やっぱり結婚式を挙げたい…泣いて訴えた妻に対する「夫の薄情すぎる本音」とは

文・三松真由美 — 2022.5.12
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、2年前、コロナ禍を理由に挙式をせずに結婚した33歳男性。最近、妻から本当は式を挙げたかったと泣かれて…。三松先生が、このようなケースの「正解」を教えてくれます!

アキト(33歳)コロナを言い訳に、結婚式レスでラッキー! と思っていたら、いまさら泣かれる

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【レスなひとびと】vol. 157


「やっぱり結婚式、挙げたかったし。まわりの子は、みんなしてたのに」

コロナによる結婚式中止から、2年。いつものように夕飯を終え、ふたり仲良くソファで缶チュー晩酌をしていたときだった。もともと目立つことや、人付き合いが得意じゃないアキト。七海に言ってはいないが、結婚式中止はむしろラッキーだと思っていた。

そりゃあ、打ち合わせや準備にかけた時間や、10%のキャンセル料は痛かったけど。使わなかったお金で、家具はだいぶいいものを揃えられたし、貯金にもなった。

そもそも七海だって納得していたはずだ。
「わたしたちの結婚式で、もし陽性者が出て、万が一のことがあったら罪悪感でいっぱいの思い出になっちゃうよね」と。

だから2年後の今になって、まさか「挙げたかった」なんて言われると思わなかった。ふたりで納得して、中止を決めたはずなのに。反論したい気持ちをぐっとこらえて、七海の肩を抱き寄せる。

「だよな。コロナのせいで、ほんと残念だったよな」

とりあえず寄り添って慰めて、ベッドでエッチして、寝かせちゃおう。七海とはとても仲がいいけれど、彼女は眠いと悲観的になるタイプ。今日も、仕事が忙しかったと聞いたし、きっと眠いのだろう。

「ベッドでゆっくりしよう」と肩を抱いたまま、一緒に立ち上がろうとしたそのとき。

「アキトはいっつもそうじゃん。コロナコロナって、すぐ仕方ないことにしちゃってさ。ほんとは式、やりたくなかったんでしょ」

「いや、そんなこと」

「アキトがなんとなく億劫そうだから、もう一度式の予定立てようよって、言い出せなかった。友達の結婚式に行く話をするたびに、自分たちの話になったら嫌だからって、すぐ話題変えようとするし。ひどいよ、ずっと憧れだったのに。アキトのせいでできなくて」

え、俺のせい? しかも憧れだったなんて、聞いてないよ。ソファに座ったまま、泣き始めてしまった七海。うまくごまかせそうにない。

今さら何を言うんだ…と思うけど、それを言ったら100%怒られる。ここでの正解って、なに? 明日は仕事で朝も早いし、ああもう、おれだけがガマンすればいいの。この事態、どう収めるよ。


【三松さんからのコメント】

この2年間で増えた「結婚式しなくても愛は不滅だ問題」。結婚前のカップルにとってもたいへんな2年間でした。

「今さら」とアキトさんは言いますが。七海さんは、ずっともやもやしたものを抱えていたのでしょう。友人の結婚式に行ったり、SNSでステキなドレスを見たりするたびになんだか胸がざわついて、苦しくなり、それがついに爆発してしまった。オンナ心あるある。

また、当時は七海さん自身も、自分の結婚への夢がここまでのものと、気づけていなかったのかもしれません。結婚式は、なにも新婚カップルだけがするものではありません。結婚から数年経って、「あらためまして」な結婚式をしたっていいのです。もちろん節約して小さめバージョンで親と親友だけ呼ぶ的なものでも充分。

私など、3回も結婚式をしたうえに、旅行するたびにカジュアル版ウエディングドレスを持参して、”なんちゃって結婚式”の写真を撮るという強欲なバブル女でございます。

世の中の状況、お金、お互いの家族の事情、子どものこと。結婚式にはさまざまなことが絡んできます。入籍の時だけがベストタイミングではありません。いつどこでどんなスタイルでしてもよし。

なんにせよ、不満が出たときにはぐらかしてしまうのはよくない。大事な話をしている途中で、エッチに持ち込むのもNG。「ないがしろにされた」と感じてしまうでしょう。

アキトさん、この際「人付き合いが苦手」でも「両親がちょっと面倒なタイプ」でも逃げてはいかん。「七海の本当の気持ちが知りたい」と伝え、七海さんが何にすねているか、何に憧れているのか、一度ゆっくり話し合うこと。

「両親に感謝を伝えたい」ならば、一緒に旅行するのもいいでしょう。「ドレスを着て写真を撮りたい」ならば、フォトウェディングだっていいでしょう。
そのとき感じていることを伝え合い、すりあわせていくのが、うまくいく夫婦の条件です。

「新宿地下街にお安いロングドレス売ってるお店あるよ。白いドレスとスーツで、花束持って新緑の公園を歩いてみよ。周りにおめでとうって声かけてもらえるから」

三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。


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真由美所長、フェムテックの新会社Gladでinsta開始
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『夫とだけ、感じません』(KADOKAWA)
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©Zinkevych/Gettyimages