知らないと恥ずかしい! 【結婚式のマナー】元社長秘書が教える「意外に知らない基本ルール」

文・能美黎子 — 2023.10.4 — Page 1/2
知っているつもりでも、うっかりしてしまったら大変なのが冠婚葬祭のマナーです。今さら聞けない結婚式のマナーを、秘書歴15年でマナーに詳しい、能美黎子さんが説明します。

結婚式マナー

ビジネスマナー 挨拶 結婚式 招待状 ご祝儀

【元社長秘書のマナー講座】vol. 4


少しずつ涼しくなり秋を感じ始めてきた季節ですね。秋は、結婚式が多いシーズンとなります。お呼ばれをされている方もいらっしゃるのではないでしょうか? 初めて結婚式に参列をするというかたも久しぶりだというかたも、「これってどうしたらいいの?」という疑問がいくつかあるかと思います。今回は、疑問が多い、押さえておきたい結婚式マナーについて解説します。

招待状の返信マナー

結婚式に招待をされたら、まずゲストが最初に行うことが招待状の返信です。

1. 返信はいつまでにしたら大丈夫?

招待状が手元に届いたら、期日の記載があるため「期日以内の返信」がマナーとなります。基本的に2~3日以内、もしくは1週間以内を目安に返信をすることをおすすめします。早めに返信することでお祝いの気持ちが伝わりますので、なるべく早めの返信が良いでしょう。もし、予定がわからず返信が遅くなってしまう場合には、遅くなる旨一言送り主に伝えておきましょう。

2. 返信ハガキの書き方は?

返信ハガキは、黒色の筆記用具で記入をするのがマナーです。
表面は、宛名「○○○○ 行」の「行」を二重線で消し「様」に直しましょう。裏面では、「御」と「芳」などの敬称が印字されている部分は、二重線で消すか「寿」の文字で消すのがマナーとなります。メッセージ欄がある場合は、一言お礼やお祝いの言葉を書きましょう。ない場合には、余白にメッセージを添えるとお祝いの気持ちが相手方に伝わります。

3.欠席する場合はどうしたらいいの?

欠席がわかった時点で、できるだけ早めに新郎新婦にまず連絡を入れましょう。連絡を入れた後に返信ハガキを送ります。ここで注意したいのが、欠席する場合は一週間程度の時間を置いてから返信するのがマナーとなります。「可能な限り調整をしたけれど、どうしても都合がつかなかった」という気持ちが伝わりますので、即答はNGです。だからと言って、返信期日間際の連絡も大変失礼にあたるため注意しましょう。出席できない場合には欠席の連絡だけではなく、ご祝儀や祝電を送るなどお祝いの気持ちを別途他の方法で相手に伝えると良いでしょう。

ご祝儀マナー

結婚式の前日までに用意をしておくのが、結婚のお祝い金となる「ご祝儀」です。

1. 相場の金額はいくらなの?

偶数は「割り切れる」ということから「別れ」をを連想させてしまうため、偶数ではなくきりが良い奇数の金額が良いとされています。一般的な金額の相場は「3万円」です。親族の場合には、「5万円〜10万円」が相場となります。
ただし、例外としていくつか偶数でも可能な場合があります。例えば、学生のかたや状況により3万円が難しい場合には、「ペア」という意味合いから2万円も良しとされています。また、8万円は「末広がり」、10万円は切りがいい奇数の「1」が入っているのでOKです。
3万円以上包む場合のポイントとしては、4万円、9万円、13万円は縁起が悪いとされているため避けましょう。

2万円を包む場合の注意点

2万円を包む場合の注意点としては、偶数の枚数を避けるために「1万円札1枚と5千円札2枚」の計3枚にして包みましょう。

お札は新札がマナー

ご祝儀袋には新札を包むのがマナーとされています。新札が用意できない場合には、ピン札でも可能です。
新札は、発行されてから未使用の新券になり、ピン札は使用されているけれど折り目のないお札になります。

欠席の場合の相場は?

結婚式当日に出席できない場合のご祝儀の相場は、渡す金額の半分もしくは3分の1となります。一般的なご祝儀の相場は「3万円」ですので、欠席の場合は「1万円」となります。

2. ご祝儀袋の選び方は?

「のし」と「水引」が付いたご祝儀袋を使うのがマナーとなります。祝儀袋は、包む金額によってデザインの格を揃えましょう。市販のご祝儀袋には、目安となる金額の記載があるかと思いますので参考にすると選びやすいかと思います。入れている金額より豪華な格上のものを選んでしまうと外見と中身が不相応になってしまうため失礼に当たりますので、金額に見合ったものを選ぶのがポイントです。

3. ご祝儀袋の書き方の注意点はある?

筆記用具は、濃い黒色の「毛筆」「筆ペン」がマナーとなります。注意点としては、ボールペンでの記入は基本的にNGです。また、筆ペンには薄墨のものもありますが、これは弔事用ですので絶対に使わないようにしましょう。

中袋に記載する金額について

中袋に記載するご祝儀の金額は、旧漢字で書くのがマナーとなります。毛筆か筆ペンで記載しましょう。

【旧漢字】
一 → 壱
二 → 弐
三 → 参
五 → 伍(または五)
七 → 七
八 → 八
十 → 拾
万 → 萬
円 → 円(または圓)

4. 袱紗(ふくさ)は必要?

袱紗は、ご祝儀などにしわがついたり、水引が崩れたりすることを防ぐ目的で使われ、相手への礼儀を示すために必要なものとなります。ご祝儀は相手に渡すまで大切に扱うことがマナーとなります。袱紗で持ち運ぶようにしましょう。

いかがだったでしょうか?
今回は、「返信ハガキ」と「ご祝儀」の基本的なマナーについて解説しました。基本のマナーはありますが、何より大事なことは「相手を祝福したい」という気持ちです。人生の門出を祝う結婚式では、返信ハガキ一つにしても相手をお祝いしたいという思いやりの心を持って、丁寧な所作を身につけて祝福の気持ちを伝えてみましょう。

<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。


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