「上京する彼にフラれました…」恋も機会も逃す「残念な女性の習慣」

文・三松真由美 — 2023.11.16
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、東京に憧れている地方在住の女性のお悩み。いい感じだった彼が上京にすることになり…。三松先生が、「人生の決断をするために必要なこと」を教えてくれます!

リホ(26歳)、決断力レス。上京した子がうらやましいのに真似できないよ

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【レスなひとびと】vol. 223


ずっと、決められたレールの上を歩いてきた。高校はリホの住むT県T市から通える範囲で、県で3番目に偏差値の高い学校。大学は、親と高校の先生に勧められた地元国立大学。

とくにやりたいことがなかったから、親戚に言われるままに公務員試験を受けた。受かった。一応けじめとして一人暮らしを始めたけれど、社会人になっても生活圏は大きく変わらない。

違和感を覚えたのは、就職して2か月目頃。

「村越さん、パソコンがいうこと聞かんのよ。こっち来られま」

「あ、はい!」

「村越さ〜ん。こっちもエクセルの印刷範囲の設定がうまくいかんが〜」

「あ、はい、次そちらに行きます」

連日、役所のおじさんたちにPCのレクチャーを依頼され、リホはだんだん腹が立ってきた。PC周りの仕事を振られるたびにイライラしてしまう。こっちは情シスの人じゃないっつーの! パッとしない毎日。つまらない毎日。

そして、帰り道の車で信号待ちをしている時、ふと思ったのだ。
“わたし、ずっとこんなふうに欠乏感をかかえたまま生きていくのかな”
そしてSNSを眺める時間が増えた。就職を機に上京した子たちが、今になってうらやましくなる。

就職活動の時、キラキラ目を輝かせて「あたし、絶対東京に住む。丸の内のオフィスで働きたいの」と言っていた同じゼミの奈々。
リホは、内心「アホくさ」と思っていた。

でも、今は違う。八重洲ミッドタウンとか虎ノ門ヒルズとか、おしゃれな場所で、同僚たちと時間を過ごす奈々がうらやましい。週末は表参道の美容院。常連らしく、カリスマ美容師のインスタのストーリーに「いつもありがとうございます」と添えられた彼女の後ろ姿が載っている。なにそれ、なにそれ。そんなモデルみたいな髪型してもあんたには似合わんわ。都会派アピールしやがって…。つい意地悪な気持ちになる。

“わたしだって、しようと思えば上京なんてすぐできる”
そう思っていたのに。

そんなリホにも、転機が訪れた。ほんのちょっといい感じだった同僚の直樹が、転職で東京に行くらしいのだ。

(あっ、これってチャンスや。上京する理由ができる)

そう思ったリホは、直樹を飲みに誘った。駅前の個室居酒屋で、頬杖をついてこぼす。

「いいなあ、東京。ついて行きたいわあ」

直樹はうっすら、リホに好意がありそうだった。だから、この話をすれば、冗談でも「一緒に来る?」って言ってくれるんじゃないかって期待した。
でも、帰ってきたのは予想外の言葉だった。

「毎回言ってるよね、それ。リホはまじめちゃんだし、ちょっといいなと思ってた時期はあるけど、言うだけでなかなか踏み出さないところはあんま好きじゃない」

グサッ。

こうして、直樹は一人で東京へ行ってしまった。


【三松さんからのコメント】

リホさん、自分一人でなにか決めた経験が少ないんだからこれはしょうがない展開です。
決められたレールの上を歩いて、今までは特に不満もなかった。でも、今は違いますよね。「いいな、東京」って、明確に憧れをもっている。現状に苛立っている。物足りなさを感じている。

人生初の大きな決断をするチャンスではないですか。

親や先生が決めてくれた道から外れるのには、勇気がいるかもしれません。
憧れを通り越して、飢餓感を感じたり、他者の幸せを妬む自分に気づいたら、動いてみるのも選択肢のひとつ。

シン仕事・シン住まい・シン彼氏・シンSEX。

新しい“シン”を取りに行くのは自分しかいない。

「都会、つらい。やっぱ地元でいいや」と思うかもしれない。そしたら地元のよさがわかるっしょ。

今までコツコツ堅実にやってきたリホさんなら“シン”の決断も悪くない。直樹さんに頼ることなく、自分の憧れを探ってみてもいいのではと思います。
思い切った決断こそが、リホさんオリジナルの人生をつくっていくのです。
もしそれが理想どおりでなければ「想定外でした!」と言って軌道修正すればいいだけの話。

「彼氏に頼ったり決断させたりする癖は修正しとこう。
うまくいかなかったときに彼のせいにして関係性ムチャムチャになるぞ」


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三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。


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