」という、なんとも率直な答えが。
「『CanCam』の専属モデルだった最初の頃は、アニメ好きなことを公表していなかったのですが、今はファッション誌でアニメを題材にしたコスプレとイラストの連載をやらせてもらったり、自分の“好き”を仕事に生かせていることが嬉しいです。なりたい自分像は人それぞれだと思いますが、私はアニメが好きな自分でいたいし、おしゃれが好きな人たちにもこの楽しさを知ってもらいたい。そんなふうに、“ファッションとオタクの懸け橋”に自分がなれたらいいなと思っています」
山本さんが熱狂するモノ
ライトノベル:『Re:ゼロから始める異世界生活』
長月達平 KADOKAWA
コスプレするほどキャラが好き!
死して時間を巻き戻す「死に戻り」の能力を手にした高校生ナツキ・スバルの数奇な運命を描く。「ボストンへ短期留学中、ハロウィンに鬼化したレムのコスプレをしました(笑)」
マンガ:新装版『魔探偵ロキ』
木下さくら 全7巻 マッグガーデン
少年探偵・ロキの活躍を描く推理ファンタジー。
人間界に追放された北欧神話の邪神ロキが、神界へ戻るために少年探偵となり、人間に取り憑いた魔を落としていく。「この作品の影響で、探偵モノのショートショートを書いてました」
イラストを描くこと:『#近々の美月』
撮影現場や旅行にもiPadは必ず持参。
山本さんの直筆イラスト。近況や演じている役のイメージ画などを「#近々の美月」のハッシュタグをつけて自身のSNS 上に公開中。「iPadにアップルペンシルを使って描いています」
やまもと みづき 1991年7月18日生まれ、福岡県出身。女優、モデル。主演ドラマ『ランチ合コン探偵~恋とグルメと謎解きと~』(日本テレビ系)が来年1月9日(木)よりスタート。雑誌『SPRiNG』(宝島社)にて、「山本美月とアニメのはなし」連載中。自身がチョイスしたアニメ作品のコスプレと直筆のイラストも披露している。ワンピース¥42,000(シー/エスストア TEL:03・6432・2358) ピアス¥40,000 左リング¥16,000 右リング¥9,000(以上イディアライト/ジェリー&コー TEL:03・5773・5070) 靴¥45,000(ビューティフル・シューズ/ギャラリー・オブ・オーセンティック TEL:03・5808・7515) ソックスはスタイリスト私物
(※)ロの字は王へんに路
※『anan』2019年12月18日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・武政 ヘア&メイク・北 一騎 取材、文・瀬尾麻美
(by anan編集部)