岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「耳がいい」です。
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「耳がいい」は、いろんな解釈ができると思います。単純に、遠くの音や小さな音までよく聴きとれるとか、何Hzまで聞こえるというような聴力が優れている「耳がいい」や、1度聴いたメロディを再現できたり、人の歌い方や喋り方などのモノマネがすぐにできるのも「耳がいい」と言います。僕はどうなのかというと、実は前者のほうで言うと、めちゃくちゃ耳、悪いんです。大学のときに音楽解析のゼミをとっていたので自分の聴力を調べる機会があったんですが、60代の聴力と言われました。なんか生まれつき高音がとても聴きとりにくいそう。モスキート音なんて絶対に聞こえません。これは音楽家として本当にディスアドバンテージやなと思っています。だって僕がわからないところで妙な高音が鳴り響いているかもしれない。だから音源のミックスのときなどは気をつけていますね。

一方で後者の意味での「耳がいい」については、けっこう自信があります。1回聴いたものを再現したり、真似る能力は高いはず。英語っぽく聞こえる曲「Natural Lips」や、先日も取り上げたMONKEY MAJIKとのコラボ曲「留学生」なんかは普段、英語で映画を観たり、洋楽を聴いたりして耳に馴染んでいる音の表現を形にしたもの。

そういう意味での耳の良さを伸ばすにはどうしたらいいかというと、注意深く聴くことです。曲を1曲聴くとしてぼんやり全体で聴かずに、いつもどこかに着目して聴いてみる。今日はシンセの上物だけに注目してみようとかベースの音の流れだけ聴こうとか。そうするといろんな発見があるんです。なんかこのAメロめっちゃ気持ちええな、なんでやろと思ったときに、一つ一つの音に注目しながら聴くと「あ、この木琴のリズムがめっちゃおしゃれなんや! この音の動きでグッときたんやな」と理解できる。そういう分析ができるとより深く音楽を楽しめるし、アーティストの意図も理解できてちょっと感動します。

ときには作り手の遊びに気づくこともあります。裏にこっそり違うメロディを忍ばせていたりだとか。実は、僕も最近、エビ中に提供した「Family Complex」という曲のAメロに、以前作った「サドンデス」のメロディをうっすらと入れてみたんです。聴いた人が、「あれ? これもしかして!?」と気づいてくれると、こっちもうれしいものです。

おかざき・たいいく 6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。

※『anan』2019年6月12日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・村田真弓 文・梅原加奈

(by anan編集部)



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