4回転を難しいと意識せず、美しい演技を目指したい。
2年前の取材時より、身長がまた伸びて、174cmになったという島田高志郎選手、17歳。「手足をきれいに伸ばして演技をしないと悪目立ちしてしまうし、姿勢も良くないと言われているので…」と、苦労も多いのは承知のうえで、やっぱり、長い手足は氷上映えする宝物。笑うと、あどけなさが残るけれど、雰囲気も格段に大人っぽくなり、スケートファンの間で早くから注目されていた表現力にも磨きがかかってきた。ケガを乗り越えて迎えた今シーズンは、初めてジュニアグランプリファイナルで表彰台にも上り、その才能が花開きつつある。
成長の裏には、芸術性の高いフィギュアスケーターとして知られるステファン・ランビエールコーチの存在がある。昨シーズンから、拠点を海外へ移し、単身スイスへ渡って、指導を受けている。
「ステファンコーチには、“優しすぎる!”という印象を持っていたんですが、いざ、コーチと生徒の関係になると、日本の先生とはまた違う厳しさがあります。毎日、本気で練習に臨んでくれるので、僕も疑問があれば、きちんと口に出して伝えて、コミュニケーションをとるようにしています。すごく難しいスケーティングやステップに挑戦する練習もあって。これが予想外の動きの連続で、ほんとにきつい。でも、そうした中で、スケーティングの基礎も上達したと思いますし、気持ちの面でも強くなっている実感があります」
リンクがあるのは、アルプス山脈の山の中。「スケートしかやることがない!」という環境で、練習漬けの日々を送っている。普段の会話は英語。食事は自炊。見知らぬ土地でのひとり暮らしは、最初は寂しい気持ちもあったというが、それも数か月のこと。
「最近は、試合で日本に来てスイスに戻ると、“帰ってきた”と思うようになりました。逆に日本に来ると、ご当地グルメを楽しんだり、ラーメンを食べに行ったり。以前より日本を満喫しています」
お気に入りの場所は、湖畔の散歩道。
練習がない日には、時々、電車に1時間ほど揺られて、気分転換。
「少し街のほうに向かったところに、山に囲まれた、すごく大きな湖があるんです。雄大な自然が広がっているので、湖の周りを歩いているだけで、とてもリラックスできる。時々行っている、いま、お気に入りの場所です」
そして、切磋琢磨し合うチームメイトと過ごすオフアイスも、かけがえのないひととき。特に、日本でも人気が高い、ラトビアのデニス・ヴァシリエフス選手には楽しませてもらっていると話す。
「彼はほんとうに趣味が多彩。将来はケーキの店を開きたいという夢を持っているそうなので、ケーキを作ってくれたり、時にはそれをお手伝いしに行ったり…。といっても、僕はただ、かき混ぜているだけなんですけどね(笑)。ステファンコーチも時々、スイスの郷土料理ラクレットやチーズフォンデュを作ってくれます。そういう時も、会話はいつもスケートのことばかりですけど」
3月には、世界ジュニア選手権という大舞台が待っている。そして、それが終われば、いよいよ来シーズンは、シニア参戦だ。
「4回転やトリプルアクセルジャンプが、簡単に跳べるようになりたいです。難しいジャンプとして認識していると、どうしても意識して緊張してしまうので。今後はそこを改善して、そして、美しい演技を目指したいと思います」
実は、振付にも興味があって、ウォーミングアップの時には、スケートでよく使われる曲を聴きながら、“自分だったらこう踊る”と、こっそり練習しているのだとか。いつか、セルフコレオのプログラムも観たいが、まずは3月、ジュニア最後の雄姿を見届けたい。
島田高志郎 2001年9月11日、愛媛県生まれ。6歳からスケートを始め、ジュニア以前のノービス時代から頭角を現す。14歳で初出場した全日本選手権で11位となり、新人賞に。
※『anan』2019年1月30日号より。写真・小笠原真紀(島田さん) 取材、文・齋藤優子
(by anan編集部)
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