知らないと恥ずかしい!【基本マナー】元社長秘書が教える「内祝い・お返しのルールと注意点」

文・能美黎子 — 2023.10.15 — Page 1/2
様々なシーンでいただくお祝い品。特に慶事では色々なかたから何かをいただく機会が多いのではないでしょうか。そういった場合に、お返しをどうしたらいいのか悩みますよね。今さら聞けないお礼と内祝いのマナーを、秘書歴15年でマナーに詳しい、能美黎子さんが説明します。

お祝いの返し方 (内祝い含む)

お祝い お返し 内祝い 基本マナー

【元社長秘書のマナー講座】vol. 6


結婚や出産など様々なシーンでいただくお祝いですが、お礼のお返しをどのように贈るか悩むかたも多いのではないでしょうか?
感謝の気持ちを伝えるために「お返しをするべきか」「お返しをする場合にはどのようなものを返せばよいのか」など、悩みますよね。今回は、「お返し」と「内祝い」を贈る際の基本マナーや贈り物をお返しする時期などの対応について解説していきます。

【基本編】「お返し」と「内祝い」について

1. 「お返し」と「内祝い」の違い

最近では、同じ意味合いとして使われるようになってきた「お返し」と「内祝い」ですが、実は違う意味合いをもっていました。
「内祝い」の言葉の意味は、「身内のお祝い」です。本来は「身内で起きたお祝いごとを、周囲に報告する」つまり、自主的に縁起物を振る舞い、喜びや幸せをお裾分けするという習慣を指した言葉でした。一方、「お返し」は、お祝いしてくださった方々に対して、感謝やお礼の気持ちを込めて贈り物を返すことです。しかし近年では、「自主的に贈る」ことが一般的ではなくなり、慶事に頂いたお祝いへのお返しとして贈ることが増えてきています。お住まいの地域によっては、内祝いの解釈が異なる場合もあるため、地元の慣習に合わせると良いでしょう。

2. 「お返し(内祝い)」が必要な場合と必要ではない場合

贈り物やお金をいただいたら、基本的には必ず「お返し(内祝い)」もしくは、お返しに相当する贈り物を渡すのがマナーです。しかし、「お返し(内祝い)」が必ず必要ではない場合もあります。シーンに合ったお返しの対応を心がけましょう。

お返し(内祝い)が必要な場合
慶事全般のお返しに「内祝い」の表書きが必要となります。

結婚内祝い(式を挙げない・招待しない場合)
出産内祝い
新築内祝い
快気内祝い
初節句内祝い など

快気内祝いは、注意点があります。退院報告も兼ねて贈るのは「快気祝い」ですが、退院の見込みがあり通院療養中という場合は「快気内祝い」となります。全快なのか療養中なのかで表書きが異なるため注意しましょう。

お返し(内祝い)必要でない場合
基本的にお返しが不要となるシーンのため「贈らなくてもマナー違反にはならない」のですが、相手を思い遣った気遣いの贈り物をする場合が多いため覚えておきましょう。

お歳暮・お中元
子どもへのお祝い(「七五三」「入園・入学」「卒業」「成人」など)
災害・火事見舞い
昇進・栄転・転勤・定年退職

【基本編】返す時期と相場

1. 返す時期は基本的に1か月以内

それぞれのシーンによって時期も異なりますが、一般的な「お返し(内祝い)」の場合は1週間から遅くとも1か月以内にお返しをするのがマナーです。早すぎてしまうと、お祝いを待っていたと思われてしまう可能性もあるため、まずは電話やお礼状などで感謝の気持ちを伝えた後に贈るようにしましょう。

2. 金額相場は基本的に「半返し」

お返し(内祝い)の目安は、「半返し」と言われています。いただいた品物の金額の半額~3分の1程度が一般的です。しかし、親戚から10万円以上など高額な金品をいただいた場合は、半額より少し控えめの金額で贈り物をし、別途会食の機会を設けたりするなどの対応をするといいでしょう。必ずしも半額というわけではなく、事情に合わせた相手への感謝の気持ちが一番大切となります。

【対応編】シーン別の基本マナー

それぞれのシーン別に贈り方の基本的なマナーをご紹介します。地域の慣習などもありますので、基本マナーに拘らずにそれぞれの地域に合わせた対応で贈り物をするといいでしょう。

1. 結婚内祝い

結婚内祝いは、結婚のお祝いをいただいたかたで、披露宴にお招きできなかったかたや出席できなかったかた、披露宴の引き出物だけでは不十分なかたへのお礼として贈ります。

【贈る時期】  結婚祝いをいただいてから1か月以内
【金額の目安】  いただいた物、金額の半分~3分の1
【のしの表書き】 「寿」「結婚内祝」「内祝」
【おすすめギフト】 スイーツ、グルメ、食器、カタログギフトなど

2. 出産内祝い

出産内祝いは、赤ちゃんが誕生したことを身内やお世話になった方々へ報告する意味合いを込めて、いただいたお祝いのお礼として贈ります。

【贈る時期】 生後1~2か月以内
【金額の目安】 いただいた物、金額の半分~3分の1
【のしの表書き】 「出産内祝」「内祝」「寿」
【おすすめギフト】お菓子、フラワーギフト、タオルなど

3. 新築内祝い

新築した自宅に招く場合は、お家にご招待をすることがお返しとなるため基本的には不要となります。お家にご招待できなかったかたに、内祝いとして贈ります。

【贈る時期】 引っ越し後1~2か月以内(お返しの前にお礼の電話やお礼状を先に送りましょう)
【金額の目安】 いただいた物、金額の半分~3分の1
【のしの表書き】 「新築内祝」「内祝」
【おすすめギフト】 お菓子、入浴剤、カタログギフト

一般的な基本のマナーを解説しましたが、贈答のマナーには諸説があるため、「お返し(内祝い)が必要ない」という場合も近年では見受けられます。お返しをする場合は、相手との関係性を考えて状況に合わせた対応が大切となります。贈り物をする際に大事なことは、感謝の気持ちを伝えることと相手を思い遣る気持ちです。基本的なマナーはありますが、マナーに拘りすぎずにお互いに気持ちのいいお祝いを心がけましょう。

<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。


©わかし/Adobe Stock