意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「GAFA」です。
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個人情報を独占しつつある4 社。規制強化の方向に。

GAFAとは、「グーグル」「アップル」「フェイスブック」「アマゾン」の4つの企業の頭文字をとったワード。巨大プラットフォームを築いたこの4社は、世界の時価総額の上位を占めています。ところが、フェイスブックでは、約3000万人の個人情報が流出し、CEOのマーク・ザッカーバーグが米国議会や欧州議会に呼ばれるなど黄色信号も点滅しはじめています。

GAFAのサービスは便利で魅力的で、多くのユーザーを惹きつけましたが、検索や買い物、SNS利用を通じて、莫大な個人情報などが日々吸い上げられています。データがGAFAに集中して市場の寡占が進んだ状況は、独占禁止法に違反するのではないか。巨大IT企業の方針に他の企業が従わざるを得なくなり、不公正な取引を強いられてしまいます。また、GAFAは世界にまたがりビジネスを行っているため、税金の安い国に事業本社を置き、多額の課税逃れをしています。欧州ではいち早くこの問題に懸念を示し、EUでは今年「一般データ保護規則」を導入。個人情報の保護を強化しました。また、イギリスでは2020年4月より、大手IT企業にデジタルサービス税を課することを発表。日本も年明けから、規制強化に向けた検討を本格化させることを決めました。

しかし、巨大プラットフォーマーの脅威は、GAFAに限りません。実は中国企業の「バイドゥ」「アリババ」「テンセント」「ファーウェイ」を称した「BATH」も市場を広げています。11月11日の中国の「独身の日」には、1日で3.5兆円の売り上げがあり、それを牽引したのはアリババでした。時価総額はアマゾンのほうが上ですが、利益率では、アリババはアマゾンを大幅に上回っています。中国はアジア、ヨーロッパ、アフリカへ着々と貿易圏を拡大しています。数年内にはBATHの利益率がGAFAを上回るのではないかという試算もあるほど。

先日ブエノスアイレスで開かれたG20では、国際的にデジタル課税制度を整備するよう連携姿勢を表明しましたが、巨大IT企業を抱えるアメリカと中国は反発。来年は日本が議長国。引き続き議論がなされる予定です。

堀1

ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

※『anan』2018年12月26日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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